- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575245202
作品紹介・あらすじ
中学教師の葉奈子は中二の夏、ネットの掲示板で声をかけてきた男のもとに身を寄せた。そこは、母親から放置されていた葉奈子が逃げ込んだ場所だった。だが、教え子の女子生徒が抱える秘密と、15年前の夏の記憶が重なったとき、ひとつの真実が立ち上がる――。心に傷を負ったまま生きる中年男性教師の再起を絡めて描く、希望と祈りの物語。
感想・レビュー・書評
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ハナちゃんは大丈夫だよ。世間的には間違っていることで救われた人もいる。でもその優しさの裏側には何があったのだろう?無害なフリをして弱者から搾取する気持ち悪さ。葉奈子が過去と決別し、星来を助けることが出来たのは溝渕のおかげだった。最初は嫌悪感しかなかった溝渕と徐々に距離を縮めていく(恋愛感情ではない)さまも良かったし、過去を教訓として星来を助けることが出来たのも良かった。鳥たちのとまり木のように疲れた時に身体を休める場所がみんなにあったらいいのにな。ドキドキしながら一気読み。
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中学教師の葉奈子は中二の夏、ネットの掲示板で声をかけてきた男のもとに身を寄せた。
そこは、母親から放置されていた葉奈子が逃げ込んだ場所だった。
だが、教え子の女子生徒が抱える秘密と、15年前の夏の記憶が重なったとき、ひとつの真実が立ち上がる――。
心に傷を負ったまま生きる中年男性教師の再起を絡めて描く、希望と祈りの物語。
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未成年者誘拐というひとつの要素を芯に据えて、そこに行きつくまでの現実的な心の問題や、誘拐した側とされた側の意味付け方、周囲の反応、渦中にある者と客観視する者とのギャップなどなど、ただひとつの正解などない問題を描き、さらには、過去にさまざまな体験をしてきたひとりの人間としての教師の在り方をも絡めて、物語が進んでいく。誰もが、自分が抱える問題で飽和状態になり、ひととき羽を休める場所を求める。それが良いことなのか悪いことなのかは、その時にはわからず、そこから逃げ出せて時が経ってからやっとわかることなのかもしれない。胸がぎゅっと締めつけられるような一冊だった。 -
どんな事情があったとしても、たとえ性行為がなかったとしても、未成年者を誘拐するというのは許されないという思いをあらたにしました。
周りの大人は未成年者を守り、適切に手を差し伸べる必要があるのだと。
私にも同じ年ごろの子どもたちがいますが、「苦しかったら周りの大人を頼ること」と繰り返し伝えるようにしています。「親に言いたくないのなら、スクールカウンセラーでも話しやすい先生でも、かかりつけ医でもいい。一人で抱え込まないように」と。
これからも、折に触れてそのように話していきたいと思います。
自分の弱さを認められる人こそ、きっと他の人に愛とやさしさを持つことができるでしょうから。 -
教師の主人公の過去の出来事と、教え子の出来事がオーバーラップする。夏鳥は少女の比喩だろうか。善悪の区別がつかないまま搾取されているのかもしれない。
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あまり何も情報なく、図書館で借りた本だったけど結構良かった。
女の子が騙されただけと思いたくない気持ち、
具体的に身体に接触してこなくても性的に搾取されていること、1番しんどいときに助けてくれた人に惹かれてしまうこと。
色んなことがでてきて納得したり、
諭されたりっていう感じの話だった。 -
面白かった!
学校の先生って大変なんだね、なんか、やっぱりほっとけないもんなんだな。
わたしなんか、つい自己責任!って思っちゃうけど、小さい子は守ってあげないとダメか、そうか。
何歳まで守ればいいのかな?
横溝先生が正真正銘の良い人で、びっくりした。