- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575238907
感想・レビュー・書評
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海老原シリーズ。千里眼、予知、呪殺の能力解明と、東京で起こった不可解な殺人事件に因習の村が複雑に絡む。
過去作の空飛ぶ龍とか、死体がスポーツカーを運転するとかのトンデモトリックに比べると、地味な立ち上がりかなと思いましたが、今回もまず能力解明のトリックが凄いですし、瞬間移動する死体とか、作者のらしさ抜群。
何より、プロットがまさに横溝正史で、閉鎖的で封建的な村の格差を描きながら、どんでん返しを展開していく正統派の内容で良かった。シリーズの中でも良作では。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズものとは知らず、ブックオフでサクサク選んで買った本の一冊。
さらっと読める文体で嫌いじゃないし、トリックも凝ってる。
最後まで騙されて、おおっともなった。
でも、なんだかリアリティがなく、ふわふわした感じのする作品。
これはこれでいいんだろうけども、じっくりというよりは、
電車とかでサラッと読みたい一冊。 -
冒頭の数ページ以降暫く東京が舞台で題名と随分な乖離があるな?と思っていたが、中盤以降は村での話も出てきて複雑にからまっていって中々面白かった。謎解きが終わりこれで落ち着くかと思いきや最後まで気の抜けない展開で良かった。ただ、もっと村人や村の閉塞的な描写があればなぁと。主だった人たちしか出てこないのでどんな雰囲気の村なのかかいまいち伝わらない。そこが残念。
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東北のある村の「憑き物筋」の家が起こす奇跡。それを探偵が目撃している時間に起こる東京での不可能殺人事件。被害者が村に関係しているので事件を追う管理者が村にやってきて探偵と合流し、村に伝わる昔の因縁含め現代までの全ての謎を解く!確かに江戸時代からの奇跡なんだからとはいえ登場人物特殊能力あり過ぎ。不可能殺人も色々無茶過ぎ。でもちゃんと整合性を取ろうという姿勢は嫌いじゃないな。うん。
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2018/12/21
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『ようするに村八分であり、けれどそういう差別は、不亡村だけではない。まつろわぬ民たちは時の朝廷から、土蜘蛛や鬼などと呼ばれ、蔑まれていた。
先日沙川先生が、そんな話をしてくれましたよね。高みからこの国を見れば、その残滓が隅々にまで、未だにあるはずです。
さらに言えば、今この瞬間にも、世界中に差別がある。宗教は人を救うためにあり、言語は意思の疏通のために生まれ、出生地は自分自身の存在証明です。
宗教、言語、出生地。だがそれらは同時に差別を生み出す。』
想像を超える結末。
海老原浩一シリーズは本当に面白い。
探偵小説のエッセンスが全て揃ってる。
やっぱ村と名探偵は最高の組み合わせだなぁ〜。 -
昔より強烈な物理トリックと、驚くような感じはないですが、ちゃんとミステリとして、そして物語として読みやすくなっている。
なかなかいい作品です。 -
探偵海老原シリーズ。千里眼、呪殺、因習の村…と期待の舞台に久しぶりに「ないわ!w」レベルのトリックも出て嬉しい(?)ところ。どんでん返しや海老原の過去、新キャラクターも出てきて先が気になる。鴻上さんいいなあ。
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シリーズ7作目ですが、初期の頃と比べると大分小慣れていて読み易くなっていますし、トリックも以前のように豪快な物理トリックという感じではなく、パズルのピースを当て嵌めていくような論理的な解答で好印象。
また、一見関係なさそうな「千里眼」「予知」「呪殺」を目の当たりにする宮城県不亡村の話と東京で起きた不可能殺人事件が綺麗に結びつき、なかなか上手く纏まっていると思います。
ただ、まだ話の流れに不自然な点があるのと、教授の娘・沙川雫美、イケメン刑事・鴻上心などのキャラが弱いのは残念です。