Butterfly World 最後の六日間

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575244250

作品紹介・あらすじ

人型のアバター=バタフライが生息するVR空間〈バタフライワールド〉にログインしたアキは、ログアウトせず現実世界に戻らない者たちが暮らす〈紅招館〉に向かう。アキはある事情から〈紅招館〉に住み続けたいと願うのだが、非暴力が徹底されているはずの〈館〉で住人の死体が発見される……。現実世界とVR空間を行き来するパラレルワールド・青春本格ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 仮想空間のバタフライワールドにこそ自分の居場所と感じた主人公と。
    実世界に戻らない者達との事件と現実と。
    興味深く読みました。
    現実世界の辛さから仮想世界を求めること。
    多くの人達に共感を与えそう。
    物語は仮想世界で起こった殺人事件の真相を追うものだけど。
    主人公を含め各登場人物の悲しい境遇が印象に残りました。
    現実世界でも今後起こりうるような。
    そんな世界の物語でした。

  • 今の社会から逃避した人々、いじめに遭い閉じ籠りの人、生まれながらに、或いは身体障害者、不治の病気持ちの人々が求める幻想空間「普通の世界」(虐待者も居ない、介護人もいないごく普通の人間として安心、安定した暮らしができる社会)を探究し集まった異空間「紅紹館」は、全く違った発想の幻想社会ミステリー事件小説だ。現実社会において「社会の弱者を助ける」といった内容を含めた興味深い小説だ。 今後「孤独社会」が生み出す人間差別のない、ごく普通の人間として暮らせる幻想空間社会、少し前あったような「セカンドライフ」(仮想の世界)がVRデバイスの進化と共に発生しても不思議ではないし、存在してほしい。

  • 特殊設定&本格ミステリ。日常の謎の名手からの挑戦状。
    いじめから引きこもり、世界的人気のVRゲームバタフライワールドに入り浸るアキ。相棒はマヒト。
    非暴力が徹底されている世界で起こる「殺人事件」。舞台は孤立した館。起こるはずのない殺人、しかも密室。何が起こっているのか、誰が起こしているのか。
    ヴァーチャル世界と現実とのリンク。解き明かされる謎。
    作者から突きつけられる挑戦状。受けて立つが玉砕。全然わかりませんでした。
    ゲームからログアウトしない「紅」たちの秘密に震える。

  • 小説推理2020年10月号〜2021年5月号掲載のものに加筆修正を加えて2021年8月双葉社から刊行。最終章の前に読書への挑戦状があるミステリー。VR空間内の殺人事件という状況が既に胡散臭くて、何でもありでしょう?という感じありありで読み進めましたが、まぁズルはないみたいだけど予想通りこれって無理矢理感満載です。ついて行けてないのかも。

  •  VR空間に憩いを見いだすアキは、現実世界に戻らない者たちの噂を聞き、相棒のマヒトと共に彼らが暮らす館に向かう。二人がそこに着いた後、サイバー攻撃を受けて館は孤立する。そして、住人の死体が発見される。その空間では非暴力が徹底されているはずなのに。
     サイバー攻撃を仕掛けた男は、頭がよすぎるがゆえのこじらせ男子で、ツンデレ要素がなかなか楽しい。別の話なら探偵役になりそうなキャラ。アキの弟もいい奴でうらやましい。現実世界は頭の悪い差別主義者が横行しているけれど、そうじゃない人もいるのが救い。VRは引きこもりが入り浸るのはどうかと思うが、そこが救いとなる人たちもいるのも事実。活用が求められる。

  • 特殊設定、ロジック、挑戦状...
    こんなことを帯に書かれたら読まないわけにいかない。

    本書は特殊設定ミステリではあるものの、技術が進歩すれば現実世界でもありえないとは言いきれない設定であり、その"バーチャルの世界"と"現実世界"の絡ませ方がミステリーとしても、そして一つの小説としてもとても巧い。

    ミステリーとしては「非暴力の世界でどうやって人を殺すのか」という答えに完全に盲点を突かれた。
    紅の正体も驚き。

    登場人物の考えなどに共鳴するところもあり、繰り返しになるが、ミステリーとしてはもちろん、一つの小説としてもとても印象に残る作品だった。
    岡崎琢磨さんの他の作品も読みたい。



  • VR空間で起こるはずのない殺人事件が紅招館で起こる話。紅招館の住民の正体は分かったんやけど、犯人や動機まではさっぱり分からんかった。この事件を通して実際に主人公が成長していくのがよかった。このVR楽しそうでやってみたくなる。

  • 非暴力が徹底されているVR世界が舞台の本格ミステリで、主人公の成長譚にもなっている。
    クローズドサークル特有の緊迫感はやや薄めに感じたが、VR世界ならではの謎解きや驚きを楽しむことができたので、館ミステリとしての満足度は高かった。ただし紅の正体には早めに気づく人がいるかも。

  • VR空間での連続殺人事件。
    読者への挑戦状があり、紅の正体だけは最初から想像できていた以外は完敗でした。まあいつものことですが(笑)
    現実でもVR空間でも人の根底にある差別意識っていうのは厄介なものです。自分だけは大丈夫とは言えない。
    切ない終わり方でしたが、アキの今後に幸有れと願います。

  • 「夏を取り戻す」がとても良かったので期待大で読み進めたけれど…うーん、残念だったなあ。
    最近流行りの特殊設定ミステリ。VRの世界で一切ログアウトしない「紅」の正体も早々にアタリがつき、お説教くさくなるのかなあ、嫌だなあと思ってしまった。
    現実世界に西園寺と弟、VR世界にマヒトとクリスと、主人公を支える男性陣が多いのも疑問。そちらに注力するなら、もっと紅ひとりひとりの物語を描いてほしかったかなあ。
    さらに、クリスと突然恋仲になるが、何が他の人と違うのか?「優しくしてくれたから」というのも理解できない。

    題材自体はいいのに、逆にもったいなくて、私にはとても残念な印象の1冊だった。

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著者プロフィール

1986年福岡生まれ。京都大学法学部卒。2012年、第10回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉に選出された『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』でデビュー。翌年同作で第1回京都本大賞受賞、累計250万部を超える人気シリーズに。この他の著書に『夏を取り戻す』、『貴方のために綴る18の物語』、『Butterfly World 最後の六日間』など多数。

「2022年 『下北沢インディーズ ライブハウスの名探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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