山海経 (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 487
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582760347

作品紹介・あらすじ

想像上の世界を縦横に走る山脈、そこに息づく奇怪な姿の怪力乱神たち。原始山岳信仰に端を発し、無名のひとびとによって語り継がれてきた、中国古代人の壮大な世界観が甦る。

感想・レビュー・書評

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  • 袁珂『中国の神話伝説 上』を読んでいたとき、『山海経』を読んでいたらもっと楽しめただろうなとちょっぴり後悔した。

    中国では古代より奇々怪々な怪物や妖怪の物語には事欠かない。その中でも、おそらく最古と思われる謎の書物が『山海経』。
    とはいえ『山海経』には物語もあるにはあるけれど、大方はその土地に住む怪物や妖怪の名前と特徴が淡々と書き連ねられている図鑑のような書物である。なかなか面白い。

    私が『中国の神話伝説 上』を読んだとき、最初に驚いたのが中国で古くから信仰された仙女、女神の西王母の姿。西王母といえば『十二国記』(作者:小野不由美)に登場した女神のイメージがあったので、まさか西王母が仙女ではなく半神半獣だとは思わなかった。
    『山海経』では「西王母はその状、人のようで豹の尾、虎の歯でよく嘯き、おどろの髪に玉の簪をのせ、天の厲と五残を司る」と記されている。衝撃。

    また私は黄帝と神農の争いなど中国の古代神話に興味があるので、刑天がある時、帝(黃帝とされる)と神の座を争って戦ったという物語は大変興味深い。刑天は首を切られて常羊の山に葬られるのだが、その後「乳を目となし臍をば口となし、干と戚をもって舞った」と『山海経』には奇妙な怪物の絵とともに記されている。
    袁珂は、刑天を神農(炎帝)の臣下として、古代の黄帝と神農の争いに関連した戦いを描いたものだと考察している(『中国文学をつまみ食い』より)。
    古代神話の断片がかいま見ることができる『山海経』はやっぱり面白い。そして、古代神話を知るには一度は目を通しておくべき基本となる書物だなと思った。

  • 妖怪・十二国記好き必読!
    妖怪が沢山いすぎて人と妖怪の中間いたいなのがわんさと出てきます。
    でもそれが怖いような可愛いような。

  • 本場中国の妖怪図鑑です。十二国記が好きな方にはお勧め。

  • 「十二国記」の影響でこの本を手にした人もきっと多いはず。
    古代中国の人々の想像力はすごい。

  • 夥しい
    「なんとか山にどういう生き物がいて、これは食べるとなんとか病に効く」といふ、アレがナニである。
     あとモンストランス(予兆)としての怪物が出るのも、アレである。
     面白い。

  • 「山海経(せんがいきょう)」というものに対してずっと「変な生き物図鑑」的イメージを抱いていたんですが、基本的には「地誌」なんですね。こんな山があって、その山にはこんな川と植物と鉱石があってそしてこんな獣や鳥や魚が棲んでて、こっちにはこんな国があってこんな神様とこんな人間が住んでるよっていうのを羅列しただけのもの。起承転結やストーリー性があるわけではないので、つい2~3ページ読むだけで睡魔に襲われてしまい、読み終わるまでにとても時間がかかりました・・・。

    しかし結局、面白いのはやっぱり「変な生き物図鑑」的な要素の部分で、へんてこりんな生き物の挿絵を眺めてるだけで十分楽しい。だいたいパターンとしては、尻尾、足、顔などが「いっぱいある」もしくは「1つしかない」パターンと、人面で身体はなんしかの獣とか、魚なのに翼があるとか、上半身と下半身で別の動物っていうキメラ的パターンが複合されて色んな生物のバリエーションが生まれていた印象。あとさらっと「これは人を食う」とか付け足されているものも多くて、怖いんだけどそのさりげなさが妙におかしかったりもする。

    水木しげるの解説が、わかりやすくて面白かったです。こういう変な生き物が日本に輸入されて変形して、だんだん妖怪扱いされるようになったんでしょうね。

  • 神々の記録であり、妖怪図鑑でもある。エキセントリックな容姿の彼らだけど、見慣れると妙に可愛らしい。高校時代に出会って以来、20数年経った今でも、ときどきページをめくって見たり。

  • 古代中国の地理書『山海経』を邦訳した書。中華世界とその四方に連なる山系や河川、及びその周辺の地理や国々を概観すると共に、各所の動植物や金石草木についてを記す。神々や怪物、神代の帝王の事績にまつわる記述も多く記載されており、中国神話の基本資料としても重要な書物。
    本書は『山海経』の日本語完訳であり、平凡社「中国の古典シリーズ」より出された『抱朴子・列仙伝・神仙伝・山海経』(1973)の『山海経』部分を文庫化したものである。最も古い部分は戦国時代に成立したと目されている『山海経』は、中華世界の主要な山系とそこに連なる山々についてを記した「五蔵山経」、及び海外の諸国についてを語る「海外経」・「海内経」より構成される古代中国の地誌である。各々の山河やその特産物、そこに宿る神々や動植物についてを解説する本書だが、その特色は何といっても豊富な神話や伝説的な事物についての記述である。帝江や天呉といった異形異類の神霊達、橐

  • 中身としては妖怪図鑑である。とても楽しい。登場する妖怪のほとんど全てが食べられるという点に日本との違いを感じる。この厚さならば仕方ないが、もう少しどの図がどの妖怪なのかわかりやすく載せてくれているとありがたかった。総覧や地図も欲しい。とはいえ『山海経』の入門にはうってつけ。

  • 中国のガイドブックであると新聞に書いてあった。しかし、読んでみると怪物の図鑑である。東西南北、中国を中心にして、産物、植生、宝石、薬など様々にか書かれている。人を食うという表現はあったが、人の名で鳴くという表現がよくわからない。
     とにかく珍しい本である。

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