相剋(そうこく) 警察小説傑作選 (PHP文芸文庫)

制作 : 西上 心太 
  • PHP研究所
3.28
  • (0)
  • (12)
  • (17)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 117
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569901930

作品紹介・あらすじ

新宿署で煙たがられる鮫島。のちに彼の理解者となる上司・桃井との出会いを描く「区立花園公園」(大沢在昌)、銘酒を守るため、完全犯罪を企図した男の小さなミスを福家警部補が突く倒叙ミステリ「月の雫」(大倉崇裕)、他班の同じ刑事・安積に敵愾心を燃やす相楽。二人が抱えるそれぞれの事件が交錯し……「オブリガート」(今野敏)など、組織を率いる上司と現場の捜査官、ライバルの刑事同士など、各々の矜持が衝突する警察小説の秀作五篇を収録。
文庫オリジナル。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 現場の刑事と上司、ライバル同士など、各々の矜持が衝突する警察ミステリー、5篇。
    ・区立花園公園
    ・新宿心中
    ・日曜日の釣りは身元不明
    ・月の雫
    ・オブリガート

    特に、大倉さんの倒叙ミステリー『月の雫』は面白いですね。
    銘酒を守るため、完全犯罪を企てた男の小さなミスを、福家警部補が追い詰めるドラマは、ドキドキしますね。

  • 西上心太編アンソロジー。

    新宿鮫、福家警部補、安積班。
    どれもシリーズもので、安定のおもしろさ。

    「日曜日の釣りは、身元不明」も、駐在日記シリーズのよう。

    「区立花園公園」「月の雫」は既読だったので、新しい出会いという意味では、残念。

  • 2022年1月PHP文芸文庫刊。小説現代2011年12月号区立花園公園:大沢在昌、小説club1969年5月号新宿心中:藤原審爾、2017年11月中央公論新社刊駐在日記から日曜日の釣りは,身元不明: 小路幸也、ミステリーズ!vol.15(2006年2月)月の雫:大倉崇裕、2014年7月角川春樹事務所刊捜査組曲東京湾臨海署安積班からオブリガート:今野敏、解説:西上心太、の6つの警察小説と解説。シリーズ2作目。いずれも面白い話。大沢さんの新宿鮫シリーズはアンソロジーで読むだけだが、西上さんの解説がお上手で、わかったような気になってしまいます。

  • 鮫島に釣られて購入。このお話は桃井課長の視点で物語が進むが、このオッサンがいい味だしてるんだよな。久しぶりにハードボイルドの雰囲気に浸りました。

    警察小説は、日本においては私立探偵ものよりリアリティを持って読めるので傑作も多い気がします。ただ短編ですと、どうしても物足りなさは残ります。
    本書の中では小路さんの作品が落とし所が絶妙で心に残った意外な拾い物でした。

  • 【収録作品】「区立花園公園」大沢在昌/「新宿心中」藤原審爾/「日曜日の釣りは、身元不明」小路幸也/「月の雫」大倉崇裕/「オブリガート」今野敏

    「区立花園公園」「新宿鮫」シリーズの一編。鮫嶋が新宿署へ異動になった当時の様子が、上司・桃井防犯課長の視点で描かれている。
    「新宿心中」「新宿警察」シリーズの一編。国際的な人身売買事件の他、様々な事件を抱える新宿署の刑事たちの姿を、家庭人としての姿を交えつつ描く。かなり古い。
    「日曜日の…」「駐在日記」シリーズの一編。発見された身元不明死体を巡るあれこれ。
    「月の雫」「福家警部補」シリーズの一編。銘酒を守るために完全犯罪を企んだ男のミスを福家警部補が暴く。彼女のタフさがちょいちょい顔を出して楽しい。
    「オブリガート」「安積班」シリーズの一編。安積と同じ強行犯の第二係の係長となった相楽のプライドと安積へのライバル心を描く。安積視点のときと異なり、安積が小憎らしいまでに飄々としているように描かれていておもしろい。

  • 大沢在昌、藤原審爾、小路幸也、大倉崇裕 今野敏『相剋 警察小説傑作選』PHP文芸文庫。

    『矜持』に続く警察小説傑作アンソロジーの第2弾。選者は第1弾と同じ西上心太。収録作を見ると第1弾と余り変わり映えしないし、イマイチ作が多いように思う。新宿鮫シリーズ、東京湾臨海署安積班シリーズからのセレクトは第1弾と同じで、安定の面白さなのだが……

    大沢在昌『区立花園公園』。新宿鮫シリーズの短編集『鮫島の貌』に収録された1作。短編ながら見事にハードボイルドしている。公安の外事二課から新宿署に異動し、誰にも忖度することなく犯罪者を次々と検挙する鮫島。後に彼の唯一の理解者となる上司の桃井との出会いを描く。★★★★★

    藤原審爾『新宿心中』。国際人身売買事件を描いた短編だが、主人公の山辺刑事が抱えている家庭問題とのギャップが今一つしっくり来ない。★★★

    小路幸也『日曜日の釣りは、身元不明』。駐在日記シリーズの1作らしい。主人公の警官が事件をうやむやにしてしまうのだから、酷い掟破りの警察小説だ。これをほのぼのする警察小説と評する選者の西上心太は如何なものか。主人公の警官が勤務する駐在所のある神奈川県の山岳地帯の河原で身元不明の中年男性の遺体が発見される。★★

    大倉崇裕『月の雫』。福家警部補シリーズの1作。犯人のトリックを警察が見破るというミステリー小説の王道を行くような作品。地酒を造る会社が大手酒造会社に吸収合併の危機に陥り、地酒会社の社長が自ら手掛けた銘酒『月の雫』を守るために大手酒造会社の社長を殺害する。完全犯罪の目論みは福家警部補によって見破られる。★★★★

    今野敏『オブリガード』。東京湾臨海署安積班シリーズの1作。切磋琢磨する二人の刑事。しかし、安積刑事の方が何枚も上手だ。安積刑事にライバル心を燃やす元捜査一課の相楽刑事。お台場で起きた男性襲撃事件。被害男性はある事件の容疑者だった。★★★★★

    本体価格720円
    ★★★★

  • 文芸評論家の西上心太による警察小説アンソロジーのPHP文庫オリジナル第二弾。
    今となってはまず本屋では見かけることのない藤原審爾の代表作、新宿警察シリーズが掲載されている。昭和の味わいを感じるナイスな作品。
    他の作品も人気シリーズから選ばれたものが揃っている。選者の解説には、アンソロジーは横糸、気に入った作家の作品を縦糸にして読書の織物を広げてほしいと。
    確かにシリーズモノを読みたくさせるものが揃っている。

  • 収録5編中4編が既読だったけど、ほぼ忘れてたー。
    特に鮫島は懐かしくて懐かしくて。もう、この2人の会話は見られないんだな、と思うと。
    福家警部補もね、早く新作が読みたいわー。
    犯人の気持ち、切ないというか、やりきれない。酒造りをあんなに大事に思っているのにね。
    しかし福家さん、お酒にもあんなに強いとはw
    班長は、つい蔵之介さんで読んでしまう。あの、ドラマのイメージ強すぎー。

  • 西上心太編 警察小説アンソロジー第二弾。
    相克=対立するものが互いに相手に勝とうと争うこと。
    どれも良かったがほぼ未読作品で、シリーズ全部読みたくなってしまった。特に大倉崇裕さんは落語や動物が絡んだ作品があるらしいので是非読んでみたい。

  • 警察小説のアンソロジー。
    事件というよりも警察官自身の人間性に趣をおいた数編。
    それぞれの作家さんがどう警察官を動かすかが面白い。
    新宿鮫の鮫島が上司桃井と出会った話などは懐かしい。

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1956年愛知県名古屋市生まれ。慶応義塾大学中退。1979年に小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞しデビュー。1986年「深夜曲馬団」で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編部門受賞。1994年には『無間人形 新宿鮫IV』直木賞を受賞した。2001年『心では重すぎる』で日本冒険小説協会大賞、2002年『闇先案内人』で日本冒険小説協会大賞を連続受賞。2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞受賞。2010年には日本ミステリー文学大賞受賞。2014年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞、2022年には紫綬褒章を受章した。


「2023年 『悪魔には悪魔を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大沢在昌の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×