背中の蜘蛛 (双葉文庫 ほ 10-03)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 1590
感想 : 97
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575526103

作品紹介・あらすじ

あなたはもう、これまでの日常には戻れない――。前人未到、孤高の警察小説が誕生した。東京・池袋の路上で男の死体が発見された。目撃者もなく捜査は難航、しかし「あること」がきっかけになり捜査が急転。その後。東京・新木場で爆殺事件が発生。こちらもな捜査はなかなか進展しなかったが、「あること」が転換点となり容疑者が浮かぶ……。捜査に携わる管理官を中心に、新時代の警察捜査を濃密に描く第162回直木賞候補作。

感想・レビュー・書評

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  • 昨年の〆に読もうと思ってたのにこんなに経ってしまった…

    誉田哲也さんお得意の警察物ミステリーなんだけど、すごい考えさせられる内容だった…
    怖い世の中になったもんだと思ったけど、それで解決してる事件もあるわけで…

    重厚感たっぷり。ワクワク感はないけど、面白かった。

  • 誉田哲也『背中の蜘蛛』双葉文庫。

    ノンシリーズの長編警察小説。

    と思ったら、ネット社会の恐怖を描いた現代のホラー小説のような作品だった。

    なかなか捻りの効いた一筋縄ではいかない小説だ。本格的な警察小説を期待していると裏切られ、拒否反応を示す読者も多いのではなかろうか。

    ほら、貴方の背中にも蜘蛛が……

    東京都池袋の路上で42歳の男性の刺殺死体が発見された。警察の初動捜査では目撃者もなく、捜査は難航する。しかし、何故か管理官の指示で男性の妻の行動を確認するとあっさりと容疑者が浮かび上がる。

    その後、新木場で麻薬の売人と目されていた男性が爆殺される事件が発生する。やはり捜査は難航するのだが、こちらの事件も瓢箪から駒のようにあっさりと容疑者が判明する。

    と、ここまでは物語の入口に過ぎない。物語の核心はここから始まるのだ。

    本体価格820円
    ★★★★★

  • ネット社会の恐怖。。。
    ドライブレコーダーに抵抗感があったけど至るところに防犯カメラはあるし、自分もSNSを使ってる時点で情報をさらけ出してるのよねぇ。

  • 初誉田。

    一部二部での事件がどういう形で、三部で大団円を迎えるのか、中々先を見通せない形で物語は進んでいく。作品はプライバシーなき社会、監視社会のあり方への痛烈な批判を内包したまま展開する。これ、現実にあったら違法捜査にならないかな。なるよな。

    國見統括の田辺へのやり口はあまりに身勝手で怖気をふるう。人間のクズだな。ラストも切なくて読後館は必ずしも良く無い。重いどんよりした感情が残る。

    警察小説を読むといつも思うことだが、ぬるい自分の会社と比べると地獄の様な厳しさ。とてもでないが私には務まりません。お巡りさんに最敬礼です。

  • 誉田哲也の作品は、ストロベリー
    ナイト以来だった。
    500ページ超えの長編ながら、
    テンポも良く、あまり説明の描写
    も少なくて読みやすい。
    行き過ぎた監視社会をテーマにし
    ていて、興味深い。
    文庫の帯にあった、秒で犯人がわ
    かる!というのも、読み始めて、
    納得した。

  • 三部作からなる長編でした。これが伏線か‼︎と感心しながら楽しめた作品だった。
    行動 通信 全てにおいて監視されているだろうこの社会の中に正義がある事を信じたい。誉田さんの作品にはそれを期待させてくれる人物がいて頼もしく思う。
    誉田警察小説は面白い。

  • 解説ではなく感想を。

    ズバリ、この長編大作はいい!
    盗聴、監視カメラ、情報化の現代において、全ての電子データはダダ漏れで正義も悪も活用しているってことをあらためて認識した。
    本編、池袋署の刑事課長•本宮が主人公として展開される殺人事件から始まり、次の事件は組対を主とした2話となる。それぞれの事件の解決の裏に隠れたネタもとへの疑惑が、本宮管理官の思いとシンクロし、読んでいて楽しい。シリーズものではない作品を展開する中で、登場人物のキャラ付けが巧で、ジウや歌舞伎町セブン、姫川シリーズを読んでるような錯覚に陥った。
    最後のシーンで兄貴を殺す要因となったところはもう少し捻っても良かったかなと思うが、全体通してこの情報化社会と国家警察の仮想担当部署が現実のように思えて、きっとあるなーと危機を覚えた。また、章ごとに主人公人称が入れ替わり、それぞれのキャラの想いが伝わってるのも素晴らしかった。

  • 凄い充実感。いくつかの事件、何人かの刑事を中心に、どう繋がっていくか先が見通せない話が展開され、更に誰なのかわからない人物も加わって、中盤ちょっと過ぎまでは読み進めるしかなかった。背中の蜘蛛(蜘蛛の背中?)が何なのかわかり始めると、頭の中でも話が繋がり始めて止まらなくなっていく。話の広がりを考えると、着地点が意外な感じにはなるが、まあそんかものかな、とも思う。実際の世界がどうなのかははっきりわからないが、参考文献の多さを見ると、リアリティがある話なのかもしれない。あと、帯に「秒で、犯人が見つかる」とデカデカ書かれてるのは本題とかけ離れてる気がするが……。

  • 私が納戸に溜め込んでいる積読の中でおそらく最古にあたる本。
    (本棚のやつはもう埋もれてしまい分からない…いつかちゃんと発掘しないと…)
    厚みだけで積読と化してたのですが、先日読んだヒトリシズカが面白かったので、あまり間をあけず手に取りました。
    誉田哲也氏、好んで読む作家さんのうちの1人なんです。

    さて、なかなかの厚みを誇る本作。
    第一章︙小事件(さっくり解決)ページ薄め
    第二章︙小事件パート2(さっくり解決)ページ薄め
    となっております。
    ほぼ三章にページ割かれてる!!まぁそれもそのはず!なんですけどね。

    第一章のさっくり解決………の割にこの微妙に残るモヤモヤ感。
    第二章もさっくり解決………なのにさらに輪をかけるモヤモヤ残留。
    このモヤモヤ感が「背後に何かあるんですよぉぉ〜?さぁて〜?何でしょうねぇ〜?」を匂わせまくっててめちゃめちゃいい感じ!\⁠(⁠^⁠o⁠^⁠)⁠/

    さらに帯のアオリは『秒で犯人が見つかる』。
    確かに、一章と二章見れば、あっさり犯人が分かって表向きは解決してるんですよ。秒で犯人が分かってるね〜
    は!!!もしかしてこれは足使わなくてもスパイダー使って『秒で犯人が分かる』って言いたい!?掛けてる!?かかってない!?ボタン一個だもんね!!!
    (唐突なネタバレ)
    (ちなみにボタン一個って訳にはいかないと作中にあります。スパイダーで犯人が分かるわけでなく、皆さん、細かくデータ突き合わせしてます。)

    スパイダーという物を使い国民を監視し、芽吹いた犯罪を拾い、捜査に使う。
    もちろんネタ元は明かせないのでタレコミという形で。

    前半で防犯カメラを出してきてるのが秀逸だなと思ってまして。
    防犯カメラって言い方は聞こえはいいけど、要は監視カメラ。
    監視カメラは良くてスパイダーがダメな理由は???

    良い方にも悪い方にもものすごい勢いで進化する情報化社会の中で、犯罪というものに対抗する力をどうつけるか。
    昨今増える犯罪の手口を見ても、従来通りではダメなのだろう、しかし監視社会は過去の特高警察なんかを振り返っても頂けない。

    世の中どうなっていくんだろうなぁ。

    最後は監視社会の使い手側の気概をしっかり描かれてて素晴らしい作品でした。

    読みだしたらもう全然止まらなくて!あのページ数なんかものともしない!面白いエンタメ小説です。




    @手持ち本

  • テクノロジーの進化に法整備が追いつかない状況の中で、ワルはやりたい放題。そういうワルを法で認められていないテクノロジー使って懲らしめるなり、被害を未然防止するのは、どうなんだろ?というお話。

    難しいねぇ・・・

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著者プロフィール

誉田哲也
1969年東京都生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞。主なシリーズとして、『ジウⅠ・Ⅱ・Ⅲ』に始まり『国境事変』『ハング』『歌舞伎町セブン』『歌舞伎町ダムド』『ノワール 硝子の太陽』と続く〈ジウ〉サーガ、『ストロベリーナイト』から『ルージュ 硝子の太陽』まで続く〈姫川玲子〉シリーズ、『武士道シックスティーン』などの〈武士道〉シリーズ、『ドルチェ』など〈魚住久江〉シリーズ等があり、映像化作品も多い。

「2023年 『ジウX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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