ふたりのえびす (フレーベル館文学の森)

著者 :
  • フレーベル館
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本棚登録 : 193
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784577050293

作品紹介・あらすじ

青森県八戸市の郷土芸能「えんぶり」のえびす舞の踊り手に抜擢された太一。クラスでは明るいおちゃらけキャラを演じているがその心は複雑。「王子」と呼ばれ女子から人気の高い、大路優希とふたりでえびす舞の練習をするなかでたがいの気持ちをぶつけ合う。キャラをあっさり捨てる優希、キャラにしがみつく太一……最後にふたりがつかんだものとは?

感想・レビュー・書評

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  •  おちゃらけキャラを演じる太一のクラスには王子と呼ばれて女子の目線を独り占めにしている転校生・優希がいる

     二人は八戸の伝統芸能えんぶりの「えびす舞」で、えびすを躍ることになった
     王子のキャラじゃないやん…。

    ・あることがきっかけで、虫嫌いの潔癖症になった太一。昨年引っ越す前は友だちもなかったが、キャラを演じることでクラスに受け入れてもらったと思っている。ちょっと、最近“ムカつい”ている
    ・地獄のようにリズム感がなく納豆が好きでシレッとしているが、自分は王子キャラじゃないことを知っている優希。キャラを脱ぐ機会をうかがっていた。

    ○太一の父さんが言葉を大切にしていて、それを息子にも伝えていて、いいなと思った
    ○“えんぶり”をみてみたい
    ○どの登場人物も、一面だけでない人間らしさ
    ○教室のなかの緊張感、友だちがいれば
    ○太一も優希も転校生というえびす

  • 主人公の太一は青森県八戸市に住む5年生。郷土芸能のえんぶりで、えびす舞をすることになった。背も高く顔も良い同級生の優希も一緒に舞うことになったけど、優希はリズム感が最悪で…

    太一のように、キャラを作って演じているうちに本当の自分を出せなくなって悩んでいる子に読んでもらいたい。あと、ムカつくという言葉は何に言い換えられるか、自分の気持ちと向き合うところもよかった。

  • 伝統のえびす舞の練習を通して、打ちとけていく二人の話

  • 青森八戸の郷土芸能「えんぶり」のえびす舞を踊ることになった太一と優希の二人の話。

    自分の人生の主役は自分で、キャラに押しつぶされてはいけない。

    太一は前の学校のキャラを変えるべく、おちゃらけキャラで頑張っている。おもしろ言葉をノートに書き集めて、ギャグを飛ばす。そんなキャラでいることが太一を安心させる。
    転校してきた大路優希は苗字とその容姿から「王子」と呼ばれ、女子にも人気。だが、本来の優希は王子キャラでなく、リズム音痴。そんな優希は土地の芸能のえびす舞に立候補する。
    親方からえびす舞の指名を受けた太一と一緒に。
    二人は親方から舞を習うも、ちっとも上手くならないし、気も合わない。そんな中、えびす舞の動作の釣りを経験したことがない二人を親方が海釣りに連れて行く。そこで事件が起こり〜
    青森弁がちょっとわかりづらいが、二人の男の子の立場、想いがよく描かれていて、好感が持てた。みんな一生懸命、合わせて生きていこうとしている。それは大人も。
    主役は自分であるということ。それがこのえびす舞を通して、よく描かれている。

    #NetGalley

  • R5読書感想文課題図書・高学年
    太一は五年生。去年の四月に転校してきた時から、おとなしい性格ををかくし、おどけたキャラをえんじている。秋に転入してきた王子(と呼ばれているカッコいい大路君)と八戸の郷土芸能「えんぶり」のえびす舞をおどることになった。いっぱい練習をして、疲れているし、経験のための釣りは寒くて虫は気持ち悪くて、つい本音で言い合ってしまった。
    「『ムカつく』」にもいろいろあるべ。『腹が立つ』とか『くやしい』とか『バカにされた』『うらやましい』『悲しい』『さみしい』とか。そういうふうに、ようく見つめて具体的に言葉にしてみれば、思ったよりムカつかねくなるぞ」

  • 2023読書感想文コンクール
    高学年の部。

    小5の太一と優希が、八戸の伝統芸能「えんぶり」に挑戦する。2人が友情を深めながら、本当の自分や自分の気持ちに向き合う。
    八戸の方言の使い方、言葉との向き合い方がよかった。
    3.11についての言及もあり、感想文を書きやすいかなーと思った。

  • 取り急ぎメモ
    ーーーーーーーーーー
    5年生男の子ふたりのものがたり

    お調子者「キャラ」の太一
    イケメン転校生の優希

    「ムカつく」に対する太一の父の言動
    キャラをかぶることになってしまった太一
    潔癖症

    クライマックス
    短い文で、どんどん段落を変えられていて、自然とペースを上げて読むことになり、お祭りの雰囲気に飲み込まれていくよう

    ーーーーーーーーーー
    結局泣くわたし
    今年の課題図書が良作ぞろいなのか
    私の涙腺がますます脆くなったのか

  •  転校をきっかけにキャラ変して通してきた太一。少し窮屈さを感じていたが、元の自分を隠し通したいと思っている。 
     新しい転入生のイケメン「王子」が、地元の祭りで滑稽な踊りをするえびすに立候補したのは意外だった。王子のイメージを壊してしまうのは平気なのか?

     自分の気持ちを文字にしてみる。立ち止まって考えてみる。
     太一は、自分がしたかったことに気づけた。

  • お調子者キャラを作っている少年、王子と思われている少年。ふたりの少年が伝統文化の枚を通して理解しあい成長していく。

  • 2023年課題図書(高学年)その2。

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著者プロフィール

青森県出身。地元で勤務しながら創作活動を続ける。2014年『ジャパン・ディグニティ』で第1回暮らしの小説大賞受賞。2023年「バカ塗りの娘」として映画化。主な作品に『おひさまジャム果風堂』『お手がみください』『みさと町立図書館分館』『みとりし』『ペットシッターちいさなあしあと』『羊毛フェルトの比重』(すべて産業編集センター)、『藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房』(中央公論新社)など。

「2023年 『[新版]ジャパン・ディグニティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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