- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575664409
感想・レビュー・書評
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シリーズ第2弾。
油問屋の一人息子が神隠しにあって戻って来たという事件の探索を命じられた卯之吉。例によって世間知らずののほほんとした言動を周りが誤解して、凄腕の名が高まってゆく。
脇役のキャラ造型も深まってきて、荒海の親分の面倒見のよさ、上司の沢田のオッサン爆発ぶりなど楽しい。
ストーリー自体は意外にシリアスで、「善行をなすために悪事を働くこと」に対するくだりにはなるほどと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
5月8日~5月11日
盗賊・霞ノ小源太一党が江戸の町を震撼させていた。そんな折、油問屋・白滝屋の一人息子が高尾山の天狗にさらわれるという事件が起きた。見習い同心の八巻卯之吉は、南町奉行所筆頭同心の村田銕三郎から探索を命じられる。江戸一の札差の息子、卯之吉が八面六臂の活躍をする、大好評シリーズ第二弾。 -
幡大介先生の作品3冊目!
結構楽しめる作家さんです
妙にとぼけた(というか、醒めた)物語の展開や
主人公に思わずニヤリとしてしまいます
主人公を万能にしてもまずいと思いますが
面白い! -
第二弾
盗賊霞ノ小源太の捕縛に関する一幕
廻りと、偶然と勘違い+αにより事件を解決 -
盗賊霞ノ小源太一味の探索と召し捕りに追われている中、南町奉行所に因幡町にある白滝屋の跡取り息子七之助の神隠し騒動の話が持ち込まれた。「余計な事件に人手を割ける状態ではない」ので「仕事らしい仕事は任せられない見習いの、さらに、何を考えているのかさっぱりわからぬ唐変木」と筆頭同心から評価されている八巻卯之吉が担当を命じられる。
卯之吉は同心の家に生まれ育ったのではなく、江戸一番の札差・両替商で、大名相手の高利貸しも行っている三国屋の若旦那だった。主人徳右衛門は孫の行く末を案じ、金の力で同心株を手に入れ、八巻家の養子として卯之吉を押し込んだのである(第一巻『八巻卯之吉放蕩記』)。根っからの放蕩息子の若旦那なので、世間の常識から見れば考えられないような言動をしてしまう。そして、回りが勝手に誤解し、思いこみから動いてしまうことが、卯之吉が事件の真相に辿り着く道筋になっていく。
この勝手な誤解ぶりがおかしく、あれよあれよという間に、脈絡がないような動きが絡み合っていく。
馴染みの花魁としっぽりとぬれるよりも喧嘩騒ぎの方が好きだったり、傷を縫い合わす医工としての腕が見事だったりと、卯之吉の人間味と知識や人脈の幅の広さが、第一巻の卯之吉像よりも深まってきている。
第2巻なのでレギュラーとして登場してくる顔ぶれが揃い始めている。侠客の親分で口入屋を表家業としている荒海ノ三右衛門が押し掛け子分として活躍する様は、おかしみがあり笑ってしまう。内与力の沢田彦太郎の嫌らしさと野暮さも面白おかしさが増幅されている。第1巻では「若衆」とだけで名前がなかった陰間茶屋の売れない若衆方の役者も、今回は由利之丞として登場し、相変わらずのお金への執着ぶりをみせている。レビューを書いている今日時点で最新巻の『卯之吉子守歌』まで読んでいるので、人物像がこれから先の伏線になっていくのも楽しい。
『天狗小僧』だけではなく、シリーズとしての第2巻という見方で★4つの評価とした。 -
沢田の、こんなオッサン厭だなぁ…(苦笑)…という一面がドンと出た2巻。
卯之吉の医術が思ってた以上にしっかりしてて、なんだか頼もしく、優しさとモテっぷりで、今回は実際に活躍してる部分が多かった気がする。
根っからの悪人というのが出てこなかった今作は、それでも、卯之吉の友人の医者白雲軒の『善行を為すために、悪事を働いたことが、いけないのだ』のくだりに最後は納得。
そんな2巻で気に入ったのは、荒海の親分と下女のおミツとの甘味屋でのやり取り。
お汁粉の為に頑張るおミツが可愛い。
親分の面倒見の良さも、和む。 -
卯之助が活躍(?)する大富豪同心シリーズ第2段。
神隠しにあったと噂された大店の一人息子が無事帰ってきて、天狗小僧と噂され、捜査に指名された八巻同心。いろいろと調べていくうちに、2つの事件が、やがて1つにつながっていく・・。
一番印象に残ったのが、事件解決後、医者仲間が言った『悪のための悪なら、まだ良いが、正義のための悪をのさばらせておくと、やがて世の中は悪だらけになってほろんでしまう』といった言葉。
この医師は、このことについて病気に例え、見た目には大したことないと思われる病気が、やがてその人の命を奪う大病になってしまうんだと、とっても説得力のある言葉で説明されていました。 -
②1/2-1/2
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安心して読めるのがいい。