指名手配作家

著者 :
  • 双葉社
3.40
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本棚登録 : 172
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575241655

作品紹介・あらすじ

売れない小説家・大菅賢は、担当編集者を口論の末に殺してしまい、逃亡する。潜伏先で自殺を決意するも、すんでの所で桐畑直美と出会い、匿われることになった。さらに、直美の覆面作家として賢が小説を書いて再デビューを狙うことで二人は意気投合し、見事に新人賞を受賞。平和な逃亡人生を手にしたかと思ったが――。著者渾身の傑作ピカレスク・ホームコメディ!

感想・レビュー・書評

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  • 悪質な編集者をうっかり死なせてしまった、作家の大菅賢。
    逃亡の末、死のう、と思った橋の上には、先客がいて……。

    秘密がばれないか、ひやひやしながらも、工夫して生きていく直美と賢が、コミカル。
    ふたりがタッグを組んでからは、テンポが良くておもしろくなる。

    出会った時の妻の疑惑も、サスペンス風でおもしろい。

    殺人じゃなくて、過失致死で収まる話じゃないのか。
    被害者がたとえどんな悪人であったとしても、人を殺して逃げ続けるのはちょっと。

    ひっかかっていたもやもやも最後には解決し、ミステリ的なオチもちゃんとあって、たのしい作品。

  • 担当編集者を殺してしまった、売れない小説家”賢”が、彼を匿う”直美”のゴーストライターになり、逃亡人生を送っていく。コメディサスペンス。

    珍しい設定と、コミカルな描写が面白くて、頁を捲る手が止まらず一気に読み終わりました。コントみたいで面白いと思ったら、作者の方は元芸人さんなんですね。

    殺人犯とはいえ、パワハラ編集者を突き飛ばしたら、当たりどころが悪く死んでしまうという展開なので、”賢”の事をそこまで嫌いになれず、どんどん愛着が湧きます。ピンチが訪れる度に、正体がバレないか、どんな展開になるのか、ハラハラ。出来ればこのまま逃げ切って欲しい!でもなぁ。とモヤモヤ。したたかな相棒”直美”とのやり取りも、ほのぼのしたり、クスリと笑えて楽しいです。

    肩肘張らず、ゆるい気持ちで読めますが、サスペンスなので、伏線があったり、どんでん返しがあったり、エンターテイメント性が高い一冊でした。

  • 売れない作家・大菅。担当の編集者と揉めて、思いがけず殺してしまった。自殺しようと訪れたところに自殺しようとしていた女・直美に出会う。自殺を思い止めると共に、直美の覆面作家として大菅は生き延びようと共謀を図る。
    直美に出会うまでとか長いな〜とか、こうすればいいじゃんと思うとこがいくつかあるけど、なかなか面白い展開で楽しめました、最後までね。頭がいい家族なのね。笑いとともに、硬くならずに読めました。早く展開しろって思いながらも楽しんでたかもね。どこで事件が発覚するかとハラハラしながら飽きることなく読了。

  • 読み応えあり。指名手配されるまでは、あっという間。展開が早すぎて、これは壮大な引っ掛けかと思ったら、それは違った。こんなに深堀りするかと思うくらい逃走中の表現が細かいと思ったら、数年ポンっと経過したりもする。

    家庭環境で金銭面や虐待等問題があっても、それは子供のせいではない。逆に裕福なのも子供の手柄ではない。
    有名な仕事をしている人がえらい訳ではない。有名じゃないけど大事な仕事をしている人がいっぱいいる。

    全体的にふざけた話の中で、サラッと書かれた言葉。わざとらしくここだけ急に道徳的だと思えなくもないけど、こういうことはとても大事なことで、ふざけてるからこそジワっときた。

    始めの方は、賢目線。下ネタだったり下心丸出しだったりな本能的な描写が下品と言えば下品だけどクスっとなる。
    小説の売れない点を指摘されるとことか、自虐してるようにも思えるけど、そういいつつ面白い。指名手配されてから、こんなに長く話が続いて展開していくと思わなかった。

    直美と出会ったり、その生い立ちに心打たれたり、ゴーストライターで受賞したり、小説の内容で介護殺人の容疑が晴れるどころか周りに理解されたり、警察が謝罪に来て二人の絆が深まったり、長男が生まれたり、参観日で作文読まれたり、誤魔化すため賢が漫画家デビューしたり、子供の友達が施設に入所をきっかけに慈善活動に目覚めたり、子供が警察官の子供と仲良くなったり。

    どれも、少しづつ繋がっていて、最後はもちろんこうなるだろう結果かだけど、それだけに終わらなかったのはさすが。子供がいい子でホッとした。賢夫婦に感情移入したくなるけど、添島にも両親がいて苦しんだことが少しだけど書いてあるのがよかった。だよね。

  • 戸籍をあっさりと取得できるところがあり得ない。

  • 編集者を突き飛ばして死なせてしまった作家。逃亡中、自殺を図る女性に遭遇。女性は父の介護中に事故死させてしまい、まわりからは親殺しと非難されていた。そんな2人が共同生活を開始し、女性自身の経緯をもとにゴーストライター出版。瞬く間に売れて順風満帆な生活を送る一方、隠し通さねばならない秘密を抱えた2人。
    常にドキドキしつつ展開も面白い。細部まで非常に凝ってて最後の最後まで楽しめた。
    32冊目読了。

  • 序盤がなかなか下品でどうしよう、、やめちゃおうかなとも思ったけど、展開の早さと読みやすさもあり読了

  • ひょんなことから編集者を殺してしまった作家大菅賢。そして彼を匿う直美。子供が産まれてからの展開が結構面白かった。直美の慈善活動、そこにつながるのか、的な。
    『作家急逝』シリーズ読みたい笑

  • たまたま図書館でなんとなく手に取った本でしたが、遅読の私が1日で一気に読むくらいおもしろかったです。殺人犯の主人公をいつのまにか庇う自分もいて、このまま見つからなかったらいいのに!!と最後は願うように読んでしまいました。本当に面白かったです。ぜひいろんな人に読んで欲しいです。

  • テンポよく読みやすい。今こんなに幸せなのにそうじゃなくなるんだろうなという雰囲気がずっと続く。綺麗な伏線回収。

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著者プロフィール

藤崎 翔(ふじさき・しょう)
1985年、茨城県生まれ。茨城県立竜ヶ崎第一高等学校卒業。高校卒業後、お笑いコンビ「セーフティ番頭」を結成。ネタ作りを担当。2010年にコンビを解消し、小説を執筆。、2014年、初めて書いた長編ミステリー「神様のもう一つの顔」(のちに「神様の裏の顔」に改題)で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、小説家デビューする。著書に『私情対談』(のちに『殺意の対談』に改題)『こんにちは刑事ちゃん』『おしい刑事』『恋するおしい刑事』『お隣さんが殺し屋さん』がある。


「2018年 『時間を止めてみたんだが』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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