松永久秀と下剋上:室町の身分秩序を覆す (中世から近世へ)

著者 :
  • 平凡社
3.92
  • (4)
  • (4)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 80
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582477399

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 戦国時代の下剋上の代表ともされるその生涯を近年の研究成果を踏まえて辿り、その人物像に迫る内容。三好本宗家と一体ともいえる活動実態や、身分秩序への対抗という点での特異性、畿内勢力の視点で見る義昭政権の評価などが興味深かった。

  • 三好長慶の忠実にして優秀な部下であった久秀が書かれている。その能吏っぷりは、梟雄として日本人の全ての人がもつ先入観を吹き飛ばした。
    改元という重責を懈怠する、将軍資質に欠けたる義輝は、度重なる邪な動きをするものの、永禄元年には一応久秀と友好関係を結ぶが永禄5年には対立となる。
    永禄6年には大和支配がかなうが直生に後見的役割をしてきた三好長興が若くして亡くなり、三好家は義継が後継となる。大殿長慶が亡くなり、久秀は息子の久通に家督を譲り、義継と久通の若い主従関係に後を任せるのだが・・・
    永禄8年、実質幕府であった長慶・久秀の統治体制をさらに権威づけを試みたのか、三好三人衆と義継・久通は足利幕府を打倒として義輝を暗殺する。
    目から鱗であったのが、他の兄弟は三人衆らが殺害していることから、義昭の命も風前の灯火だった・・・それを保護したのが久秀、つまり義昭の命の恩人だったこと。
    この前提から、信長上洛により義昭将軍への道筋を作ったのは、(脱出した事実はあるが)義昭本人が、多くの大名に連携策を働きかけ、永禄9年には久秀も信長・義昭と同盟していた。(実現まで2年、久秀大丈夫か~)
    (本文内容忘れたが)その情勢を見て義継・久通は三好三人衆と離反し親子対立は解消して手を取り合って信長に与力して、永禄11年大和支配認可される。
    (5年ぶり、さすが久秀パパ)
    久秀娘も信長へ接近させ、義昭妹も主君三好義継に嫁ぎ同盟は頑強なハズだったが、元亀2年、義昭は久秀のライバル筒井順慶にも養女を嫁がせ、バランスは崩れた。久秀離反・・・信長の敵となり悪名を受け現代に伝わる。

  • ちょっと固いね、話が。
    中々読み進まず。

  • 詳細に資料に当たられた学術的な本であるが,とても読みやすく(名前は紛らわしいが)面白い.今まで信長側からこの時代を見ていたが,確かに三好側から見るとこのようで,久秀のあり方に深く納得した.下克上の意味の捉え方も意味深い.

  • 東2法経図・6F開架 289.1A/Ma83a//K

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

天野忠幸(あまの・ただゆき)
1976年生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。
現在、天理大学文学部准教授。
主な著作に、『三好長慶』(ミネルヴァ書房、2014年)、『増補版 戦国期三好政権の研究』(清文堂出版、2015年)、『三好一族と織田信長』(戎光祥出版、2016年)、『荒木村重』(戎光祥出版、2017年)、『松永久秀と下剋上』(平凡社、2018年)、『列島の戦国史4 室町幕府分裂と畿内近国の胎動』(吉川弘文館、2020年)、『三好一族』(中央公論新社、2021年)、『戦国武将列伝7 畿内編上』(編著、戎光祥出版、2022年)などがある。

「2023年 『戦国武将列伝 8 畿内編【下】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

天野忠幸の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×