夏鳥たちのとまり木

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575245202

作品紹介・あらすじ

中学教師の葉奈子は中二の夏、ネットの掲示板で声をかけてきた男のもとに身を寄せた。そこは、母親から放置されていた葉奈子が逃げ込んだ場所だった。だが、教え子の女子生徒が抱える秘密と、15年前の夏の記憶が重なったとき、ひとつの真実が立ち上がる――。心に傷を負ったまま生きる中年男性教師の再起を絡めて描く、希望と祈りの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 生きづらさを抱えるすべての人へ。絶対読んでほしい奥田亜希子の5作品(瀧井朝世・選) | カドブン
    https://kadobun.jp/feature/readings/entry-47407.html

    夏鳥たちのとまり木|COLORFUL
    https://colorful.futabanet.jp/list/books/626100bc7765616095010000

    家に居場所のない少女が逃げ込んだ先は、SNSで知り合った男が住むアパートの一室。15年後の大人になった今、あの日々に隠された真実と、自分が負った「傷」の正体に向き合う。『夏鳥たちのとまり木』奥田亜希子|ブックレビュー|COLORFUL
    https://colorful.futabanet.jp/articles/-/1392

    SNSで庇護を求める未成年者の誘拐、その是非が読み手の倫理観を揺さぶる! 新米女性教師と中年男性教師のバディ小説『夏鳥たちのとまり木』著者・奥田亜希子インタビュー(前編)|インタビュー・対談|COLORFUL
    https://colorful.futabanet.jp/articles/-/1376

    夏鳥たちのとまり木 - 奥田亜希子 (単行本) | 双葉社 公式
    https://www.futabasha.co.jp/book/97845752452020000000?type=1

  • 中学教師の葉奈子は中二の夏、ネットの掲示板で声をかけてきた男のもとに身を寄せた。
    そこは、母親から放置されていた葉奈子が逃げ込んだ場所だった。
    だが、教え子の女子生徒が抱える秘密と、15年前の夏の記憶が重なったとき、ひとつの真実が立ち上がる――。
    心に傷を負ったまま生きる中年男性教師の再起を絡めて描く、希望と祈りの物語。

    性格は冷めているけど余り歪んでいない葉奈子。中学の先生としてよく働くなぁ~と違うところに感心してしまった。

  • ハナちゃんは大丈夫だよ。世間的には間違っていることで救われた人もいる。でもその優しさの裏側には何があったのだろう?無害なフリをして弱者から搾取する気持ち悪さ。葉奈子が過去と決別し、星来を助けることが出来たのは溝渕のおかげだった。最初は嫌悪感しかなかった溝渕と徐々に距離を縮めていく(恋愛感情ではない)さまも良かったし、過去を教訓として星来を助けることが出来たのも良かった。鳥たちのとまり木のように疲れた時に身体を休める場所がみんなにあったらいいのにな。ドキドキしながら一気読み。

  • 一見良くないこと、道徳に反することに見えても、もしかしたらそれである意味では救われてる人もいるっていうことにハッとさせられた。命を続ける、命をつなぐっていうことは本当に複雑なんだ。

  • すごいよかった…帯にも書かれていて序盤のキーワードでもある「はなちゃんは大丈夫だよ」「あの人は言ってくれた。大丈夫だよ、と。」が呪いの言葉だったとはね…

    家にいたくなかった中学生のころ、ネットで知り合った見知らぬ男の家に泊めてもらい無責任に「大丈夫だよ」と言ってもらったことを美化してしまった葉奈子が、同じような体験まっただなかにある星来の思春期特有の悩みと苦しみ、大人に手助けされて成長する姿にあわせて己の苦しみに蹴りをつけるの、美しいストーリーだ。

    ナオは葉奈子がヤバさに気づいて向き合う前から前略プロフィールで女子中学生見繕ってるヤバい男だけど、その気持ち悪さと正面から向き合うのはキツイよな…実際吐いてたし…

    それにしても葉奈子の母親やナオや江成みたいなクズを書くのもうまいけど溝渕や岡江みたいな善人を書くのもうまいな。
    そんな真人間の溝渕が、妻を失った事実から立ち直れず新興宗教に入ってたくだりメッチャ重い…信仰に同意はしてないけど孤独なところに話を聞いてくれた会員たちと離れがたくて入信してしまったのつらすぎる。寂しさに付け入る悪どさよ。

    ナオとの記憶を美化してしまったからこそ人にも話せず乗り越えることもできなかった葉奈子だからこそ「星来の中に美化された江成の記憶を残さないこと」を重要視できたんだよな。
    ラストで溝渕の亡くなった奥さんを「すごい教師だ」と葉奈子は言ってたけど、星来にとって葉奈子もすごい教師だよ…立派よ…

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    中学教師の葉奈子は中二の夏、ネットの掲示板で声をかけてきた男のもとに身を寄せた。
    そこは、母親から放置されていた葉奈子が逃げ込んだ場所だった。
    だが、教え子の女子生徒が抱える秘密と、15年前の夏の記憶が重なったとき、ひとつの真実が立ち上がる――。
    心に傷を負ったまま生きる中年男性教師の再起を絡めて描く、希望と祈りの物語。
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    未成年者誘拐というひとつの要素を芯に据えて、そこに行きつくまでの現実的な心の問題や、誘拐した側とされた側の意味付け方、周囲の反応、渦中にある者と客観視する者とのギャップなどなど、ただひとつの正解などない問題を描き、さらには、過去にさまざまな体験をしてきたひとりの人間としての教師の在り方をも絡めて、物語が進んでいく。誰もが、自分が抱える問題で飽和状態になり、ひととき羽を休める場所を求める。それが良いことなのか悪いことなのかは、その時にはわからず、そこから逃げ出せて時が経ってからやっとわかることなのかもしれない。胸がぎゅっと締めつけられるような一冊だった。

  • どんな事情があったとしても、たとえ性行為がなかったとしても、未成年者を誘拐するというのは許されないという思いをあらたにしました。
    周りの大人は未成年者を守り、適切に手を差し伸べる必要があるのだと。
    私にも同じ年ごろの子どもたちがいますが、「苦しかったら周りの大人を頼ること」と繰り返し伝えるようにしています。「親に言いたくないのなら、スクールカウンセラーでも話しやすい先生でも、かかりつけ医でもいい。一人で抱え込まないように」と。
    これからも、折に触れてそのように話していきたいと思います。
    自分の弱さを認められる人こそ、きっと他の人に愛とやさしさを持つことができるでしょうから。

  • 教師の主人公の過去の出来事と、教え子の出来事がオーバーラップする。夏鳥は少女の比喩だろうか。善悪の区別がつかないまま搾取されているのかもしれない。

  • あまり何も情報なく、図書館で借りた本だったけど結構良かった。
    女の子が騙されただけと思いたくない気持ち、
    具体的に身体に接触してこなくても性的に搾取されていること、1番しんどいときに助けてくれた人に惹かれてしまうこと。
    色んなことがでてきて納得したり、
    諭されたりっていう感じの話だった。

  • 面白かった!
    学校の先生って大変なんだね、なんか、やっぱりほっとけないもんなんだな。
    わたしなんか、つい自己責任!って思っちゃうけど、小さい子は守ってあげないとダメか、そうか。
    何歳まで守ればいいのかな?
    横溝先生が正真正銘の良い人で、びっくりした。

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著者プロフィール

1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒。2013年『左目に映る星』で第37回すばる文学賞を受賞しデビュー。他の著書に『透明人間は204号室の夢を見る』『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』『魔法がとけたあとも』がある。

「2021年 『求めよ、さらば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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