会社を綴る人

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 689
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575241303

感想・レビュー・書評

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  • 紙屋さんは強いと思った。自分だったら、入社後数日でへこたれてしまうだろう。自分を知ること、諦めて受け入れることが必要か。

    臆病なくせに大それたことをしてしまうのは共感できた。仕事に対する考え方が似てると思う。それを貫いて、実行するのは大変なこと。

  • 文章で人を動かすことができると信じたくなる一冊。
    この本の続きの未来が気になる。

  • 開始1ページで、面白くなる予感。
    主人公が「できる」とか「圧倒的な1つ」を持っているわけではないところが良い。
    業務提携自体をなくせるわけではないところも現実的だな。

    猫のコラム、実際にその人を知っていると
    より微笑ましかったりよく思えたりするものなんだろうな。

  • 穏やかなお仕事物語。主人公の不器用さと素直さに惹かれて最後まで読んだ。

    主人公のささやかな抵抗が丁寧に表現されていると思う。変化の最中にある会社で事実をどのように表現するのか悩む主人公。歴史や事実を知る手がかりとして大きな役割を果たす文書。事実をどのように表現するか、文書をどのように取り扱うかは平時は注目されない部分だが、事実を曲げたり印象操作も可能とする大きな力を秘めている。時が経ち誰かを勇気づけたり、誇りを取り戻したり、言葉を紡ぐとき、著者の希望や願いが載せられるんだろうなと思った。
    言葉を恐れ、言葉を信じる。文書を大切にして言葉と丁寧に向き合う主人公だからこそ愚直に一つ一つの出来事に悩み立ち向かい、丁寧に言葉を紡ぎ、僅かながらに周りの人を動かす姿がよかった。

  • 読みやすかった。
    家庭がある人にとって、働くことのいちばん大きな意味は「食べていくこと」であり、それは否定されるべきことではなく当然のこと。でも、(特に独身ならば)紙屋さんのように、「やりたいこと、やるべきことをやりきるために働く」という考え方があってもいいな~と思った。いまの私は紙屋さんに近い。
    紙屋さんの仕事できないっぷりは、完全に特性がある人のそれ。でも一生懸命やってる。ほどほどに放置する上司の栗丸さんもいい人。

    会社のマドンナ的な女性が裏では会社と会社のオッサンに毒を吐くブログを書いているんだけど、この人がこんなことしてるのに終始ヒロインポジにいるというのが……斬新だね………結局顔がかわいければええんか!そんなことしてたら、本当は熱意があっても台無しじゃない?!榮倉さんの立ち位置がわからぬ!!

  • 図書館で借りたもの。
    会社で扱う文書にまつわる事件を、仕事もコミュニケーションも苦手なアラサー男子が解決!?人の心を動かすのは、熱意、能力、それとも……?いまを生きる社会人に贈るお仕事小説。

    主人公の仕事のできなさにちょっとイライラしたけど(笑)、だからこそ文章でどうやって立ち回るのか気になった。
    会社の行方も怪しくなり…一気に読んだ。
    「自分の得意なこと」で仕事を頑張れるなんて素敵だ。
    まず、得意なことが見つからない…。

  • なにをやってもうまくできない紙屋の唯一の取り柄、文章力で会社を動かす?
    どんな会社だよ?と疑問いっぱいで読み始めたけど、紙屋のような人が活躍できる会社っていいな、とも思う

  • 埼玉の尊敬する友人に勧められて読みました。
    生きるのが不器用な男が、「書く」ことだけで、自分の会社での存在意義を見つけようとする物語。ハッピーエンドでもなければ、大逆転物語でもない小説。
    本全体の構成が面白くてさらっと読めるでも、心ある小説。人は、いろんな能力があったりなかったり。でも、誠実さに勝る才能はないかもなぁ。。とぼんやり思わせてくれました。

  • 文章を書くことしかPRポイントがない主人公が古い体質の会社で活躍?する物語。
    色々な人がいる中で奮闘する。前半はテンポよく進むが後半はやや期待はずれの感がある。
    人間模様も深みがなく、結末は読者によって意見が分かれそうだ。

  •  不器用で機転が利かず、すぐテンパってしまう。当然、弁がたたず商才に欠け、処理能力はすこぶる低い。
     そんなトホホな男として登場する主人公だけれど尊敬に値する長所が1つある。それは「読む」能力です。

     会社の社史や沿革など、読んで楽しいものとは思えません。なのに紙屋 ( 本名は菅屋 ) は嬉々として熟読できる。これは特異な才能ではないでしょうか。

     それはさておき、本作は「伝わる」文章とは何かを考えさせてくれる作品でした。

     中学校読書感想文コンクールの地区選考佳作が唯一の栄誉である紙屋は、文章の達人どころかメールや社内連絡文書ですら思うように書けないレベル。
     それに対比させる存在として登場するのが、そこそこ人気のあるブログを書く榮倉( 本名は高倉英果 ) でした。
     2人のやりとりを通して「真意が伝わるように書く」ことと「ウケるように書く」ことの違いが、本作ではきちんと描かれていました。

     圧巻は巻末の「試行錯誤の二年間 資本業務提携を祈念して」で、これはもう見事な締めくくりだったと思います。社史を読んでこれほどじーんとくるとは!?
     挿入された品質保証部・小山の「プロジェクトN」もいい。

     「伝える」ことの大切さ。改めて考えることができました。その意味でも、本当にいい作品でした。

     ところで、朱野さんがベタ甘ラブは書かないのは承知してますが、菅屋くんと高倉さんの ( 幸せな ) 未来をほんの少しでもほのめかして欲しかったなあと思いました。ごめんなさい、もちろん蛇足です。

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著者プロフィール

東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』(「ゴボウ潔子の猫魂」を改題)でメディアファクトリーが主催する第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、作家デビュー。13年、『駅物語』が大ヒットに。15年、『海に降る』が連続ドラマ化された。現代の働く女性、子育て中の女性たちの支持をうける。主な作品に『賢者の石、売ります』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『真壁家の相続』『わたし、定時で帰ります。』など。

「2022年 『くらやみガールズトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朱野帰子の作品

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