- Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
- / ISBN・EAN: 9784576151069
作品紹介・あらすじ
人間に紛れて生きる吸血種。人の血を摂取することを嫌悪する蒼井有理は、身体が弱り視力を失いかけていた。往診に訪れた医師の犀賀深幸に対しても反発する有理。人間と吸血種の間に生まれた有理の根底にあるのは母を傷つけた父への苛立ち、そして寂しさ。しかし深幸はそんな反抗心を歯牙にもかけず、命の尊さを説く。そこには人間に愛するものを奪われた深幸の壮絶な過去が-。やがて二人は見失ったものを補い合うように惹かれていくが…。
感想・レビュー・書評
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二人が同じ話題について会話する場面が多く、
同じ話題だけれど話が進むにつれて先生が答える内容が少しずつ変わっていき、
有理が明るくなっていくので二人の距離が近づき、惹かれあっていく様子がわかる。
BLだから当たり前だけど、二人にしか物語の焦点は当たらないので
読了後、七瀬やさちについて、小野瀬が真実を知ったときについて思いを馳せた。
あと、先生が嫌悪していた人間食を食べられるようになったのは
人間を憎み、殺意をもとに生きる彼の闇が和らいだ証拠のように思えてよかった。
ただ、吸血種と人間が惹かれあうのは仕方がない、でも
あまりに考えなしに子供を作るのはどうなんだろうと思う。
実際のところハーフを看取った医者を知らないからデータとしてはわからない、とのことだけど、
有理を見ていれば薄命なのは明白だし、子供が30代半ばまでしか生きられないとわかっていて子供を作り、産むのは無責任じゃないだろうか…。
そう遠くはない未来に有理を看取ることを覚悟しているような先生にとても辛くなった。
ハーフでも短命じゃない、とちゃんと物語の中で名言されていれば幸せなラストだったのになあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カラスとの…よりはもやもやせず読めました。時間の経過が良く分からず、そこがざんねんでした。あと、小さな疑問が未解決のままなので、想像してくださいということなのかしら?有理君は死んじゃうかと思ったけれど、生きていくことになりましたね。
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あー、大好きな朝丘さんにしてはちょっともうひとつ。かな。
吸血鬼的な話だけど、あくまで人間とはそう変わらない感じなのですが。
「ハーフ」の有理はどうしても血を飲む自分が受け入れられずに血を絶ったまま人間食を食べつづけ、ついに目が見えなくなってしまい、父が医師の往診を頼んだ。先生とぶつかってばかりいたはずなのに、父とは違い、自分を叱ったり励ましてくれる先生がいつしか大好きになる有理。
自分の生態と感情の折り合いをどうにか付けられるようになり、成長していく。
彼のまっすぐな好意に吸血鬼でゲイで、過去に大きな傷を持つ先生もだんだん惹かれていく。
そして有理の目が治ったとき、二人は本当の意味で「出会って」・・・ -
最後の最後・・・「深幸」じゃなくて「深幸さん」がよかったなぁ~。