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- / ISBN・EAN: 9784572008091
感想・レビュー・書評
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・第一部第二部が★5つ(第一部は構成の面白さを加味して★5つ)第三部第四部が★3つ。トータル★4つ。第三部以降はいらない。第Ⅱ部で終わるべき小説。
以下は第一部についての記述である。
・読みにくさ
いわゆる「筋の単一」という点からすると、その真逆。いくつもの話が入り組んでおり、複雑すぎる。幸いにして、先読者が少なからぬ注を付けてくれたおかげで、読みやすかった(図書館の本にこのような書き込みをすることは本来是認しがたいが)。
・意識の流れ
この読みにくさの原因は、意識の流れを追っている点が最大の理由だ。しかも、外で何が起こっているかを明示せず(この点で『ユリシーズ』と違う)、ひたすら一人の男の意識を追い続ける。
作者は全体を把握しているが、語り手であるベンジー(この者も全体を理解していない。)の意識を叙述している。そこには、作者の意識と読み手の読解内容に当然ずれが生じる。
・劇的効果
このずれが、読者に「なぜ」を考えさせており、劇的効果を上げている(劇もまた、何もないところから、登場人物のせりふ等により関係性を把握する必要がある点で似ている。なお、そのために筋の単一が最低限のルールとなるわけだが)。優れた作品は、すべてを語らない。
第二部については、
・もっとも深みのある部。語られない部分が多いため、考えさせられる。
全体について
・滅びゆく一家
この一家の人々は運命にあらがえない。それをある者は知っている、ある者は知らない。だが、どの者も抗おうとして、当てもなくさまよう。結局、みなそのようにして滅びていく。「幸せな一家はどこも似たり寄ったりだが、不幸な一家はそれぞれの不幸がある」(アンナ・カレーニナ)。その描写が本作品である。詳細をみるコメント0件をすべて表示