- Amazon.co.jp ・マンガ (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575932607
感想・レビュー・書評
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出版社/著者からの内容紹介
諸星大二郎が作り出す、抜け出せない不思議世界の迷路。入り口は、本書収録の10作品の扉から詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表題作はどこまでが現実でどこまでが非現実なのか、その境界がとても曖昧に感じられる話である。僕と謎の転校生「フリオ」とのつかの間の交流の話。子供の頃に秘密基地を作った時の、「知らない何処か」に繋がっているかのようなワクワク感を思い出す人が多いのではないだろうか。川の対岸の工場の四本の煙突が時に三本に見えるといった日常の些細な不思議がずっと後を引く読後感。自分の記憶の回路を少しだけ弄られたような気がした。
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ポール・サイモンの「僕とフリオと校庭で(Me and Julio Down by the Schoolyard)」
「蒼い群れ」が秀逸だった -
10作のうち2作を除いてすべて1980年代前半の作品。神話、伝承の世界から話を作っていた作者はそこからオリジナリティある世界を構築している。裏の世界、影の世界、夢の世界……現世とは違う、人が望む世界があり、それを描いているが結末は常にアイロニカルである。
秀逸なのは「蒼い群れ」である。臓器売買が当たり前のようになった近未来の話である。一人走りする医学への警鐘作とでもいったところだ。設定や言葉遣いにはオリジナリティを感じる。だが、ストーリーの行く末にややステレオタイプな感がある。しかし、1981年の作品である。悪くない。