- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575670691
作品紹介・あらすじ
4年に及ぶ国境の砦番を解かれ、浜松城に呼び戻された茂兵衛。鉄砲も護衛の槍足軽も加増され、押しも押されぬ足軽大将となった。が、出世を喜んでばかりもいられない。吝嗇な主・家康は使える者はとことんこき使う。茂兵衛は、内応の密約をした武田側の穴山梅雪の妻子を救うため、甲斐に潜入することに。
感想・レビュー・書評
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茂兵衛の成長が楽しみな展開です。
鉄砲大将仁義 ー 三河雑兵心得シリーズの6作目
2021.09発行。字の大きさは…中。2022.03.14~16読了。★★★☆☆
武田と争い三河、遠江の領有をめざす徳川家康に仕える植田茂兵衛の出世物語です。
此度、徳川は、遠江における武田方の拠点、高天神城を攻め落とし。駿河へ進出し江尻城主・穴山梅雪の道案内で甲斐へ攻め入ります。一方、織田は、信濃木曾谷の領主・木曾義昌が武田を裏切り織田方へ寝返ったので。織田信長は、嫡男信忠を総大将として信濃から甲斐に攻め上って行く。その後の論功行賞で徳川は、信長から駿河一国を与えられ。三河、遠江、駿河の太守となります。
茂兵衛は、家康から穴山梅雪の寄騎として駿河から甲斐へ攻め入ります。ただ茂兵衛は、主君家康と、織田信長が裏切り者を嫌っているのを知っています。一度裏切ったものは、又裏切ると思っています。梅雪は、信長により本領を安堵されて喜んでいますが。茂兵衛は、先が不安でなりません。
此度は、家康が遠江の高天神城を攻め落としてから、織田信長が明智光秀の謀反に遭い、茂兵衛がその知らせを持って堺から京(京都)へ向かっている家康のもとに知らせに行くまでです。
【読後】
展開が早く、テンポがよく、茂兵衛がたくましく成長していきます。先が楽しみな展開です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
城番につくこと4年はあっさりとした内容。ちょっとだけ昇格。肩書きは鉄砲頭で変わらないが、鉄砲50人と槍足軽40人、小頭含めて100人を率いる立派な足軽大将となる。
武田の重職である穴山梅雪の担当になり、甲州へ梅雪の妻と子供の救出で活躍。この穴山担当で京都まで付添、織田信長親子に気に入られる。信長の息子と一緒に酒を飲んで居ると、突然の本能寺の変。
山あり谷あり、大きな歴史のうねりの中で次の展開が気になる。 -
ついに本能寺の変。穴山梅雪や織田信忠など歴史上の重要人物との絡みもあって、戦国時代をどっぷりと生きている。
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家康や信長、信忠とやり取りするなんて随分出世したものよのう。主人公が語る家康や三河衆のありようや各国のバランスなど雑兵上がりとは思えない洞察力だけど、そこは物語。面白さもひときわ。次巻の伊賀越えが楽しみ。
作品紹介・あらすじ
4年に及ぶ国境の砦番を解かれ、浜松城に呼び戻された茂兵衛。鉄砲も護衛の槍足軽も加増され、押しも押されぬ足軽大将となった。が、出世を喜んでばかりもいられない。吝嗇な主・家康は使える者はとことんこき使う。茂兵衛は、内応の密約をした武田側の穴山梅雪の妻子を救うため、甲斐に潜入することに。 -
シリーズ第六弾。
国境の砦番から浜松城へ呼び戻された茂兵衛。
百人余りを率いる立場になり、鉄砲頭として活躍する(こき使われる)ことになる。
武田滅亡から本能寺まで、茂兵衛の目を通してみる戦国の世を今作でもたっぷり楽しめた。
茂兵衛の家康への心の声も、とても面白い。
百姓あがりの茂兵衛には、侍の義がどうしても理解できないが、自分の身の回りの人のためになら命を張れる、というのは非常に共感できる。
早く次が読みたい。 -
今回は武田滅亡から本能寺の変のあたりまで。
穴山梅雪という珍しい名前だけは知っていたが、こういうお人とは知らなんだ。 -
武田信玄が病に倒れてからというもの、武田の勢力はだんだん弱くなっていった。
三河の家康も武田から城を奪い返す。
そして、織田信長も好機を逃すはずはない。
信長と幼い頃から知り合いであった家康だったが、今では巷で三河は信長の犬、尻尾を振って命令を聞くと噂される。
武田軍の息の根を止めた後、信長から京都へ誘いを受ける家康。京都の宴の後堺の視察にいく。
その間茂兵衛は鉄砲隊の活躍を知っている信長、信忠親子から織田へと勧誘を受ける。
茂兵衛は、武士のように主人に命をかけた義はかんじぬものの、知り合って尊敬した男たちには命をかけてもいい自分の価値観を知るのだった。
本編、とうとう本能寺の変がおこる! -
茂兵衛の指導者としての成長が心地良い。実力と評価は釣り合っていないかもしれないが、幹部からの信頼が良い。
本巻は武田滅亡と本能寺がメイン。特に信忠と梅雪との絡みは想像していなかった展開で、周知の歴史に新鮮さを与えてくれる。信忠の勧誘を断る姿には茂兵衛らしさが出ていて良い。
気になる伊賀越えは次回… -
Audible読了
戦国キングダム6巻目は風雲急を告げる展開。
本能寺の変だ。茂兵衛はというと、その直前まで信長公、中将信忠と話していた、その矢先の出来事。おまけに、まだ何も知らない家康は、配下50名だけを付き従えて上京してくる真っ最中。どうする家康、ならぬ、どうする茂兵衛!?だ。
歴史をこれほど身近に感じるとは、足軽目線の歴史秘話ストーリーは、どこまでも読者を惹きつけてくれる。
ところで茂兵衛は、本巻でついに武将のはじくれ、足軽大将への出世を果たした。課長クラスといったところだろうか。すでに姓を与えられているので植田課長だ。今回も植田課長は、義に厚いところ、上司部下にも配慮できるところ、そして自分に折り合いをつけられるというストロングポイントを惜しみなく見せてくれる。無理ゲーでもイヤイヤやることのないその姿勢には、サラリーマンの極意として発信しているようにしか思えない。神妙にして耳を傾けている。
しかし悪いところもないわけではない。ないものねだりではあるが、出世すればするほど戦闘シーンは大味になっていく。特に鉄砲大将になったからには、茂兵衛の槍技はほとんど登場しなくなった。ケンカに滅法強い兄貴には、いつまでも切った張ったに身を置いて欲しい、などと思ってしまうが…所帯を持ったからにはそうもいかないか。
自分の周囲10mの人間しか守る気はない、と内心で吐露する茂兵衛に、ようやく親父として目覚めた私にとっては、とことん共感してしまう境地だ。
これからは、大人の闘い方にも学ぶべき点が増えることだろう。ワクワクする。