ごんげん長屋つれづれ帖【五】-池畔の子 (双葉文庫 か 52-10)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575671278

作品紹介・あらすじ

お勝たちの向かいの部屋に住まう、青物売りのお六。女だてらに天秤棒を担ぎ、朝早くから青物を売り歩くお六は、お琴たちもよく懐き、長屋にもすっかり馴染んでいる。そんなお六が、険しい顔で胡瓜を川に投げ込んでいるのを幸助が見たという。この奇妙な行為の裏には、お六の背負う哀しい事実が秘められていた――。くすりと笑えてほろりと泣ける、これぞ人情物の決定版。時代劇の超大物脚本家が贈る、大人気シリーズ第五弾!

感想・レビュー・書評

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  • 女手ひとつで三人の子供を育てるお勝の奮闘物語です。

    文政二年(1819年)、江戸は根津権現社の近くの「ごんげん長屋」に住まいして、孤児であったお琴13才、幸助11才、お妙8才の3人の子供たちを、女手ひとつで育てるお勝39才は、女ながら根津権現社の南側にある質舗「岩木屋」の番頭を務めています。

    【片恋】
    四月二十九日のこの日は、ごんげん長屋の住人で手跡指南所の師匠である沢木栄五郎41才が、指南所で前期の期末にあたり、書と素読の披露の後、親たちの前で首席から第三席の優秀者が伝えられることとなっている。お妙が書で第三席に入ったが。幸助は、呼ばれなかった。この時に武家の子の小四郎9才がため息をついたので、隣にいたお妙が、小四郎に「成績のことくらいで、いちいち嘆くんじゃない」と言った。この一言に小四郎は、お妙に想いを…。

    【ひとごろし】
    お勝は、旗本・建部家の当主の手がつき、今年20才になる源六郎を生むと、屋敷を身一つで追い出された。その源六郎が、お勝の幼馴染み近藤沙月がいる日本橋亀井町の香取新道流、近藤道場へ昨年から稽古に来はじめた。お勝は、会ってはならないと想い日本橋へ行くのを避けていたが。沙月から干物を貰って、しかたなく近藤道場へ礼に行くと道場で、いい若者に育った源六郎の姿を見る。

    【紋ちらし】
    お勝は、庄司たち五人で「安囲い」していた喜代が、子を孕んだと相談を受けた。慌てた男たちは、ひとり二人と行方をくらませる。残ったのは、お勝と同じ長屋の庄司となった。安囲いとは、ひとりで女を囲えないので、五人で金を出してひとりの女を囲うこと。

    【池畔(ちはん)の子】
    不忍池の畔に、自分たちで小屋を建てて住み着いている孤児の五歳から十二歳の男の子五人と、手跡指南所に通っている幸助たちが喧嘩をして、お互いに怪我をした。お勝が、心配になり孤児たちの面倒をみて、引き取り先を探し出す。

    【読後】
    此度は、文政二年(1819年)四月二十五日から、同年の七月二日までを書いています。こまかく江戸模様がよく書かれています。読んでいて、心がなごみ、笑顔が出たり、驚いたりと飽きることがありません。生んですぐに引き離された我が子を垣間見るお勝の心情を書いた「ひとごろし」がよかったです。
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    池畔の子 ごんげん長屋つれづれ帖シリーズ5作目《文庫本》
    2022.09発行。字の大きさは…中。2023.03.08~09読了。★★★☆☆
    片恋、ひとごろし、紋ちらし、池畔の子、の短編4話。
    図書館から借りてくる2023.02.24
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    《ごんげん長屋つれづれ帖シリーズ一覧》
    05.池畔の子   2023.03.08読了
    04.迎え提灯   2022.05.16読了
    03.望郷の譜   2021.10.23読了
    02.ゆく年に   2021.08.03読了
    01.かみなりお勝 2021.04.29読了
    「参考」
    ※参考は、私のメモ書きです。本の感想ではありません。
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    「お勝と子供達」
    文政元年(1818年)、江戸は根津権現社の近くの「ごんげん長屋」に住まいして、お琴12才、幸助10才、お妙7才の3人の子供たちを、女手ひとつで育てるお勝38才は、女ながら質舗・岩木屋の番頭を務めています。
    お勝は、18才の時に馬喰町で両親と兄を火事で亡くし、今日まで一生懸命に働いてきました。その中でも、旗本家の当主の手がつき、今年19才になる男の子を生むと、屋敷を身一つで追い出されます。女手ひとつで孤児である子供3人を引き取り、その子供たちが、自分が孤児であったことを知っていて、明るく、楽しく、卑屈にならず4人で家族として暮らしています。
    ←第一話感想より抜粋。

  • 【収録作品】片恋/ひとごろし/紋ちらし/池畔の子

  • 内容(ブックデータベースより)

    お勝の息子の幸助が、顔に傷をこしらえて帰ってきた。
    なんでも、不忍池の畔に暮らす〈池の子〉と呼ばれる孤児たちと喧嘩になったのだという。
    青物売りのお六が川に捧げた胡瓜が喧嘩のもとだと知ったお勝は、お六とともに孤児たちのもとに向かう。
    これを機に、お勝とお六は〈池の子〉たちとの絆を深めていくのだが――。
    くすりと笑えてほろりと泣ける、これぞ人情物の決定版。時代劇の超大物脚本家が贈る、大人気シリーズ第五弾!

    令和5年12月11日~14日

  • いくらお勝さんでも、孤児を全部引き取ることはできないしなぁ。

  • 202209/シリーズ5作目。シリーズとしてのお馴染み感も出てるし今回も安定の面白さ。子供達の描写もいい。

  • その秘めていた思いを、お礼の言葉として、お勝に託したのだ。

  •  金子成人「池畔の子」、ごんげん長屋つれづれ帖№5、2022.9発行。連作4話。今回は、テンポが悪く、躍動感も乏しく、中だるみの感がしました。第1話の「片恋(かたこい)」はいいなと思ったのですが。 

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著者プロフィール

一九四九年長崎県生まれ。会社勤めのかたわら倉本聰に師事し、七二年「おはよう」で脚本家デビュー。九七年、第十六回向田邦子賞を受賞。「鬼平犯科帳 」「剣客商売」「御家人斬九郎」「水戸黄門」など脚本作品多数。著書に「追われもの」「付添い屋・六平太」「ごんげん長屋つれづれ帖」「かぎ縄おりん」などの各シリーズがある。

「2023年 『小梅のとっちめ灸(三)針売りの女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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