それでも会社は辞めません (双葉文庫 わ 10-02)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575526981

作品紹介・あらすじ

福田初芽は人材派遣会社の新入社員。営業部の厳しいノルマについていけず、生産性の低さを上司から責めらる日々だ。ついに上司から匙を投げられ異動を命じられたのは、AI推進部という曰くつきの部署だった。ここは会社中の「使えない社員」ばかりが集められたという噂だ。意気消沈していた初芽だが、AI推進部で働くうちに考え方が変わり始めて…。「今の仕事が好きじゃない人」必読! 累計230万部超えのビジネス書作家が、ビジネス書では絶対に書けなかった人生の〈秘訣〉を描く、より豊に生きるためのお仕事小説。

感想・レビュー・書評

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  • 和田裕美さん初読みの『それでも会社は辞めません』の概要と感想になります。

    書店で見つけた本作の装画から、社畜の奮闘記かな?と想像しましたが全然違いました(笑)

    派遣会社に正社員で入社した福田初芽(はじめ)は、派遣スタッフ一人ひとりと真摯に向き合うことを信念に営業部で頑張っていたが、AI推進部なる部署へ異動を言い渡される。そこは会社のお荷物と囁かれるような人々が集まる場所で、初芽は仕事のモチベーションを見失っていく。しかし、とあるラッキーアイテムを機に初芽とAI推進部の見える世界は次第に変化して…。

    平凡に思える仕事の毎日であっても、振り返れば幸せの積み重ねなんだと思わせてくれる本作は、仕事に疲れた時に程良い癒やしを与えてくれるセラピー的な作品でした。

  •  人材派遣会社に入社して間もなく、窓際部署に追いやられた女性社員とその仲間たちの奮闘を描くヒューマンドラマ。

     主人公の福田初芽と彼女と関わる5人の人間の物語が描かれる。
              ◇
     その日、福田初芽は朝から石黒部長の前で小さくなっていた。理由は些細なことだった。会議資料8部をカラーコピーしてしまったというだけである。だが、営業成績が上がらない初芽に対し石黒の叱責は容赦ない。生産性が低いクセに会社に損失を与えたというのである。

     結局この日、役に立たない人間は不必要とばかりに初芽は営業部を逐われAI推進部へと異動することになった。
    初芽が意気消沈して向かった AI推進部。それは 11 階フロアの片隅にあり、物置と見紛うような薄汚い部屋だった。
    そしてそこは、社内の IT環境の整備を担当しているわけでもなく、社運を左右する情報分析を行っているわけでもない、いわゆる誰もが嫌がる雑用をさせられるだけのリストラ部屋だった。
    (第1話「福田初芽(23)の叛逆」) 全7話。

          * * * * *

     この会社、大丈夫なのか。読み始めてまずそう思いました。人材不足が露呈しているように見えます。業界中堅なのだから、もう少し有能な人間がいるのではないかと思うのに、あまりにひどい。

     まず、頼りない2代目社長に代わって実権を握っているのが、いち営業部長に過ぎない(「取締役」ですらない) 石黒であるという点。重役連中の影も見えません。普通は副社長なり専務なりが若社長の補佐役につくでしょう。

     2つ目は、石黒の直属の部下たちの力量のなさ。石黒に阿るだけで、あとは上司の威を借りては目下の者にパワハラを繰り返すしか能がない。こんな阿諛追従の愚物を左右に置いているのは、そんな人材しかいないか、石黒がそれだけの人物でしかないかのどちらかでしょう。

     さすがにAI推進部に属する面々は多少は不器用であるものの、人間性が豊かで思いやりに満ちていたけれど、ラストの一発逆転が……。

     それまで憎まれ役として登場してきた人間がすべて善良な人だったというのはどうなのでしょう。人間はコンプレックスや置かれた境遇でパワハラやセクハラをしてしまうのであって、悪意の塊というわけではないとでも言いたかったのでしょうか。( 小狡い人間はどこまでいっても小狡いだけだと思います。)

     もっと違うクライマックスを用意してもよかったのではないかと思いました。

     人気作品で予約してから2か月待ちました。人生に対する希望を喚起する作品で、たとえ一時的に不遇であっても前を向いて生きていこうというメッセージはよくわかります。ただリアリティに欠けるという点で、小中学生向きの内容に留まっていたのは残念に思いました。

  • 今まさに仕事を辞めようとしてる自分。笑
    辞める決意は変わらなかったけど、とても良い作品だった。
    仕事だけでなく日常でも思い出せば心がスっと軽くなるフレーズがたくさん詰まってる。

    前向きになれるオススメの1冊。


    作中より印象に残ったフレーズ

    "悩んでも怒っても変わらないことに意識を向けるより、相手の心の中に意識を向けてちょっとだけ理解できると人の心は癒やされるんだ"

    "誰かへの強い憎しみは、自分の心の水槽に泥水を流すじゃないですか。汚染されていくのは憎い相手ではなく、自分の心だから"

    • Manideさん
      みたらし娘さん、おはようございます。

      タイムリーですね(笑)
      私も仕事を辞めようとして、ほぼほぼ決まったところだったので、私も興味惹かれる...
      みたらし娘さん、おはようございます。

      タイムリーですね(笑)
      私も仕事を辞めようとして、ほぼほぼ決まったところだったので、私も興味惹かれる作品です。最近、いろいろなところでめにする作品なので。

      前向きになれるのはいいですね。
      私も早く読みたい作品です。私も辞めちゃうけど(笑)
      2023/11/09
  • お仕事小説だけど社会人というより
    高校生や大学生とかにも読んでもらいたいと思った。

    生産性だけが全てじゃない。

  • ちょっとしんどいお話かとおもってたら案外そうでもなかった。

    最後の最後は「おっ?」と予想の斜め上をいきましたが、それはそれで良かった良かった。

    生産性や効率無しでは会社は成り立たないけれど、それだけじゃなく当たり前のことをちゃんとしてる人間がちゃんと報われる社会になってほしいなぁと思う。

  • 何があっても会社を辞めないことも価値観。
    何がなくても会社を辞めることも価値観。
    何が正しくて、正しくなくてというのは究極的には個人の価値観で決まる。
    同じ価値観を持った人が集まればクロがシロにもなるし、逆も然り。
    そんなことをあれこれ考えながら読んだ本。
    深く考えるとすごく難しい問題を投げかけている本だと思った。

  • 会社のお荷物社員の姥捨山として扱われているAI推進部。自己退社を促す、そんな部署で働く人たちのはなし。

    だれもが仕事をやめたいと思ったことがあると思うが、そんな気持ちを少し和らげてくれる。

    会社を水槽と見立てて、上でキレイに泳いでいる魚がいれば下で水槽のゴミを食べてくれるエビもいる。
    ほんとそうだと思います!
    どこの会社もそうだと思うけどエビの扱いや待遇がよくならないのは、エビのおかげで水槽がキレイなのが魚たちは分かってないんだよね。
    人の上に立つ立場の人に読んでほしい

  • 仕事が辛くなってきたときに読めば元気になるビタミン小説。しんどかっても、「置かれた場所で咲きなさい。見方を変えましょう。自分の仕事は誰かの役に立っている。みんな辛く苦しい場面でも、歯を食いしばって頑張ってるんだな。」と、自分を奮い立たせてくれた。水槽のエビの話は心に残る。

  • さらっと読める読後感のいい小説でした。ストーリーも重すぎず軽すぎず、そっと背中を押してくれるような励ましが欲しいときにちょうど良さそうな小説です。重たい話を連続で読んですこし休憩したい方、本作いかがでしょうか。

  • 強者と弱者は表裏一体の必死さ〜っていう書評を読んでの 読み終わり。サクッと読めたけど 最後が あっけなくて。さっきまでの痛快さは どこへいったの?
    あたしも 中高生だったら 勇気 元気 やる気 もらえたかも〜なんて思っちゃった。だから ⭐️3つです。

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著者プロフィール

和田裕美(わだ・ひろみ)
作家、京都出身。
外資系教育会社での勤務経験から『世界No.2営業ウーマンの「売れる営業」に変わる本』を上梓しデビュー。著書の累計は230万部を超え、女性ビジネス書作家の先駆けと呼ばれている。『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』『人に好かれる話し方』『人生を好転させる「新・陽転思考」』小説『タカラモノ』、そしてロングセラーとなる『和田裕美の営業手帳』など著作多数。華々しい経歴の陰にあった家庭環境や自身の極度な引っ込み思案を背景に書いた絵本『ぼくはちいさくてしろい』は、道徳科教科書『いきるちから』に掲載されている。NHK Eテレ「芸人先生」レギュラー出演、FM FUJI「WADA CAFÉ」パーソナリティーなどメディアでも活躍。
2023年、自身の小説『タカラモノ』を舞台劇化した。

「2023年 『2024 W's Diary 和田裕美の営業手帳2024(サックスブルー)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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