- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582766356
作品紹介・あらすじ
十九世紀半ば、機関銃の登場により、過剰殺戮と呼べる概念が戦争に導入された。戦争の主役は、もはや人間ではなく、機関銃であることが明らかになった。第一次世界大戦では、死者の八十パーセントが、機関銃の犠牲者となった。近代の軍事技術の革新によって、人間の社会はどのように変わっていったか。背筋が寒くなる人間と機関銃の歴史。
感想・レビュー・書評
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機関銃が戦争そのものの質に変革をもたらしたと考えてはいたが、具体的にはどうだったのか知りたくて手にした本。
産業革命の工業の発展を背景に開発されたものの、戦争での活用を当時の軍が頑ななまでに拒んだのが意外でした。
第一次世界大戦で機関銃の有用性というか、無いと話にならない事が証明されているにも関わらず、軍上層部は事実から目を背け続けるところでは、価値観の根本的な変革への拒絶を続ける人々の前では、多くの兵に犠牲が出ている現実も、データで示される事実も意味が無いのだなと思いました。
第一次大戦後、短機関銃が開発されるものの軍からは必要とされず、民間へながれギャングの主力武器となってしまったり、第二次世界大戦の時は既に戦争の主役は戦車になっていたりしますが、主要兵器としての需要は高く、機関銃の技術的発展はまだまだ続いています。
近代から現代にかけて、個々の人権を尊重する思想が発展しているにも関わらず、兵器の殺傷力は増していき、それがもたらす破壊の前では人命は消耗品となる矛盾に皮肉を感じます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読了日:2016/10/21頃
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「THE SOCIAL HISTORY OF THE MACHINE GUN」の翻訳(2008/08発行)。
機関銃が社会に及ぼした歴史について書かれた古典的名著。 -
『ぼくらの頭脳の鍛え方』
文庫&新書百冊(立花隆選)139
軍事 -
十九世紀半ばに開発された機関銃、この革新的兵器がいかに戦争の様態を、ひいては思考様式そのものをも変えてしまったかを示した一冊。
とにかく機関銃を前にした軍隊の頑迷固陋さが印象的です。歩兵や騎兵突撃と機関銃がぶつかりあえばどうなるかは明白。ですが当時の軍上層部がそれを全く理解出来ず、それどころか機関銃そのものを軽蔑し相手にもしなかったというのは信じがたいほどです。読んでいて思わず天を仰ぎたくなりました。
先人がいかに過ち、そして多大な犠牲を払ってようやく機関銃の価値を見出していく過程は示唆に富みます。この点だけでも読む価値はありましょう。価値観そのものをひっくり返しかねない技術を「あんなの大したことない」と鼻で笑うのは我々全てにありがちなことですから。
機関銃の歴史や植民地と機関銃の関わりについても多くを割いており、読み応えあり。機関銃という革新的な発明、ひいては技術そのものが社会に与えた影響がいかに甚大であるか実感できます。
科学技術が思考様式を、文化すらを変えるプロセスを追体験出来る一冊。お勧めです。 -
内容は、
・機関銃は金儲けのために作られて、発明家が頑張って売りさばいた。
・植民地で虐殺を行うのに使われた。
・軍人は頭が固いのでこの新しい武器を最初冷遇した。
・第一次大戦が起こりその死傷者の八割以上が機関銃による物だった。
という事。
頑張って書けば原稿用紙十枚程度に収まる。
水増ししすぎ。
この根拠になるような当時の人間の書いた文章の引用を何度も何度も行っている。