俺ではない炎上

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 788
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575245196

感想・レビュー・書評

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  • 「俺ではない炎上」というタイトルの本。実際は「『俺のせいではない』炎上」という意味だった。

    Twitter上の正義が暴走していき、窮地に立たされて始まる。逃亡しながら犯人を突き止めに行く流れになりそうだったが、いとも簡単に打ち砕かれ、はてさてどうなるのやら。しかもTwitterではなく自分自身の人生に追い詰められているような。
    人との関わりあいでは「傍観はよくない」とされるのに、Twitterでは「関わってはいけない」という矛盾も感じたが、どちらも「確証や覚悟がないのに関わってはいけない」ということなのかもしれない。

    最後だけ2回読んだ。同じ人物が2人ずつ出ているようなところがあるからだ。もしやとは思ったが、2回目で2つの時間があることを確信。すぐにリアルタイム検索の「お天気テンキー」のコメントをを思い出して、そんなところに!!と悔しい気持ちに。

    しかし、ネット社会の暗の部分。ひとたび火がついて炎上すると、本当に手がつけられない。安易にタップするだけで加害者になりうる。気をつけなくては。
    でも過程に殺人が起きてしまって残念だけど、夏実の願いは叶ったのかな。

  • 続きが気になってほぼ一気読み。
    浅倉さんの本は「6人の嘘つきな大学生」に引き続き、2作目の拝読。

    この作品には、人間への皮肉が詰まっていると感じました。人間は誰しもが他人や環境のせいにして、自己を正当化する生き物です。私も、思い返すと今まで何気なく誰かのせいにしたり、自分は何も悪くないと思ったことが何度もあるな、、。と反省しました。

    読み返していて気づいたが、作品の登場人物全員が共通して「自分は悪くない」と主張してるなと感じました。一回目読んだ時には何も違和感がなかったが、再び読み返すと登場人物たちの責任をなすりつけ合う姿が浮かび上がって、ゾッとしました。

    自分の責任を認めきちんと相手に謝罪する。いつかこの先、お爺ちゃんになったとしても些細なことでもごめんなさいと謝れる人でありたい。もちろんミステリー小説としても面白かったが、ただのミステリー小説ではなく、人間の醜さを考えさせられる小説でした。

  • 「六人の嘘つきな大学生」を読んで期待値高めで読んだからかもしれませんが、あまり好みではなかったのかなと思います。特に登場人物の視点がコロコロ切り替わるため、うまく状況が把握しにくいなぁと思いました。
    また、今作は前作と違い、SNSが1つのテーマになってると思うのですが、前作の就活というテーマに比べると、個人的にはあまり馴染みがなかったのかなぁと思いました。

  • 続きが気になりすぎて一気読み!
    主人公が逃げる、警察が捜査する、大学生達が追いかけている…と視点が変わり、ハラハラしながら一気に読んでしまう。
    そして終盤で、「えっ、どうゆうこと?」ってなって、途中読み返したりして、読み終わってからも、え??ってなって、もう一度読み返して、あーなるほどってなった。面白かったー。
    ミスリードがさすがすぎる。これはわからなかったわ。

    自分の行動を思わず振り返ってしまうドキリとさせられるメッセージ性もあり、こういうミステリ大好き。

  • ネタバレしたくないので感想は書きません!
    ただ何かしらの賞を取るのでは?と確信しました(現実にならなかったらすいません

  • 「からにえなくさ」そういうことなのか! どういう暗号なのか、どういう意味があるのかずっと考えていたけれどこれは絶対に読者にはわかりませんね。
    そしてこの小説の仕掛けといいますか…。途中までは「実写化したら面白そう」と思っていましたがこの展開だと実写化はできないでしょうね。あることに気づいてからは読み返したくなります。
    これはネタバレしてしまうと面白くなくなってしまうでしょう。構成がよく考えられていると思います。

    本作は出たときから気になっていましたがやっと手に取れました。まさかツイッターがツイッターと呼ばれなく時が来るなんて思いもよりませんでしたが。本作は極端な話としても、情報弱者であって自分からそれに対処しようとしないということはもはや悪いことなのか?とちょっと考えさせられます。
    また、この主人公ほど極端ではなかったけれど自分にも職務上で「自分はうまくやれている」「自分は周囲から信頼されている」と疑ったことがなかったのに飲みの席で予想外の人物から思いがけなく非難されるという事態が起きたことがあり「自分が自分に対してしている認識と周囲の思いやスタンスと思いの外かけ離れているというのは当たり前にあることだ」と改めて思い知らされた経験があります。(気づいてみたら当然のことなんですが)
    平たく言えば「自分と関わりのある人間全員から万遍無く好かれているわけ無いだろう」って話ですが。なので主人公山縣泰介の楽観的すぎるくらいの自信家っぷりには読んでるこちらも恥ずかしく感じながらとても共感しました。次第に追い詰められて「自分が結局全て悪いのだ」と思うしかなくなっていく状況も、部下に「自分だったら同じようにはできない」と称賛されて「どうしてそんなに卑屈になっていたのか、こんなふうに対処出来る人間がどれほどいるのか」と自分のことを思い直していく様子も、リアルで人間臭く最後まで身近な存在に感じられました。

    久々にハラハラ感のある読書、楽しい時間でした。今やツイッターがエックスになって、ここに描かれた仕掛けや社会が懐かしくなる時がそのうちやってくるでしょうが、本作に描かれた人間の顕示欲や正当化された歪んだ処罰感情、どこまでもそうとしか考えることのできない「おれは悪くない」というスタンスなどはこれからも不変であるのではないでしょうか。

  • SNSでデマの悪評が広がったりしたら覆すのは容易では無いですね。直ぐに本名や住所、経歴がばらまかれてデジタルタトゥーとして一生残ってしまうことでしょう。
    そもそも容疑者の時点で顔や名前が公開されている日本が世界的に異常らしいので、もしかすると世界的に見てもヤバいかもしれませんね。
    そんな、自分がしていない殺人で一般人やユーチューバー、警察から追いかけられる主人公。仕事が出来るイケメンながら、自分の思っている人間像と、他からの評判が違っていたりとなかなか不穏な空気が漂っております。
    そしてしっかりミステリー要素で全体がくるまれていて、話の面白さ、そしてひっくり返される楽しさ、ヒューマンドラマとしても秀逸。非常におもしろい本でした。

  • 「俺ではない炎上」タイトルの響きに惹かれる(^.^)
    知らぬうちにTwitterでデマが拡散され濡れ衣を着せられるお話し、、っていったらいいのかな〜
    最後の方、「??」ってなって混乱したけどこれは過去の話しと今の話しが繋がっていたってことか?
    でも犯人が自分が思ってた人と違ってたのは驚きました(⊙ө⊙)

  • 初めて読んだ浅倉秋成さんの作品。
    逃亡劇は好きなので読んでみました。
    自分も主人公みたいにここまで追い詰められたら…!と想像するだけで恐い。
    いやぁ〜騙されました。犯人の動機を知ると、"え!そんなことで?!"っていう気持ちになりました。
    仕事休みなので、読み進められたけど、始めの方はゆっくりで、のめり込むまでに時間がちょっとかかりました。

    事件に関して、世間の人がツイートしたつぶやきも紹介され、読むと呆れてしまう自分がいることに気づいた。
    匿名で気軽に自分の想いをネットに呟ける時代、、自分の発言には責任を持たないと誰かの人生が狂わされるかも!?

  • 自分は悪くない。誰も守ってくれない中でそう言うしかなくなった社会がここにある。主人公がどんなに自分は悪くないと言っても。
    自分を守ることばかりになっていないだろうか、落ち着いて真実を捉えているだろうかと考えさせられた。そういいつつも、後半、読んでいて頭の中は??になっていて、全然落ち着いてなかったけれど。

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著者プロフィール

1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。『教室が、ひとりになるまで』で推理作家協会賞の長編部門と本格ミステリ大賞の候補作に選出。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』『六人の嘘つきな大学生』など。

「2023年 『六人の嘘つきな大学生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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