中国軍を阻止せよ! <下> (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576140056

作品紹介・あらすじ

日本を中心とした「沿岸同盟」の動きを察知した中国は反撃に転じ、ついに同盟国各都市へのミサイル発射を決断する。同盟本部のある東京では中国が放ったミサイルが次つぎと都心部で爆発していた。ソウル、台北、マニラにも着弾、一方で南シナ海、東シナ海、黄海が戦場になっていく。不干渉の立場を取っていたアメリカだが、戦いをやめさせるために潜水艦4隻にある指令を出す、それは…。最終局面を迎えた戦闘の行方は?戦争小説の傑作、いよいよ怒涛の結末へ!

感想・レビュー・書評

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  • 中国と沿岸同盟との戦争をやめさせるためにアメリカが動く。

  • 米国の調停が中国、湾岸同盟双方にけられて失敗し、戦火は拡大。
    戦火の拡大による世界的な景気悪化と政治決断できないことによる米国と自らの政治力低下を懸念した合衆国大統領の決断とは

    まあ、全交戦国に衝撃を与えて振り向かせ、停戦を改めて呼びかけるという戦略はあり得ると思う。南シナ海〜東シナ海でタンカー沈めまくったあとなら環境への悪影響も気にするほどでも無いだろうしw
    ただし、疑問がいくつか。
    1:H-2Aを短期間に弾道弾に改造とかいっても、改造以前にそんなすぐに生産できませんしw種子島からに発動時に発射&六時間後にもう一発とか、無理ですwwさすがに交戦中なら中国が発車前に察知して種子島の打ち上げ基地を先制攻撃するのでは?
    2:核爆発によって数日間ソナーが使えなくなるってのは初耳なんだがそうなんだろうか?まあ、ラリー・ボンドだから虚偽とも考えにくいけど。

    そして、後書きで「レッドオクトーバーを追え」を超えた!とか言ってるけど、こえてないだろうと。悪くは無いけど、絶対超えてない。いくら何でも言い過ぎ。

  • 見えない敵の一方的な攻撃で混乱が広がっていった上巻から一転,下巻は敵を見定めた中国の反撃と,戦火の拡大に伴うアメリカの方針転換が主になる.

    アメリカに断りなく戦争を始めたことでアメリカ国内に生じた安保条約破棄をめぐる議論や,アメリカの核の傘を外れたと見られたことで弾道弾攻撃に晒されるなど,現在の日本の安全保障体制に疑問を投げかけるようなことが起こっており,考えさせられる内容だった.本作は全体に,現在の日本に依然として大東亜共栄圏的なものへの志向があるという見方に基づいているのかなと思うが,確かに国内から見ていれば戦争をするのは簡単でないようでも,欧米圏の人からするとそうした戦争への障壁はごくわずかで,潜在的な脅威として見えるのかもしれない.

    作中ではベトナムへの地上侵攻も発生していて,これは未読だが同著者の「レッドドラゴン侵攻」と重なるところもあるかもしれない.あとはこれだけ東アジア全体を巻き込む動乱になっていながら,北朝鮮やロシアがほとんど何もしなかったのはやや不自然ではないかと思った.

    またインドはマラッカ・ロンボク海峡の海上封鎖に加えてパキスタンにも侵攻し始め,ここで描かれている戦争は世界大戦の様相を呈している.これを見て,ヨーロッパがそれぞれのイデオロギーや民族主義を戦わせた第二次大戦を経て平和を志向したように,アジアも平和を志向するためにはそうした大きな戦火を経ざるを得ないのかもしれないと考えた.

    最終的な解決の仕方はいかにもアメリカだなという感じだった.

  • “今年”の出来事ですからねぇ。

    実際には、ここまで悪化はしていませんが、でも南沙諸島などの状況は悪くなっていますし、尖閣問題も解決の兆しはありません。強ち荒唐無稽の内容とも言えないんですよね。

    この小説で興味深いのは、一般に欧米の小説だと日本の扱いはごく小さいですが、この小説の場合は、舞台が東南アジアということもありますが、日本が重要なポジションを占めている所が興味深いです。

  • 下巻では、沿岸同盟により中国向けタンカーを沈められ、原油が枯渇状況となった中国がより有利な条件で停戦交渉に臨むため通常兵器によるミサイル攻撃を沿岸同盟各国に行う。もし、現実社会で起こったら国家がパニック状況に陥ることは想像に難くなく、日本の持つメンタリティから考えれば、即時停戦の意見さえ大勢を占めることさえ考えられる。この本の提起する大きな問題は、もし環中国の同盟の盟主となった日本の胆力に果たして盟主としての格が存在しうるかということにつきる。本書では、その点をオブラートにつつんで曖昧にしたがアジアの中でリーダーシップを取れるか否かは、日本の政体が具体的なイメージとしてビジョンを持っているか否かにより早晩ハッキリとすると思われる。今の安倍政権は、この部分をハッキリと意識しているように思う。
    さて、このような状況を小説の上とはいえ描いたラリー・ボンドは、日本にはその胆力があると書いた。おそらく、必然として書いたのだと思うが彼の立ち位置からしてその見立てに今の日本が答えているだろうかということになる。この小説では、アメリカが核の傘を再認識させることにより様々な思惑を封じ込めるが現実世界ではこのように上手くいくだろうか。南沙諸島の埋め立てによりなんの臆面もなく領土主張を行う中国に国際ルールの適用は望むべくもなく、現実世界がこの小説で描かれた軍事を端とする未来と現在の拮抗状態が関係国の自重によって継続する未来との何処かで着地するしかないように思う。小説では、その後の各国の政体は退陣することになり、その点が語られことはないが、対中国の戦略どのようにあるべきかを示唆するコンテンツをラリー・ボンドという大家が日本に示したとも言える秀作である。

  • で、最後まで読んでみましたが
    やっぱり、アメリカが主導権を
    握るんですね。。。
    でもって、同盟側が瓦解
    中国もどうなるか・・・

    まぁ、極東アジアは
    安定していくのが難しい
    地域なんでしょうね。。。

  • Asian Reading
    アジアの活読

    中国軍を阻止せよ 上下 ラリーボンド 二見書房
    原題SHATTERED TRIDENT by Larry Bond
    昨年急逝したトムクランシーのDebut作、レッドオクトーバーを追え に追いついた現代潜水艦小説の傑作という
    訳者 伏見威蕃の言があとがきにあります。トライデント原潜ノースダコダ艦長ミッチェルの活躍がまたみられるのか?
    中国のアキレス腱のひとつ、不動産バブルがはじけようとしているようなNEWSがでてくるなか、国民の不満を
    南沙諸島の占領にむけて中国軍が動き出し、ベトナム海軍が空母の出航を阻止すべく機雷を敷設し、、
    ありえそうな軍事スリラーです。

  • 潜水艦ものとして解説者が比較に出す、名作、レッドオクトーバーには及ばないとは思うが、現代の潜水艦の効果的な運用の仕方と戦術は興味深い。結末は少々、ご都合主義的な感があるのと、アメリカ万歳的なあり方は、まあ母国の商業主義からすると、しょうがないとは思うが、まあこういうものだろう。

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