祟り火の一族

著者 :
  • 双葉社
3.24
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本棚登録 : 106
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237894

作品紹介・あらすじ

「事件の陰には、惨いほどの悲しみや苦しみがある。人の哀しみを背負えば、自分の哀しみを忘れられる…」。殺したはずの女が蘇り、のっぺらぼうが林に立つ。包帯男に語り聞かせる怪談に興味をもった劇団員の明爽子は、刑事の浜中と探偵の海老原を巻き込んで、捜査に乗り出した。舞台となった廃鉱山では、連続殺人が起きていたと判明。解き明かされる真実から、火に祟られた一族の宿命が浮かび上がる-。

感想・レビュー・書評

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  • 6つの怪談を全身火傷の男に読み聞かせる続けるのは何故か?という導入から、空から死体はぶっ飛び、池の水は干上がる怪奇溢れる連続殺人の謎に挑む。

    相変わらずこの作者はとんでもないです。物理トリックの鬼なのですが、謎の設定がとにかく魅力的ですし、ひとつひとつの怪奇も必ずきちんと解明されていきます。トンデもない解決ばっかりなので、絶対わかる訳ありません。

    ミステリとしては、スピード感がとにかく魅力で事件開始も謎解きも早いですが、その分ガバガバです。ソレっておかしくねえかなぁと思ってる間に事件は進み、謎解きも始まります。

    京極夏彦や三津田信三から何も起こらないジワジワする怖さや、民族学を始めとするペダントリー、キャラクター萌えを除いた読みやすい分量なのだが、それはそれで物足りないだろうか。

  • 締め切られた和室の中で一人横たわる男。
    その全身は血と膿の滲む包帯で覆われ、目ばかりが爛々と黄色く光っている。
    室内には着物に着替えた大勢の女が詰めているというのに、衣ずれの音一つ聴こえない。
    喉を焼かれたのか、男の苦しげな喘鳴が酷く耳につく。

    出だしはまるで犬神家。
    男の風貌も、昏くて冷たい日本家屋の描写も、これから名探偵が頭を掻きながらやってくるのではないかとわくわくさせてくれました。
    女性たちから語られる怪談話も単なる伏線ではなく単体として恐ろしさを感じましたし、解決編での見事な解釈ではすっきり満足。

    中盤まで探偵役が出てこないことには少々驚かされましたが、選手交代もスムーズかつキャラが立っていて大変読みやすいです。

    所々ツッコミを入れたくなるような箇所もありましたが、全体的には大満足の伝奇ミステリー。
    日本の怪異はミステリーとの相性が最高に良いと、改めて思わせてくれました!
    怪異のバランスと納得の現実的エンディングのバランスが絶妙です。
    三津田信三さんと澤村伊智さんの中間、という感じがします。
    怪異と論理的解決の両方を求める方にお勧めします。

  • ご都合主義じゃと思える部分も「浜中刑事」の役まわりとすんなり受け入れられてしまう。叙述トリックは不自然だし、物理トリックは力業のような気がするが、海老原探偵と浜中刑事のキャラで読ませてくれる。ホラーめいた部分は三津田信三風。

  • ややこしすぎ

  • 大やけどを負い、記憶をなくした男を囲み6つの怪談話を毎日聞かせる、という異常な場面から始まり、最後にはその全ての怪談の内容から現代の謎までが解けていくさまは見事でした。まあ、少々無理やり感はありますが…。ちょっとおどろおどろしい感じがいい意味で古臭くて良かったです。でもヒロイン?にはいまひとつ感情移入できなかったです。

  • 探偵海老原シリーズ。火に祟られた一族にまつわる怪奇と殺人。今回もありえない謎をどういう風に解決するのか…一応解決しててスッキリしたw浜中さんもっと見たいな。

  • 包帯に包まれた男に怪談を聞かせるというバイトを請け負った劇団員の明爽子は、何度か続けるうちに疑問を感じて刑事の浜中に相談する。名探偵、海老原は怪談話の底に潜む真実を解明できるのか…
    超自然か幻想か怪談か、という不思議なエピソードを乱れ打ちして論理的に解明するという爽快感は健在だが、わりとあっさり解明してしまうので舞台装置のわりに全体的に淡白な印象でちょっともったいない感じ。

  • ひねりすぎてつまらない。

  • 海老原浩一シリーズ、5作目。

    数々の怪談めいた話を一つずつ現実に見合った解明をなされるのは相変わらずスゴイと思うし、面白くはあった。でも、結局はそれだけしか魅力を見出せない、このシリーズ。今回はどんな不可思議な現象にトリックを絡ませてくるんだろう、という期待感だけで読んでいる感じ。まぁ、その期待に応えた大仕掛けのトリックを仕掛けてはきてくれるんだけど、、、、。
    私的に、主人公のキャラにどうしても魅力を持つことが出来なくて、読むのが辛くなってしまう。主人公が出てこない間は面白く読めるのに、出てくると、グダグダ言ってないで、さっさとトリックの解明を始めろ、と思っちゃう。今回、最後の最後で、主人公の過去を匂わせる描写があったが、それを知りたい欲求は全く湧かなかった。次作はそれが本筋?うーん、読み続けるか迷うなぁ。

  • かなり物語が込み入りしすぎて、推理に重点を傾けし過ぎている。
    探偵が真相を解明しても、事実の実証が難し過ぎる点があり、物語性が損なわれてしまっているのが惜しい!
    それでも、小島の作品は面白い。

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著者プロフィール

埼玉県生まれ。2005年、島田荘司氏との共著により『天に還る舟』(南雲堂)を上梓。2008年、『十三回忌』(原書房)で単独デビューを果たす。2015年、『扼殺のロンド』(双葉社)で第6回「駅の中の本屋さんが選んだエキナカ書店大賞」を受賞。スケールの大きなトリックと、どんでん返しを得意とする。趣味はリバーカヤックと散歩。ビールが大好物!主な著書に『怨み籠の密室』(双葉社)、『ブラッド・ブレイン1~3』(講談社)、『モノクローム・レクイエム』(徳間書店)、『愚者の決断——浜中刑事の杞憂』(南雲堂)など。

「2022年 『仮面の復讐者 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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