鼻行類 (平凡社ライブラリー)

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感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582762891

感想・レビュー・書評

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  • なんとも楽しい一冊だった。
    ナゾベームが一番好き。おおげさな空気音を出しつつ追いつ追われつしている姿は想像するだに滑稽。
    フシギハナアルキもよい。彼らが両手を組んで風にふかれている群落を訪れてみたい。
    ムカシハナアルキのような始祖からいかに鼻を中心とした進化が進むのか。想像すると楽しい。
    イラストはどれも可愛いくユーモラス。ハナムカデのイラストは無いものか。
    ちょっとありえないような種もいるけど、進化は想像のはるか斜め上を行く。いつか空に舞うダンボハナアルキに出会う日が来るかもしれない。

  • 生物学的知見を駆使して真面目に遊んでいる名著。最高です。

  •  鼻行類という哺乳類の新しい目(生物学の分類は界・門・亜門・綱・目・科・属・種からなり、無脊椎や魚類ならまだしも、陸上の脊椎動物の親目創設は稀有)の発見報告がもたらした衝撃は記憶に新しい。
     本書は鼻行類に関する包括的な研究結果をまとめたもので、鼻行類研究者にとっては、バイブルである。
     不運な事故により、ハラルト・シュテュンプケ氏と氏の所有した鼻行類に関する貴重な資料は永遠に失われてしまったが、鼻行類に関する氏の包括的研究結果の功績の偉大さが失われることはないであろう。また、日本語への訳者である日高敏隆氏と羽田節子の功績も忘れることはできない。
     ヨーロッパでは鼻行類の分類方法や学名の命名方式において大きな議論が起こったが、日本では荒俣宏氏が『世界大博物図鑑・哺乳類篇』でわずかに取り上げている程度である。今後は日本の研究者たちによって、生物学的なアプローチは勿論、視覚文化的手法など、さらなる研究に期待したい。
     最後に私個人としては「ハナススリ ハナアルキ」が一番のお気に入りである。あのマヌケな顔と、強力な粘着性鼻水を使って釣り(捕食)をするとは、生物の進化に驚嘆せざるを得ない。

  • ハイアイアイ群島で発見された鼻で歩く哺乳類に関しての学術論文です。この論文が印刷される直前、核実験の影響で地殻が歪み、ハイアイアイ群島は研究所、研究者、写真や標本などと共に海に沈み、ハナアルキたちは絶滅してしまいました。甚大な損失が悼まれるのですが、この本が上梓され、詳しい生態と豊富なイラストによって私たちはこの奇妙な哺乳類ハナアルキを知ることが出来るのです。 フィクションですけどね(笑)ハナアルキたち造形の面白さは格別。だって、鼻で歩くんですよ!読まなくてもいいから、イラストだけでも楽しんでみてください。架空の物を紹介すると云うスタイルは本当に遊び心をくすぐります。未来から届いた古書目録を紹介する「らくだこぶ書房21世紀古書」とか、映像作品の「スキージャンプ・ペア」もその系列ですね。

  • こういう本は洒落が聞いていて良い。かなり博物学に詳しくないとかけないだろう。

  • 架空の生物についての論文みたいなもの
    文体がまじで論文っぽくて恥ずかしながら不慣れで読むのに最初は苦労した。
    学名や挿絵なんかもかなり本格的。
    冷静に考えたら実在する(してた)わけないんだけど本当にいるかもと思わせてくれるような内容。
    もし私がインターネットの無い時代に生まれ、子どもの頃にこの本に触れたら信じてたかもしれない。

  • 内容は難しいが読んでいて面白いサイエンス・フィクション。個人的には鼻行類はもちろん、それ以外の原生生物や原住民の文化も興味深い。また他にもいるかもしれないハナアルキ達にも思いを馳せるのも楽しい。いつかオリジナルのハナアルキの仲間を描いた本を新しく描いてくれる人でもいないだろうか?

  • あまりの奇想天外さに びっくり。
    古代の人が、龍やグリフィンなどの空想動物を作り上げたのとは、ちょっと違う。

    2007/8/23 借りる。9/6 読み終わる。

    内容と目次は → 

    内容 :
    1941年に発見されたハイアイアイ群島。
    そこでは鼻で歩く一群の哺乳類=鼻行類が独自の進化を遂げていた。
    鼻行類は哺乳類の特殊な一目とみなされており、その名のとおり鼻が特殊な構造をしているのが特徴である。
    某年の核実験によるハイアイアイ島の消失とともに絶滅した。
    多くの動物学者に衝撃を与えた驚くべき鼻行類の観察記録。
    1987年日本語版出版後 たちまち話題となった名著の再刊。

    著者 : ハラルト シュテュンプケ
    1908年生まれ。ハイアイアイダーウィン研究所博物館長。
    カール・D.S.ゲーステの名で「シュテュンプケ氏の鼻行類」、ゲロルフ・シュタイナーの名での作品等がある。

  • すでにかなり有名な本ですが、ようやく読んでみました。
    「鼻行類」という、哺乳類についての本です。
    一応フィクションのはずなんですが、すべての資料がすでに散逸してしまっているため、フィクションともノンフィクションとも言えないとかいうそういう話。
    基本的には学術書の体をとっています。
    そのやり方が完璧すぎたので、当時いろいろと物議を醸したようです。
    実際読んでみても、しっかりやり過ぎというぐらいにやってます。
    参考文献までもがしっかりネタになっているために、信じてしまう人が多々出てくるのは仕方ないかなとも思います。
    あとがきによれば、フランス語版で序文を大物動物学者が書いてみたり、サイエンスにこれに関する記事が載ってみたりするなど、これは本当のことではないかと思わせる状況が多々発生していたみたいですね。
    ここまでやれば、しっかりした学術書に見えてくるので、素晴らしい作品だと思います。

  • 驚くべき鼻行類の観察記録。(嘘)

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