- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575669992
作品紹介・あらすじ
ついに三河を統一した家康。「松平」から「徳川」へ姓も改めた。今川領、遠江侵攻を皮切りに、朝井・浅倉攻め(金ケ崎の退き口、姉川の戦い)、浜松城築城と、家康、勇躍の時。がんばれ茂兵衛、出世のチャンスだぞ! 戦国足軽出世物語、シリーズ第2弾。
感想・レビュー・書評
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「三河雑兵心得」の2冊目。
前半、遠州は曳馬城・掛川城への侵攻、後半は姉川の戦いを中心に描かれる。
信玄の影に怯え、信長にはいいように使われ、部下には気を遣う、苦労人・家康の姿が面白い。
旗本先手役の一員となった茂兵衛はと言えば、本多平八郎に仕え、その幟を預かる旗指足軽としてちょっぴり出世。
今回の戦でも持ち前の頭の回転と腕力を重宝されては、銃弾が鉄笠に命中するわ、何者かに後ろから撃たれるわ、戦でとらえた女武者に惚れるわ、上へ下へと大忙し。
やいやい言いながら支え合う同僚足軽の辰蔵&実弟・丑松とのコンビネーションが楽しい。
出世に欲がなかった茂兵衛だが、ひょんなことから“10年で千石取りになる”と大風呂敷を広げてしまい、これからは必ず首級を持ち帰ると覚悟を決める。
軽輩ながら正真正銘の侍となった茂兵衛のこれからは如何に!? 次巻へ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
三河武士の壮烈な戦いの模様が描かれています。
旗指足軽仁義 ー 三河雑兵心得シリーズの2作目
2020.04発行。字の大きさは…中。2022.02.16~17読了。★★★☆☆
徳川家康の旗本先手組で旗頭を務める本多平八郎の真後ろで、平八郎の幟を持つ旗指足軽に出世した植田茂兵衛が、遠江、近江へと転戦していく物語です。
家康は、松平家康から苗字を徳川に変え、武田信玄の領土である甲斐、信濃、駿河に隣接する遠江の経営に乗り出します。まず飯尾氏が籠る曳馬城、そして朝比奈泰朝が籠城する遠江の掛川城を落とし、居城を三河の岡崎城から遠江の曳馬城(城名を浜松城に変更する)に移し、将来戦う事となる武田への備えを厳しくします。
茂兵衛は、家康の直属部隊として編成された旗本先手組に加わり。名前を出身地の植田村にちなんで、植田茂兵衛と改めます。
家康は、織田信長の出兵要請にこたへて越前国の朝倉を討つために越前へ向かいますが、浅井長政の裏切りにより越前から帰り。改めて浅井長政を討つために近江小谷城へ出兵します。織田と徳川の連合軍が、浅井と朝倉の連合軍と姉川で壮烈な決戦をします。
【読後】
足軽茂兵衛を中心として三河武士の壮烈な戦いの模様が描かれています。此度の見どころは、掛川城と姉川の戦いです。そして茂兵衛の初恋です。茂兵衛を見ていると微笑ましく応援したくなります。 -
ちょっとだけ出世して本田平八郎の旗持ちとなった主人公の茂兵衛。猪突猛進の武将の旗持ちなので常に死線ギリギリのところで働いている。
茂兵衛は大手柄を立てると同時に味方の裏切りで大怪我を負うが、心優しいので許してしまう。闘いの場面が多いが、茂兵衛の優しさで凄惨な場面が回避されるので読みやすい。
出世にあまり関心が無かったのに、父の敵と自分を狙う相手に出世を誓ってしまう。短い期間だけど大丈夫なのだろうか?
恋愛に奥手な茂兵衛も恋の場面が出てくるが・・ -
平坦では無い出世物語は面白い。茂兵衛のマインドが好き。
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面白い。超リアルな戦国もの。時代劇としての、ヒロイックなものではなく、悲惨さや、武将の等身大の人間臭さも描かれる。その中での仲間、立身などの物語としての面白さもある。
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シリーズ第2弾
百姓からの成り上がり足軽の出世物語。
前巻から本巻の終盤までは、出世欲とか関係ない生き様で、相棒からも責められていたのが、最終章あたりで出世欲に目覚めるようになった。しかし、その動機がなぁ・・・ちと共感できん。
それにしても三河弁が違和感なくすんなり入ってくる(とはいうもの生粋の三河人にとってはまがい物らしい)。これは三河地方で35年間ほどの在職経験のせいだろうか? -
正直何が面白いのかわからないが、理屈ではなく体が求めてる(苦笑)これは中毒性あるシリーズだわ
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Audible読了
軽妙なテンポの戦国版キングダム第2巻。このシリーズはビジネスマンにも通ずるヒントが多く、思わず唸らされる。
茂兵衛は晴れて徳川家康に仕えることとなり、ただの足軽から旗指(旗持ち)に昇格。といってもまだまだ下っぱ、なんなら目立つ旗印は狙われ役で、掛川城の攻略戦や姉川の戦い、戦争の途中でいつ死んでもおかしくない状況が続く。だがそこは活劇になっており、ヒヤヒヤするが大いに楽しめる。
また、茂兵衛は鉄砲で撃たれて死線をさまよい、大失恋で心に大穴が開き、さらには本田平八郎という生涯の上司に心臓を捧げる。今後のストーリーを左右するようなイベントが目白押しだ。
個人的に興味深かったのは渡河戦の様子。
天竜川、大井川、木曽川、長良川、揖斐川、姉川など、縁のある名前が続々と出てくる。先日車で天竜川橋を渡った際には、この広い川幅を挟んで、武田と徳川の両軍がジリジリと対峙したのだな、と感慨深かった。なるほど大河とは天然の国境。弓や鉄砲に怯えながらも、具足や槍を抱えて死に物狂いで渡河した足軽たちを偲び、厳しい戦国の世に思いを馳せた。