- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569903521
感想・レビュー・書評
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2023年11月PHP文芸文庫刊。哀愁をテーマにした、6つの時代小説短編アンソロジー。いずれも叙情豊かな話、神童問答と深情けの2編は少し違うのかなとも思うのだが難しい…。野槌の墓は野菊の墓を意識していると細谷さんが書かれているが、ただの語呂合わせじゃないのかと思え、これも難しい…。野槌の墓は、しかし哀しくも心を打つ話であるのは確かです。
【収録】志川節子:文(徳間書店2017年7月刊煌から)、高瀬乃一:雨夜の月(書き下ろし)、梓澤要:夏草ヶ原(講談社1999年7月刊夏草ヶ原から)、 馳月基矢:神童問答(2021年6月双葉文庫刊拙者,妹がおりまして(1)から)、諸田玲子:深情け(祥伝社2000年12月刊蓬萊橋にてから)、宮部みゆき:野槌の墓(2011年3月角川書店刊ばんば憑きから)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
哀しく淋しくせつない小説集。心に沁みる短編ばかりではあったが、諸田玲子さんの作品は、怖くて苦痛を伴う読後感であった。
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2023年第1刷、PHP研究所のPHP文芸文庫。6編。「哀愁」というテーマで、いずれも悲しい方向の話なのだが(『神童問答』は若干方向が異なるが悲哀だが)、いずれも前向きに悲哀を乗り越えて行こう、という感じの終わり方である。志川節子『文』と梓澤要『夏草ケ原』について、この終わり方は嫌いではないが、この話ならバッドエンド系の終わり方もあると思う。読後感もさほど悪くならないとも思う。結局明るく終わる話を集めたということだろうか。宮部みゆき『野槌の墓』の場合はバッドエンドで終わったらシャレにならないとは思う。
掲載作:『文』志川節子、『雨夜の月』高瀬乃一、『夏草ケ原』梓澤要、『神童問答』馳月基矢、『深情け』諸田玲子、『野槌の墓』宮部みゆき、解説:「解説」細谷正充(文芸評論家)、出典:文『煌』(きらり)所収 徳間文庫、雨夜 書き下ろし、夏草『夏草ヶ原』所収 講談社、神童『拙者、妹がおりました1』所収 双葉文庫、深情け『蓬莱橋にて』所収 祥伝社文庫、野槌『お文の影』所収 角川文庫、