すぐそこのたからもの

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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (105ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784579304363

感想・レビュー・書評

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  • R3.10.31 読了。

     ブクログ内でレビューから教えてもらった本。
     よしもとばななさんがチビちゃんという息子の子育てを通して、チビちゃんの豊かな感性から紡ぎ出された言葉や気づかされたことなどからなるエッセイ集。表紙や本のところどころに描かれているイラストレーターの華鼓(はなこ)さんの優しいタッチの鉛筆画にも癒される。
    自分の心が疲れてきたり、トゲトゲチクチクしてきそうな時に読み返したい。

    ・「そうか、赤ちゃんは全員いい人なんだ。産まれてくるときはみんないい人なんだ。これまで数えきれないほどの数の赤ちゃんをとりあげてきたこの人がそう言うのなら、この世界はきっといいところなんだ、素直にそう思えた。」
    ・「人がいつまでも恋愛にあこがれるのは、ときめく恋のためだけじゃなくって、小さいときのあったかい気持ちをもう一回味わいたいっていうのもあるんだなあ。自分がこの世でいちばん好きな人から、無条件に愛され与えられるぬくもりを求めてるんだ、そう思った。」
    ・「いつか、世の中に出て、自分が大勢の中のひとりにすぎないとわかったとき、だれもが自分を大事に思うとはかぎらないことを知ったとき、はじめて、ばーばが病院のベッドの中で自分をあったかく思ってくれていたことを知るのだろう。ばーばがチビに呼びかける声は、うんと時間を経て、必ず届くのだ。」

  • 子供は知っている限りの言葉を駆使し思いを伝えようとするので、私達大人には不思議な表現だったり、とてつもなく可愛かったりと子育て中の大きな喜びの瞬間です。
    色々な事を思い出させて頂きました。

  • ばななさんの本、始めて最後まで読むことができた。
    というのも、私が始めて読んだのは、デビュー作の「キッチン」
    高校生の頃で、いまいちかな?みたいな気持ちになったのは覚えている。
    多分、高校生の私には物足りなかったのかな・・・。

    年齢を重ねて、「すぐそこのたからもの」を読みました。
    ばななさんのお子さんが主人公で、チビちゃんという愛称で呼ばれている。
    子育てをする中で感じる事が綴られています。
    読み終わって、温かい気持ちになりました。 ばななさんワールドだなあと。
    寝る前に少しずつ読むのお勧めです。幸せな気持ちで床につけます。

    あと、装丁がきれいで買って良かったと思ってます。

  • 購入してからしばらく経ってしまった。
    購入してすぐ少し読んだ時は文章たちは頭に止まらなかった心だったのに今は、驚くほどしみる。
    ってこと、これあるある。

    久しぶりに電車に乗ることになり、なにか本をと思ってたまたま本棚から手に取った。
    うっかり電車で読み始めたら、ウルウル、危ない危ないと思いながらのあっという間の読了、、、
    この本は、かならずまた読むだろう。

    子どもって、1人の人間で。
    (当たり前だけど、子どもは子どもとしてみがちな気がして)
    ちゃんと、いろんな感情をしっかり持っていて、それぞれの性格や考え方や感覚があって。
    その気持ちを、臆せず言えるような、喜怒哀楽を隠さずいられるような、そんな家庭だったんだろうなと眼に浮かぶ。

    それにしても、チビちゃんの感性にハッとするのよね。
    チビちゃんだからなのか、、
    子どもはまだ、知らないことがたくさんあるから、知っていることや物や感覚の中で言葉を紡ぐ。
    それが、側から聞くと??というものも、案外しっくりきたりするのね。
    チビちゃんの感性とばななさんのあたたかいまなざしに、癒されるひと時でした^^

    つれづれと。
    いちばん最初の、「ゆれるところ」、にじんわり。

  • 人間は本来とても自由なものだと、子どもと暮らしていてあらためて思います

  • すっかりご無沙汰していたよしもとさんの著書は、息子チビちゃんとの日々を語るエッセイ。
    男の子ならではのハッとする言葉にも、ドキッとさせられるが、読んでいて温かな気持ちになれたのは、間違いない。
    特に、帰宅したよしもとさんをホテル風に迎えるチビちゃんは、微笑ましいやら、笑えるやら。
    子育てって、嬉しかったり、悩んだり、切なかったり、笑ったりの連続なのだな~と。

  • 誰かの目を気にすることなく、もっと自分がしたいことをしていきたいな。 世界の名著を読むのも確かに大事だけど、薄い本でも深く考えさせられる作品はとても良いね。
    チビちゃんみたいに、純粋に色んなものに触れて自分に素直に日々を過ごしたいな。2019.9.9 台風で休校

  • 図書館で借りて一気読み。
    ばななさんの本はすごく久しぶり。
    
    子育てを通した、美しく儚く切ない日々がたくさん。
    ふふっと笑ってしまったりしながら
    読みながら、とてもあったかいところに連れていってもらったよう。
    
    子育ては終わりがないようで、あっという間なんだろう。早く大きくなってほしいと思ったり、このままでいてほしいと思ったり、憎たらしかったり最高に愛おしかったりする。
    
    なかなか全部を味わい尽くす事は難しそうだけど、
    この切なくて幸せな時間をもう少し楽しもうかな、と思った。

  • 「ミセス」連載の子育てエッセイ。子育ての中にある切なさがあふれていて、涙が出る。息子さんの言葉は大人びてどことなく宗教がかっていて、ああばななさんの子だ、と思う。全体的に父親不在感があるが、どこの家庭もこんなものなのだろうか。あと製本が非常に悪かった。

  • 男の子のお母さんにぐっとくることがよくある。
    女の子は指をしゃぶってようがどこまでも女だけど、男の子は違う。
    男の子は自分のお母さんを世界で一番かわいいと思っている。
    でもその時期はとっても短くて、悲しいかな、いっきに男になってしまう。いつまでもそばにいてほしいけど、いてもらっても困る。
    お母さんはなんとか強く優しい男にしようと頑張る。そしてその少しのあまやかな時間を大切に大切に慈しむ。
    この本は作者と息子さんのたからもの。あまやかな時間の記憶。
    しあわせ者だね。お母さんは神様くらい君を愛してるよ。
    どうか君がこわい人に会いませんように。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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