深山に棲む声

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 64
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236552

作品紹介・あらすじ

イヒカはさまよいこんだ深山で一人の少年と出会う。少年はババと名乗る女によって、ずっと山に閉じこめられて生きてきた。-狭い穴蔵の中、二人はまるで兄弟のように心が通いあう。「ぼくを助けて」少年の大切なお守りを預かり、ふたたび助けに来ることを約束したイヒカ。だが、その「約束」によって、二人は数奇な運命に呑みこまれてゆく…。

感想・レビュー・書評

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  • 150:初の洋風かと思いきや……! いい意味で度肝を抜かれ、裏切られ、じりじりと引っ張られ、急きたてられるようにして一気に読みました。一話め、イヒカと少年の約束に心躍らせていたら、少年が実は、というくだりがもえツボにクリーンヒット。そしてさらに実は、というくだりはとっても森谷節。もえを単なる萌えで終わらせないのがこの方のすごいところ。脳内で奇声を発しながら読みました。大ヒット!

  •  歴史小説ともミステリーとも言い難い、ファンタジックな架空の御伽噺の連作小説。
     時代も地域も特定されず、日本のどこにでも当てはまるようで、どこにもない、『深山』を巡る物語。
     貴種流離譚を隠れ蓑に、虚構と事実が錯綜し、人物相関図は作中で少しずつ重複しては深まってゆく。
     少年と少女、男と女、そして老婆。
     忌避と神秘が混在する山は、物語醸成の宝庫なのだろう。

  • 最初から最後までつまらなかった。
    一度も面白い・楽しいと感じることのない苦痛なばかりの読書になった。
    借りた本は絶対読んで返す、という自分への戒めのためだけに嫌々読んだだけです。

    まず地名・人名が全てカタカナで、なんとなく読んでいるだけでは地名と人命が混同され物語の筋を追うことすら難しくなる。
    いやお話がもっと面白ければこんなことは読書の足かせにはならないのかもしれませんが。

    とにかくこの1年程図書館読書をしてきて、ここまで面白くない本は初めてでした。
    私は純文学を楽しめる程お利口さんな読者では無いので芥川賞受賞作品も一度も面白いと思ったことは無いし、読破出来た作品はこの5~6年でたったの2作品です。
    後は序盤で挫折し放り出してしまう程度の人間です。
    オール読み物は1篇も残さず読みつくして楽しめるのですが。

    この作品は創作古典と思われますが、私がこんなに苦手でつまらないと思うところを見ると純文学のカテゴリだったのかもしれません。

    いやぁ、おもんなかったわ、まじで。

  • 昔話の「3枚のおふだ」をベースに描かれた、いにしえの都と森の物語。

    朱の鏡・黒の櫛・青の衣・白の針・囲炉裏の前で・黄金長者の短編6編から成るお話ですが、それぞれ異なる語り手によって物語は進められます。
    『七姫幻想』にちょっと感じが似てるかな。
    おとぎ話のような、史実の話のような。
    どちらとも取れる不思議なお話。
    森谷さんて、書くごとに文章が上手くなっていかれるような気がします。
    次回の作品にも期待できそうですね~。

  • 森谷さん2作目。
    やはり超好み。

    荻原規子の勾玉シリーズが好きな人は好きかも!

  • 「葛野盛衰記」よりまとまっていて良かったと思う。
    イヒカはめずらしい花を追い求め、けして入ってはいけない深山に入ってしまう。
    そこでババと少年に出会いイヒカの運命が変わっていく。
    どこがどう繋がるのか、ワクワクしながら一気に読んでしまった。

  • 深山には村人は入ってはいけないと言われている村。
    いったん入ったら人間らしく生きていくことは出来ない…?
    祖父に育てられた少年、その父親とは。
    北の国の婚約者から逃れるために旅に出た娘を待っていた運命は…?
    様々な人の人生が交錯します。
    国籍不明だが古い時代の日本らしい雰囲気。
    追っ手を逃れて移動したり、隠れ住んでいる人に狙われたり、山奥に村ができあがっていったり。
    こういう物も書けるんですね。
    染め物をする女性が出てくるあたり、この作者らしい。

  • ロシア民話と日本昔話が溶合ったお話。
    ファンタジーで始まり、後半に行くにつれ話が研ぎ澄まされミステリーの色合いが濃くなってゆき最後は大団円(といえるのかな?)
    女はいろんな秘密を抱えて男の人を想うんだな、と思う一冊。

    森谷さんのお話はどれも女性と子供に対して注がれる視線が(いい意味で)優しいと思います。

  • 5月7日

  • はじめは訳がわかりませんでしたが、読み進んでいくうちに謎が解けてきました。やっぱり、ミステリーなんでしょうか。

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著者プロフィール

1969年静岡県生まれ。日本画家・屏風作家。筑波大学大学院芸術研究科美術専攻日本画分野修了。渦巻きをモチーフにした屏風制作を行う傍ら、神社、寺院,協会への奉納絵画をライフワークとして続ける。 主な奉納・収蔵作品大徳寺聚光院伊東別院 墨筆による「千利休座像」軸一幅/駿河総社静岡浅間神社四曲一双屏風「神富士と山桜」。主な出版物 絵本『おかあさんはね、』(ポプラ社)/絵本『メロディ』(ヤマハミュージックメディア)/絵本『サクラの絵本』(農文協)/詩画集『国褒めの歌巻一』(牧羊舎) 
自身の日本画制作に加え、寺社奉納絵画、絵本制作、コラム等の執筆、講演会等を行う。人と人、人と自然、人と宇宙が穏やかに調和する日本文化の特質を生かし、新しい世界に向けたパラダイムシフトを呼びかけている。静岡ユネスコ協会常任理事。

「2020年 『ジャポニスム ふたたび』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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