TENGU (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575523157

作品紹介・あらすじ

中央通信の道平記者は26年前に群馬の寒村を襲った連続殺人事件の捜査資料と対面し、再び動き出す。凄惨きわまりない他殺体の写真と唯一の物証である犯人の体毛。当時なかったDNA鑑定を行なうと意外な事実が……。天狗伝説の真相とは!? 70年代の世界情勢が絡む壮大なスケールで、圧倒的評価を得て大藪春彦賞に輝いた不朽の名作が双葉文庫で蘇る。

感想・レビュー・書評

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  • 群馬の北部の小さな村で起きた、連続殺人事件。遺体の損傷からして、人間業ではない……この地域に古くから伝わる天狗の仕業か?あるいは他の何か……

    「奴」とは何者なのか。中盤あたりまで犯人像が掴めず、でも事件は繰り返される。分からないものに翻弄される恐怖が伝わってきます。

    正直、タイトルから連想して、妖怪話かな〜と思ってましたが……進化とか人類考古学にまで及ぶスケールの大きさ^^;

    米軍、CIA、FBI……ベトナム戦争やテロ、汚職事件等々、1970年代の世界情勢ワードが連なり、話が壮大になっていくにつれて、どんどん引き込まれていきました。

    一時Naokiman ShowとかYouTubeで観てたので、終始ゾワゾワしながら読み進められました笑都市伝説とかが嫌いじゃなければ楽しめるかと!

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    人間の4歳児と同等の知性を持ち、感情も行動も、言葉も発するが、分類学上明らかに猿であるオランウータンの人権をみとめるか?人権とは種に対してではなく、本来は人格を持ってして与えられるべきものなのではないか?
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    同じ人間同士でさえ、認め合うことが難しいのに……生物との共存、自然との共存。これを本気で考えるのはもっと難しい……(嘆いてばかりじゃダメなんですけどね(¯―¯٥))
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    『そうだ。確かにたいしたことじゃない。人間1人の命の重さなど、国家権力の前には1枚の紙切れにも相当しないのだ。たいしたことじゃない』
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    力を持ってると思ってた人物でさえ、実際はもっと上の権力の駒に過ぎなかったことを知った時の主人公の心情。

    多分、何もかもから自由になるなんてことは出来ない。だから、せめて自分でコントロールしたい、自分が判断を下せる立場でありたいという思考が、人の中で無意識に行われている、のかもしれないと思いました。

    ミステリーとかサスペンスの範疇にとどまらず、人間の尊厳・人権・生命とは?を考えさせられる物語でした。


    ______それにしても、こんな田舎から壮大なストーリーに発展していくとは……。実は出身地が舞台なので、なんだか嬉しいꉂꉂ(¯ᗜ¯艸)

    • かなさん
      Kさん、えっ!!
      この作品の舞台ってどこ??
      群馬の寒村…??えっ!
      そして、Kさんの出身地??
      うちの近く、かも(^^ゞ
      Kさん、えっ!!
      この作品の舞台ってどこ??
      群馬の寒村…??えっ!
      そして、Kさんの出身地??
      うちの近く、かも(^^ゞ
      2023/09/10
    • Kさん
      ∑(°∀° )なんと!?えっ!?
      ほんとですか!

      出身地が絡むから面白半分で読んだのですが、
      まさか、かなさんとの接点を見つけてしまうとは...
      ∑(°∀° )なんと!?えっ!?
      ほんとですか!

      出身地が絡むから面白半分で読んだのですが、
      まさか、かなさんとの接点を見つけてしまうとは!

      これぞ本の力ですか……!
      えっ(゚ロ゚;)(驚き収まらない…)
      2023/09/10
  • 奇しくも京極夏彦氏の「天狗」の後に本書を読んだが、こちらの方がより興味を持って読了できたことは事実。
    タッチはハードボイルドテイストで、一見、横山秀夫氏風のミステリー…? と思いきや、クライマックスに差し掛かると大転回し、一歩間違えばトンデモ本という際々を攻めるではないか。
    ラストはちょっとやり過ぎの感も否めないが、個人的には嫌いな冒険ではない。
    この著者は以前、ノンフィクションを一冊読んだ時に結構残念な感想を持った印象が強いが、本作は娯楽小説として充分楽しめた。

    一点、警察庁と書くべきところを警視庁としている明らかな誤記が見受けられたのは、単行本から文庫化されている作品であり、さらに今回が復刻版であることも鑑みるといただけない。

  • 久々に面白かったなぁ。
    なんていうか人間、種、化物みたいなカテゴリーの小説は結構想像力を掻き立てられてわくわくする。
    フィクションなのか本当に実在するのか、、、
    今日も妄想が捗るのである。
    あと彩恵子が美しい。

  • 前作(?)のKAPPAがオチが読めてしまい微妙だったのであまり期待していなかったのだが、面白い。
    今作の方が犯人の正体不明感、怪物感が強く、
    作中の目撃証言から早い段階から「おかしくなった黒人の囚人なんじゃ?」と疑っていたが、犯行の人間離れした暴力的すぎる様子や(途中で得られる)DNA鑑定の結果が推測と合わず、なんらかのミスリードを予感させられ、ワクワクしながら読み進められた。

  • なんというか、アメリカに喧嘩売ってる?って思っちゃいました(笑)

  • 外界から隔離された村で起きた連続殺人事件。天狗の仕業?知的障害がある盲目の美女、それに従う「何か」。
    民俗系ホラー小説かな?と思ったら、ベトナム戦争とかFBIとかUMAとか、どんどん話が謎の方向へ進み……
    ネアンデルタール人と日本人の混血児まで出てきてしまう結末。
    どうして天狗路線で行ってくれなかったんだ???と思いつつも、なんとも言えない面白い本読んだ感じがする。

  • 言われてみれば、化石で絶滅期を測るのは誤りがありそうです。

    高野和明さん著『ジェノサイド』のように、少しでも人間とされている範疇を超えた人間を見つけると、途端に人間は排他性を剥き出し、排除を試みてしまう心の狭さがあると感じました。

  • 記録

  • 作者の柴田さんのハードボイルドな感じがすごく好き。小物にこだわるところがツボです。
    今作はとても壮大なストーリー。人類の歴史に繋がる物語でした。

  • 某ラジオ番組のコーナーで紹介されていたこの本。オンエアを聞いてすぐkindleで購入。迷宮入りしていた未解決事件を、当時取材していた記者が改めて追及していく物語。これだけだとありきたりな話であるが、とにかく壮大な時代背景や、各国の関係性がいいテンポで盛り込まれており、退屈さは感じなかった。ただ、TENGUの正体があまり納得いっていない。途中の描写がどうしても「進撃の〇人」を彷彿させる。ラストももう少しあっても良かったような…スピンオフでもする気だったのかな?(読書メーターにも同様の感想記載)

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著者プロフィール

1957年、東京都出身。日本大学芸術学部写真学科中退。フリーのカメラマンから作家に転身し、現在はフィクションとノンフィクションの両分野で広く活躍する。パリ〜ダカールラリーにプライベートで2回出場し、1990年にはドライバーとして完走。1991年『KAPPA』で小説家デビュー。2006年、『下山事件 最後の証言』で第59回「日本推理作家協会賞・評論その他の部門」と第24回日本冒険小説協会大賞(実録賞)をダブル受賞。2007年、『TENGU』で第9回大藪春彦賞を受賞し、ベストセラー作家となった。他の著書に『DANCER』『GEQ』『デッドエンド』『WOLF』『下山事件 暗殺者たちの夏』『クズリ』『野守虫』『五十六 ISOROKU異聞・真珠湾攻撃』『ミッドナイト』『幕末紀』など、多数ある。

「2021年 『ジミー・ハワードのジッポー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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