なみだあめ<哀愁> 時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)

  • PHP研究所
3.17
  • (1)
  • (0)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 76
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569903521

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2023年11月PHP文芸文庫刊。哀愁をテーマにした、6つの時代小説短編アンソロジー。いずれも叙情豊かな話、神童問答と深情けの2編は少し違うのかなとも思うのだが難しい…。野槌の墓は野菊の墓を意識していると細谷さんが書かれているが、ただの語呂合わせじゃないのかと思え、これも難しい…。野槌の墓は、しかし哀しくも心を打つ話であるのは確かです。
    【収録】志川節子:文(徳間書店2017年7月刊煌から)、高瀬乃一:雨夜の月(書き下ろし)、梓澤要:夏草ヶ原(講談社1999年7月刊夏草ヶ原から)、 馳月基矢:神童問答(2021年6月双葉文庫刊拙者,妹がおりまして(1)から)、諸田玲子:深情け(祥伝社2000年12月刊蓬萊橋にてから)、宮部みゆき:野槌の墓(2011年3月角川書店刊ばんば憑きから)

  • 【収録作品】「文」 志川 節子/「雨夜の月」 高瀬 乃一/「夏草ヶ原」 梓澤 要/「神童問答」 馳月 基矢/「深情け」 諸田 玲子/「野槌の墓」 宮部 みゆき

    現役で活躍している女性作家の作品集とのこと。
    「文」郷里での隠居を決め、江戸から戻ってくる親友を心待ちにする旅籠屋の主・源兵衛。しかし、江戸で大地震が起きる。『煌』所収。
    「雨夜の月」老いによる心身の不調に苛立つ料亭の主人・徳兵衛。養子にした甥が店の采配を振るのも気に入らない。書き下ろし
    「夏草ヶ原」元奥右筆の庄右衛門は、見かけた浮浪児を気にしており、弱っているのを見かねて助けようとする。しかし、運び込んだ医師の下でどこまで面倒を見るか問われて困惑。自己満足や偽善かと悩む。『夏草ヶ原』所収
    「神童問答」勇実の手習い所にやって来た教育熱心な母親と従順な子ども。勇実と妹の千紘は、過剰な熱意をもつ母親の抱える事情を知る。『拙者、妹がおりまして1』所収
    「深情け」新婚初夜に自分を手籠めにした盗賊団の親玉に一目惚れした娘。また会いたくて仕方がない。『逢来橋にて』所収
    「野槌の墓」妻に先立たれ、娘を一人で育てる〈何でも屋〉の源五郎右衛門。化け猫のタマから、人を襲うようになった物の怪を退治するよう頼まれる。『お文の影』所収

    通り一遍でない、他者に対する情けが感じられる一冊。知らなかった作家さんも知ることができてよかった。

  • 哀しく淋しくせつない小説集。心に沁みる短編ばかりではあったが、諸田玲子さんの作品は、怖くて苦痛を伴う読後感であった。

  • 2023年第1刷、PHP研究所のPHP文芸文庫。6編。「哀愁」というテーマで、いずれも悲しい方向の話なのだが(『神童問答』は若干方向が異なるが悲哀だが)、いずれも前向きに悲哀を乗り越えて行こう、という感じの終わり方である。志川節子『文』と梓澤要『夏草ケ原』について、この終わり方は嫌いではないが、この話ならバッドエンド系の終わり方もあると思う。読後感もさほど悪くならないとも思う。結局明るく終わる話を集めたということだろうか。宮部みゆき『野槌の墓』の場合はバッドエンドで終わったらシャレにならないとは思う。

    掲載作:『文』志川節子、『雨夜の月』高瀬乃一、『夏草ケ原』梓澤要、『神童問答』馳月基矢、『深情け』諸田玲子、『野槌の墓』宮部みゆき、解説:「解説」細谷正充(文芸評論家)、出典:文『煌』(きらり)所収 徳間文庫、雨夜 書き下ろし、夏草『夏草ヶ原』所収 講談社、神童『拙者、妹がおりました1』所収 双葉文庫、深情け『蓬莱橋にて』所収 祥伝社文庫、野槌『お文の影』所収 角川文庫、

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

宮部みゆきの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×