未来

著者 :
  • 双葉社
3.49
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本棚登録 : 3472
感想 : 399
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240979

感想・レビュー・書評

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  • あいかわらずのすごい背景をもつ登場人物たちがそれぞれの未来、ドリームランドを思う物語。

  • ★4.0
    前向きで希望に満ちたようなタイトルとは裏腹に、登場するのは心身ともに傷を負った人たちばかり。そして、章子が未来の自分に書いた手紙を読み進めるにつれて、小中学生の彼女には分からないことが透けて見えてくる。中でも、章子の母の搾取のされ方が尋常ではなく、同じ女性として悲しくなる。そんなこともあって、章子の父視点のエピソードも興味深かったけれど、私的には章子の母視点のエピソードも読んでみたかった。極端なまでに酷い男揃いで、子どもへの性的な虐待ばかりなのが残念ではあるものの、最後まで全く目が離せなかった。

  •  優しく頼りになる父を亡くし、心を病んだ母と2人きりになってしまった章子の元に、30歳の章子から手紙が届いた!? 未来の自分からの手紙を励みに、家事も勉強も頑張る章子。しかし中学生になった時、ある出来事から不登校に。気力を失い引きこもる章子に手を差し伸べたのは意外な人物で……?


     図書館本。
     湊かなえ作品ということで、ご多分にもれずイヤミス。ミステリー要素はやや弱いが、ヤングケアラー、いじめ、貧困、虐待、機能不全家族、教師の抱える問題点……などなど、イヤな要素はてんこ盛り。
     次から次へと不幸がやって来て、野次馬根性からついページをめくってしまい、結構な厚さのわりにスルスルと読める。

     前半がグイグイ読ませただけに、後半の真相公開パートは何となく物足りなかった。あっそ、で終わってしまう感じ。
     本作は章子以外の数人の登場人物の視点からも描かれていて、これがまた不幸、不幸のオンパレード。語り手にならない登場人物も、作中でグチをこぼしているし。
     登場人物全員から不幸自慢されているような(笑)。

  • 久しぶりに湊かなえさんの本を読んだ。
    正直なところ残酷だったり汚いものの描写がリアルだったりでちょっと苦手。

    でも、『未来の自分から手紙が届く』というメルヘンチックな本の紹介文を見て湊かなえさんにしては珍しい?と、気になって手に取った。

    虐待やイジメの中にありながらも強く生きていく少女達。その中で光る優しさ。

    まあ、思った通り手紙の正体はSF的なものではなかったけど、感動作が読めたのでよかった。

  • 長編だけど、まったく苦にならずに読めた。
    章ごとに登場人物が変わり、繋がりがあるのかと思っていたけど、最終的にあーそうなるのかって腑に落ちた。
    家族の深ーい愛情が伝わって、重たい話のくせに最後は重い支えが取れたような光が差したオチで読後感は気持ちが良かった。

  • 虐待など暗い内容なのに読後感は全然、悪くない!

    最初の100ページほどは章子の手紙が続いて少し展開が一緒で読む手を止めたりしたが、その後は色んな登場人物視点で描かれていて手紙の秘密、父親、母親の秘密などどんどん分かっていくのがとても面白かった❗️

    手紙の送り手は予想できなかったし、母の優しさに最後は包まれた気がする。

    人は見た目では抱えているものはわからないし、そうなっている過去がある。そういうところに想像力を持てる人になりたいと思った。

    章子と亜里沙はずっと自分で抱え込んで抱え込んで苦しんでいたが、自然とお互い助けあう中で最後に周りに助けを求めようと前向きに動きだしたのがとても印象的だった。

    さすが、湊かなえだと思った。

  • 選べない親。背負ってしまった環境の中で生きる術。
    闇に隠れて助けを求めている子供の命と心が救われる様に、失われない様に、何か出来ることが有るだろうか?と考えても、そんなに簡単じゃ無いという事位しか分からない。
    この世の中の全ての大人が健全なら起こらない問題。
    自分に何か出来るとしたら?
    何か有るだろうか?

  • 最初は、章子の手紙の正体が気になり読み始めましたが、読み進めるうちに章子の周りの色んな人たちの壮絶な人生を知る…。
    出てくるのは重たい出来事なのに 面白くて、次へ次へと読まされました。

  • 湊かなえ節!って感じのえぐさだったなあ。救いがない。
    どんでん返しのようなものはないけど、こことここをそうつなげるかあ、という……。
    これは全力で褒めてるのですが、しんどいときには読みたくない作家です。それがすごい。

  • 家庭や友人関係に問題を抱える章子は、絶望の中、未来からの手紙を手にする。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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