- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575670967
作品紹介・あらすじ
ついに五ヶ国の太守となった家康。新たな実力者、秀吉との間に戦乱の気運が高まる中、茂兵衛は、信州惣奉行、大久保忠世の寄騎として彼の地に派遣されることに。着任早々、茂兵衛は、北条や上杉をも手玉にとる真田昌幸というけったいな男と対峙する。戦国足軽出世物語、新章突入の第8巻!
感想・レビュー・書評
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馬と歩きで移動距離すごい。
重い荷物を持って遠江・駿府・甲斐・信濃とそんなに歩けるもんかな詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中間管理職の悲哀を味わう茂兵衛。阿呆な名門の息子を上司に押し付けられ、部下からは一斉に非難される。また、部下にも上司にも気遣いの毎日。30代も後半となり、白髪も出るし体力の衰えも。
信州に出陣し、仕事は真田昌幸と息子2人と親しむこと。毎日のように上田城へ出向く。
後半は小牧・長久手の戦いに出陣。周りは反豊臣秀吉ばかりのところに茂兵衛は和戦派。大勢の前で家康に問われて大苦戦。小牧・長久手の戦いでは一応活躍。
老成してきた感がある。若さが感じられなくなってくると、読むペースもスローダウンか?
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戦いにおいては冷静な茂兵衛だが、想い人が生んだ隠し子が…。
小牧長久手仁義 ー 三河雑兵心得シリーズの8作目
2022.02発行。字の大きさは…中。2022.05.31~06.01読了。★★★☆☆
三河、遠江を治め、駿河、甲州、信州を手に入れた徳川家康は、織田信長の遺産を引き継いだ羽柴秀吉と戦うべく動き出します。その家康に仕える鉄砲大将の植田茂兵衛の出世物語です。
天正十一年(1583)。茂兵衛37才の鉄砲隊は、物頭一人(茂兵衛)、鉄砲五十、鉄砲足軽小頭五、護衛の槍足軽が四十、槍足軽小頭四、騎乗の寄駒が四人の都合百四名の構成で。家康の命で、東信濃の小諸城を預かる信州惣奉行の大久保七郎右衛門忠世の寄駒として小諸城に到着し。上田城の築城を行なっている表裏比興(ひょうりひきょう)之者のといわれる真田安房守昌幸(まさゆき)と会います。
家康は、織田家の次男・信雄と同盟を組み徳川一万、織田六千の兵力で、六万の秀吉軍と小牧長久手で戦います。兵力と鉄砲の数で劣る家康は、「勝てないまでも、負けない戦」を心がけて戦います。
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約二十年前。生まれた三河国植田村で誤って人を殺して、村を出る事となった百姓の茂兵衛17才は、乱暴者であるが、筋を通す真すぐな気持ちを持った爽やかな男です。頭が少し弱いがやさしい弟の丑松を連れて、植田村を出て三河国六栗城主の夏目次郎左衛門吉信のもとに足軽として奉公に出ます。
茂兵衛が、六栗城で足軽として勤めだした頃の三河国は、一向宗徒による一向一揆が盛んで。三河国の領主で岡崎城主の松平家康23才の家臣が、一向宗徒側の寺に付くものと、領主の家康側に付くものに別れて戦っている最中でした。
織田信長に味方し、信長の勢力圏の東にいる家康は、三河から遠江、駿河へと領土を広げていきます。そして信長が、明智光秀の謀反により亡くなってから家康は、主のいなくなった甲斐、信濃を占領し。三河、遠江、駿河、甲斐、信濃の五ヶ国を領有する大大名となった。石高で言えば三河、遠江で六十万石前後だったものが、駿河、甲斐、信濃の八十万石余を加算され百四十万石ほどの太守となった。
軍役が一万石当たり二百五十人と考えれば、三万五千人の動員力を誇る。そして関東の大国で二百万石の北条家の当主・北条氏直に娘・督姫を嫁がし同盟を結ぶ。日本の臍の部分に一大勢力が公然と姿を現した。
茂兵衛の俸給は年二百五十貫で変わらず。石高に直せば五百石ほど。
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【読後】
この物語は、大名の家康を書いているのではなく、足軽から出世していく茂兵衛を書いている所が面白いです。いかに足軽が過酷な仕事かというのが分かってくるとともに、こういう捉え方もあるのだと思うと、すごく興味が湧いてきます。ついつい茂兵衛頑張れと拳を振っています。 -
Audible読了
この巻は濃淡がはっきり出ている。
前巻から半ば「公」の人となった茂兵衛。相対するは乱世の奸雄、真田昌幸。はっきり言って政治オンチの茂兵衛とはアンマッチすぎて、読んでいてもちっとも面白くない。
一方で小牧・長久手の戦いでは、鬼武蔵こと森長可(もりながよし)を駆逐し、豊臣方を敗走に追い込む活躍を見せる。長可の名は、父・可成と、信長の長をもらったという織田家きっての猛将。それを配下の鉄砲隊の名手が眉間を撃ち抜くというのは、史実をきっちりと再現させている。戦国ファンでなくても狂喜するような展開だった。
日進市の県道57号線沿いにある岩崎城が出てくるのも、地元民としては縁があって誇らしい。
狂喜といえば、槍衾についても触れたい。足軽に槍を持たせて整列させ、横一列に進軍させる槍衾。これが鉄砲と並んで戦国最強だとか。槍さえ持てれば練度は不要。いよいよ乱世も、質より物量の時代に突入した感。
槍衾は1人でも列から逃げなければ良いだけ。そのため上司となる人間は、逃げだす者を容赦なく斬れと諭す茂兵衛。槍衾は勝つための凶器だ。その非情な狂気を垣間見て、ひとり寒くなった。さすがにサラリーマンになぞらえる気にもならない。
さてこれで豊臣と徳川は一旦休戦するも、関ヶ原は刻一刻と近づいている。どこまでいける足軽・茂兵衛課長。
この先、槍の活躍はあるのか。
楽しみと半々の複雑な期待を寄せている。 -
小牧長久手の戦いというのも、近場に住んでおりながら、秀吉との戦いということも含めてほとんど内容は覚えていなかった。
約40年前に全巻読了した山岡荘八の徳川家康の中にもあったはずなんだが・・・ということで、それを改めてパラパラ見直したら、第10巻にかなりのページ数を使って記述があった(何にも記憶に残っていなかったということ)。
それにしてもこちら、本書が第8巻、山岡版が全26巻なので、単純計算すると、こちら全20巻までいくのかなぁ・・・いや、植田茂兵衛の物語なんで、家康より長生きしたらどうなんだ?とか、まだまだ楽しめそうです。 -
あまりにも出世すると少しつまらなくなる。「のらくろ」を思い出す。
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信長が亡くなり織田vs豊臣をベースに真田昌幸と繋ぎをつける様子や、徳川軍内の井伊隊武田残党兵に弔い戦を挑まれる森長可、という戦場の熱気と流れにドキドキしました
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そこそこ出世し、守るべき妻子と体面を持ってしまった茂兵衛の憂鬱。そして、平八郎から阿呆の花井を押し付けられてしまった。「花井のような男は……大事な仕事は一切任せず……これぞ頭立つ者の心得」とは、現代の会社組織でも言えること。表裏比興之者・真田昌幸、長男・信幸、次男・信繁(幸村)との出会いが、今後どのように絡むか楽しみだ。小牧長久手の戦いは、本シリーズでの他の戦と同様、臨場感あふれる筆致で良かった。
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面白かった!続きが読みたい!!