蔦重の教え (双葉文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575524550

作品紹介・あらすじ

55歳、仕事で大ポカをして依願退職を強要された人生がけっぷちの広告代理店営業マン、武村竹男(タケ)はお稲荷さんの怒りを買い、1780年代の吉原にタイムスリップしてしまった! しかも自分を揺さぶり起こしたのは吉原のガイドブックで当てている出版界の風雲児、蔦屋重三郎(蔦重)だった! なぜか20代の体に戻ったタケは蔦重のもとで働くことに。そこには後に世界で知られる浮世絵師、喜多川歌麿の若き姿があり、タケは葛飾北斎らとも交流し、蔦重に叱咤されながら、ものづくり、商売、ひいては人生の極意を学んでいく。タケはこのまま江戸の住人となるのか!? ユーモア満点の実用エンタテインメント小説!

感想・レビュー・書評

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  • 面白い作品
    江戸時代にタイムスリップしたサラリーマンが 当代切っての辣腕出版業を営む男に助けられ 人生の意味 生き方 まで見つめなおす。時代小説と 生き方本が組み合わさったような作品。この作者の別の作品も読みたい。

  • 広告代理店の55歳管理職が会社から退職を迫られ、吉原にてやけ酒を食らい気を失う。そして気がついたら江戸時代の遊郭吉原にタイムスリップ。そんな彼を助けたのは蔦屋重三郎だった。蔦重の元で、まだ無名の喜多川歌麿や仲間たちとの交流で、主人公のいわば人生のやり直しが始まる。
    大元の設定はSFになっているが、浮世絵(錦絵)の黄金期を迎える江戸時代の生き生きとした風俗の描写が素晴らしい。それだけでも十分に楽しめるのに、蔦屋重三郎の口から出される言葉の数々が主人公の成長を促す実用的かつ感動ストーリーに仕上がっている。

  • 大河ドラマ化決定で話題の蔦重――江戸の天才出版プロデューサー・蔦屋重三郎を描いた小説だが、なんとタイムスリップものだ。
    現代の広告代理店の管理職がタイムスリップし、蔦重の弟子になるという奇想天外な設定である。

    村上もとか『JIN-仁-』の路線とも言える。
    現代の広告界の人間の目を通して“解説”されることで、蔦重の時代に先駆けるセンスの鋭さが、より鮮明に浮かび上がるという趣向である。

    と同時に、江戸の人々と現代の暮らしぶりの違いも、現代人が“経験”することによって、よくわかる。

  • 主人公が江戸時代にタイムスリップして蔦重こと蔦屋重三郎とともに過ごす日々を描いた作品。設定としてはおもしろかったですが、蔦重の「教え」そのものはなんだかあまり響かなかったです。

    蔦重はこの時代にあって時代の流れをよむことに長けたマーケッターといえるでしょう。その才覚を生かして歌麿や写楽を売り出した点は興味深いですね。ただ、こういった構成ですとどこまでが史実でどこからがフィクションなのかと気になってしまいます。巻末の断り書きのとおり、すべてフィクション、史実もフィクションとして織り交ぜているということなのでしょうけれども…。

    時空を超えて人と人がつながるというロマンはあるのですが、現代に戻った主人公・武村が蔦重の手紙を読んで感動しているところはちょっとわかりやすすぎて、読み手の気持ちがさめてしまうかな~、と思いました。

  • 現代から江戸時代へタイムスリップした武村は、20代前半の若者(タケ)と姿を変え、蔦重に拾われる。
    蔦重は江戸で本屋を営んでいて、そこには後の喜多川歌麿が絵師として雇われていた。蔦重はタケも雇う事にするが、その教えがタケを変えていく。
    蔦重の教えは、江戸っ子特有というのかサッパリしているのだけれど、芯が通っていて気持ちが良い。付箋を貼りながら読んでいたらら最後にキチンとまとまっていた。

    ストーリー的にもハッピーエンドだし、タケが現代に、戻った後どうなったんだろう…という疑問も全て解決して、スッキリした。とにかく蔦重が魅力的だ。
    若い時に読んでいたら、もっと良かったと思ったけど、武村も55歳でやり直せたと思えば遅くはないのかもしれない。
    浮世絵にも興味が湧いた。

  • 社会人としての教訓に溢れた素晴らしい作品。タイムスリップがなんかのドラマみたいやけど、それ以上に学びが満載です。

  • 啓発本のようなねらいもあるのかな?と思ったら、涙涙の感動物語。面白かった!

    江戸の文化、著名人の周辺知識、伏線回収もいいね!

    以下自分のメモ
    物事を反対から考えると別な世界が見える
    何かできないか、ではなく何ができるか
    気が合わない人ほど丁寧に。枝の先に果実あり
    性悪説の方が他人を大切にできる。
    人は得意なことで失敗する。
    苦手なら準備するから失敗しない。
    自分の目、相手の目、鳥の目
    でもとしかしは、金言を逃す
    信者を詰めて書くと儲けるになる
    人を率いるには、率いるなりの苦労がある
    捨てたところに新しい風が入る
    自分に勝つことは他人に勝つことより難しい

  • 蔦重の言葉は教訓だ。もっと若い時に読みたかった。ハッピーエンド

  • 会社からリストラを迫られた中年がタイムスリップしたのは江戸時代だった。喜多川歌麿や東洲斎写楽を売り出したやりて出版人である蔦屋重三郎に拾われ、多くのことを学び自分の人生を見つめ直すという物語。ストーリーも面白いし、学ぶことも多い楽しい読書となった。

  • 再来年の大河ドラマは蔦屋重三郎をモデルにするらしい。恥ずかしながら、「誰?」という感じだった。だから大河ドラマのニュースも「ふーん」くらいで、読んですぐにすっかり忘れていた。だけど、大河の題材は本屋で必ず宣伝されている。この本も派手なポップの下に平積みになっていたのを見かけて思わず手に取った。

    仕事でポカをしたおじさんが江戸時代にタイムスリップして、蔦重、こと蔦屋重三郎のもとで鍛え直される、というお話。

    蔦屋重三郎についての知識ゼロの人間にとっては、彼の周りにどういった人間が集まっていたのかを学ぶのにはうってつけの教材といった感じ。タイムスリップ物に対する苦手意識はないつもりだけど、それにしても全くと言っていいほどのめりこめず。その原因はなんだろうと不思議に思いつつ読み進め、自己啓発小説的な雰囲気が私には合わなかったのだと感じた。「はい、ココ注目!」とずっとリードされ続ける感じに抵抗したくなる自分を抑えつつ読了。

    蔦屋重三郎への興味を持つきっかけにはなったので、彼に関する他の小説があればまた挑戦してみたいとは思う。

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著者プロフィール

著者:車浮代 Kuruma Ukiyo
時代小説家/江戸料理・文化研究所代表
大阪出身。企業内グラフィックデザイナーを経て、作家の柘いつか氏に師事。江戸時代の料理の研究、再現(1200種類以上)と、江戸文化に関する講演、 NHK『チコちゃんに叱られる!』『美の壺』『先人たちの底力。知恵泉』などの TV出演や、TBSラジオのレギュラーも。著書に『江戸っ子の食養生』(ワニ ブックスPLUS新書)、『免疫力を高める 最強の浅漬け』(藤田紘一郎氏と 共著/マキノ出版)、『1日1杯の味噌汁が体を守る(』日経プレミアシリーズ)、 『天涯の海 酢屋三代の物語』(潮出版社)、『蔦重の教え(』飛鳥新社/双 葉文庫)ほか多数。西武鉄道「52席の至福 江戸料理トレイン」料理監修も。 『和食Style.jp 』にて「豆腐百珍のすべて」連載中。

「2022年 『江戸の料理本に学ぶ 発酵食品でつくるシンプル養生レシピ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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