防災アプリ 特務機関NERV: 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582824933

作品紹介・あらすじ

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「どんな速報より早く正確」と評される、
188万ダウンロードの防災アプリ「特務機関NERV(ネルフ)」の開発秘話。
石巻市出身の稀代のホワイトハッカー、石森大貴の情熱が防災を変える!
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「謎の災害速報アカウント」――。

 かつてそう呼ばれたツイッターアカウント「特務機関NERV」は、今や社会インフラになった。ツイッターフォロワー数132万人、スマホアプリダウンロード数188万。地震情報や気象警報のツイートはNHKニュース速報よりも速い。 
 「特務機関NERV」とはもともと、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する国連直属の非公開組織の名だ。作中では、敵「使徒」のせん滅を主要任務とする超法規的組織として描かれる。 
 アカウントの始まりは2010年。その「エヴァ」ファンの大学生が「遊び」で始めたアカウントだった。だが、2011年の東日本大震災がNERVアカウントを大きく変える。 
 「中の人」石森大貴は宮城県石巻市出身。高校卒業まで暮らした実家は全壊し、慕っていた伯母や知人を亡くした。以来、彼は「防災情報配信」に全力を傾けるようになる。 
 自身が経営するITセキュリティ会社「ゲヒルン」で気象庁本庁舎内に専用線を敷き、プログラムの修正を繰り返した。 
 そして2019年にはついにスマホアプリをリリース。2021年2月の福島県沖地震の際、気象庁の緊急地震速報を受信・解析し、対象地域にいるアプリ利用者を選んで情報を送り始めるのにかかった時間はわずか0.466秒だった。スピードにかける先にあるのは、「逃げるための『情報』を、できる限り早く届けたい」という信念だ。 
 エヴァンゲリオン版権元も彼らの活動と情熱を認め、名称の使用を許可してきた。

「遊び」から社会インフラへ。
 情報のスピードと質、そして幅広さを求める彼らの挑戦はなおも続く。

 石森大貴とゲヒルンが、情報と防災にかけた10年の歩みを追いかける。


◇目次◇
序 章:最速の防災アカウント
第一章:3月11日
第二章:熱意と技術
第三章:Lアラートと作画システム
第四章:起業と経営
第五章:防災アカウントとして
第六章:災害と、新たな挑戦
第七章:「情報では命を救えない」
第八章:哲学と実装
第九章:特務機関NERV防災アプリ
終 章:反省とは、未来を考えること
[寄稿]『防災アプリ 特務機関NERV』刊行によせて/石森大貴
[年表]特務機関NERVの歩み

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    NERV防災アプリに触れたことが無い人は、試しにインストールしてみてほしい。
    とにかく、アプリが開くのが異常に早いのだ。アイコンをタップしてから現在地の地図が開くまでに0.5秒もかからない。開発者である石森の「少しでも早く伝えたい」という思いを反映させているようだ。
    また、「防災アプリ」としての守備範囲もかなり広い。気象警報・注意報の発表状況、地震発生の情報、火山の降灰予想、土砂災害の危険度分布、台風の現在地といった防災情報はもちろん、気温、雨雲レーダー、週間天気、現在地の天気といった日常使いできる機能もある。しかも無料で広告無しだ。
    このアプリは、今や「最強の防災アプリ」として200万回以上ダウンロードされている。開発の裏には、東日本大震災で身内を亡くした者の、防災にかける情熱があった。

    本書は、個人のTwitterアカウントである「特務機関NERV」が、「社会インフラ」へと成長していく10年を描いたノンフィクションだ。もともとはエヴァファンがお遊びで作ったなりきりアカウントだったが、震災を機に防災・災害速報ツールへと進化し、今やフォロワー数140万人、スマホアプリのダウンロード数は206万回にのぼる。

    本書の主人公は石森大貴というITプログラマーである。特務機関NERVの中の人だ。
    石森は小学6年生のときに、自宅のパソコンでサーバーを構築し、レンタルサーバーとして運用していた。サーバーを貸し出した人数はのべ1000人ほどにもなる。その過程で、ネットワーク構築、OSのプログラミング、セキュリティ、物理的故障の修理など、コンピューター関連のあらゆる分野を勉強していったという。

    それが高じてITプログラマーとなった石森は、特務機関NERVを作る前からセキュリティ関係の会社で働いていた。界隈では名の知れたプログラマーだったらしい。そんな彼がセキュリティ会社を辞めてNERVを作ったのは、ひとえに「防災への情熱」からだった。

    石森は、とにかく「防災」に対する熱量が凄い。東日本大震災ではNERVから絶え間なく緊急地震速報や停電情報が発信されていたが、なんと全て手動だったらしい。気象庁の発表がホームページに掲載されるまでには時間がかかるため、プログラムではなく自分の手でツイートしていた。NHKを24時間つけっぱなしにして、寝ている間もアラートで目が覚めるようにしていたという。
    震災後も、「より正確で迅速な災害警報システムを作りたい」という思いから「作画システム」を構築する。このときには災害情報を自動取得するプログラムを組んでいたものの、大災害のときだけは相変わらず手動で情報を更新していたらしい。各地の被害状況をピンポイントで報道するためにはどうしても人の手が必要だからだ。読んでいて思わず「え、あれって中の人が全部手動でやってたの?」と驚いてしまった。石森の防災にかける情熱がうかがい知れるエピソードだ。

    石森が数年スパンの次の目標として目指すのが、全国のハザードマップのデジタル化だという。
    ハザードマップは、地形測定の高精度化、防災研究の深化によって年々正確性を高めている。一方で、各自治体が作成するハザードマップの様式は統一されておらず、オープンソースのデジタルデータ化もされていない。1,700を超える自治体から統一化されていない情報をかき集めてデジタル化するという、とんでもない大事業である。

    特務機関NERVは、防災の先に何を見ているのか。それは情報をもとに「自らが行動する」意識を芽生えさせることである。
    「防災」の究極の形は、市民一人ひとりが災害を自分ごととして捉えることだ。公的機関の援助には限界がある。どうしても、目の届かない場所にいる人は助けられない。そんな中、一人ひとりが情報を集め自分の行動に繋げることで、確実にいのちが助かっていく。率先して自分の身を助けることで、救急隊のリソースに余裕が生まれ、本当に助けを必要としている人に救助の手が届いていく。
    東日本大震災で「情報」の大切さを知った石森だからこそ、成し得る使命である。

    ――情報に限界があることを認めて、「自分で行動して」と伝えることこそ、我々の役割だったと激震が走りました。自らの命を自分で守るという主体性と自主性をもって行動する。情報はあくまでそれを補助する目的でなければならない。1秒でも早く情報を伝える取り組みは、判断をする時間を稼ぎ出すためにある。これこそ、技術的な限界を誰よりも知っている我々防災アプリをつくる側が言わなければいけないことです」

    ――――――――――――――――――――――――――――――
    【まとめ】
    1 東日本大震災で芽生えた防災への使命
    ITエンジニアの石森は2010年2月、特務機関NERVというツイッターアカウントを立ち上げる。エヴァンゲリオンファンである石森が「遊び」で始めたなりきりアカウントだ。現実の台風や津波を使徒になぞらえ、作中のNERVが使徒襲来の警報を発するかのように、地震情報や気象警報をツイートする。当初は手動でツイートしていたが、10年7月に自動でつぶやくプログラムを開発した。
    石森の運命を変えたのは東日本大震災だった。石巻に実家を持つ石森は、翌12日の早朝から、石巻の情報を自身のブログに次々にアップしていた。わずかに報じられたニュース、友人らから送られてきた写真、各種SNSへの投稿……。通信網の混乱や営業店舗の情報なども掲載した。家族や親戚と連絡が取れず、わずかな情報を求める人からのコメントが次々に届いた。ひとつの地域の情報のみを網羅的に収集するそのブログは、石巻に縁のある人にとって貴重な情報源になったのだ。

    3月12日、石森はNERVアカウントで「ヤシマ作戦」についてつぶやく。電力需要逼迫に対する節電要請だ。
    石森がTwitterで作戦遂行を呼びかけると、協力者が次々と現れる。節電メーターアプリを自作し提供してくれたTwitterユーザー、ホームページ用の上位プランを提供してくれたサーバー会社、さらにはエヴァの版権元である「グラウンドワークス」と制作会社の「カラー」も特務機関NERVの活動を知り、ロゴの使用を認めてくれた。

    計画停電は3/14〜28日まで2週間に渡って続いたが、節電の呼びかけによって確実に効果を上げ、停電地域に指定されながらも停電が回避されるケースが相次いだ。

    石森はこの震災で親しかった伯母を亡くしている。
    「『逃げて』という声が大切な人に届かなかった。次はちゃんと逃げなきゃいけないし、仮に何事もなくても、その次も逃げなきゃいけない。もう二度と、災害で大切な人を亡くしたくないんです」
    それが、石森の使命になった。


    2 熱意と技術
    11月から、緊急地震速報のうち7報以上でマグニチュード4.5・震度4以上と報じられたものを自動でツイートするようアカウントを改良する。2012年に入ってからは、首都圏の鉄道運行情報、停電情報、NHKニュース速報、防災気象情報を自動化していった。

    NERVの情報発信は、どこよりも早い。
    石森は言う。「速報によって生み出された時間が避難を判断するための猶予になる。情報の正確性はもちろんですが、『逃げて』の声を伝え、避難の判断につなげてもらうためには少しでも早く情報を届けたいんです」

    2013年には、防災情報のさらなる充実のため、公共情報コモンズ(Lアラート)への接続を申請する。NERVを自身が経営する会社『ゲヒルン』の一事業として位置づけ、災害情報をツイートに活用するためだ。当時、報道機関以外が公共情報コモンズを利用する例はYahooポータルのみだった。運用元のマルチメディア振興センターも、「SNSで発信する」という使い方は全くの想定外だったという。

    マルチメディア振興センターとの接続許可の面談結果は「保留」となり、コモンズのデータをどう使い、どんな発信をするのか見せてほしいという「宿題」を出された。

    石森には秘策があった。「作画システム」の実装である。
    NERVが目指していたのは速報性だ。そしてその速報に、文字情報だけでなく災害の規模や状況を概念的に理解できる地図情報を加えることができれば、災害速報ツールとして大きな武器になる。気象庁が発表する「東京都新宿区:震度3」といった情報をもとに自動で地図を描写し、新宿区の正確な位置に震度3を表す記号を打つ。そして地震があった地域に同時に記号を表示し、完成した画像を自動でツイートする。それをPC1台で構築するというプロジェクトだ。

    石森は一学年上の河原木、ゲルヒンの取締役である糠谷を集め、作画システムを作り上げる。

    当時を知る防災関係者のひとりは、特務機関NERVが自動作画を始めたときの衝撃をこう表現する。
    「『革命的』でした。防災の現場では 『避難の判断を他人にゆだねてはいけない』と常に言われます。自分で決めなければならない『判断』を助けるのはこういったツールでしょう。テレビが防災・災害報道をリードしてきた時代は間もなく終わると実感しました」
    自動作画システムのプレゼンを経て、ゲヒルンは2013年8月に正式に公共情報コモンズの情報伝者と認められた。


    3 インフラとしてのNERVへ
    災害情報を取得し発信するプログラムは組んでいたものの、大災害が起こったときの細かい情報の報道は、全て石森が手動で行っていた。
    16年9月1日、ゲヒルン社内に「技術開発部 技術局防災チーム」が新たに立ち上がる。新メンバーの吉村がチームに加わり、作画システムの改良を行っていく。2017年には作画システムを気象警報・注意報や台風情報にまで拡大した。

    2018年4月には、今まで情報受信のメインツールとなっていたIIJやLアラートをサブに回し、気象業務支援センターと接続契約を交わした。念願の「専用線」である。気象庁との間に専用線を持つ民間事業者の多くは報道機関や気象予報会社など、社会的な役割を担う企業だ。専用線敷設によって、特務機関NERVはそれらの企業に並ぶ「社会インフラ」としての役割を歩み始めた。


    4 防災アプリ開発へ
    2019年9月1日、ゲヒルンは「特務機関NERV防災アプリ」をリリースした。
    NERV防災アプリの最大の強みの一つが、ユーザーがいる地点ごとに予想震度や主要動の到達予想時刻を演算・表示する「緊急地震速報の現在地予想」だ。
    現在地予想は緊急地震速報が出て揺れが予想される地域にいるユーザーに対し、そのユーザーがいる地点の予想震度と「主要動到達までの残り時間」を表示するものだ。残り時間は秒数でカウントダウンされるので、あとどのくらいで強い揺れが来るのかが一目で理解できる。
    ここで表示されるのはユーザーの詳細な現在地に応じた情報だ。地盤の揺れやすさなども踏まえて計算されており、例えば同じ東京都千代田区でも、秋葉原駅にいる人と神田駅にいる人では別の情報が表示されている。
    この個々人に応じた予想震度と到達時間は、特務機関NERVのサーバーではなく、私達が持つスマートフォンが計算している。プッシュ通知に含まれるペイロードのなかに緊急地震速報の予報資料を含めており、それを受信したユーザーの端末が、現在地の座標と組み合わせて震度と到達時間を計算している。
    この機能は、「揺れが到達する時間がびっくりするぐらい正確」と、ユーザーに衝撃をもって迎えられた。

    特務機関NERV防災アプリの強さを際立たせているのは、何といってもその「スピード」と、高速での情報配信を支える「インフラ」だろう。NERV防災アプリは、プッシュ通知が届くタイミングやアプリの起動にかかる時間など、すべてが圧倒的に早い。そして、アクセス急増によるサーバー落ちは一度も経験していない。

    NERV防災アプリの特記事項には、特務機関NERVの哲学が書かれている。
    ――また、自らの命を守ることに対して、行政やメディアの報道、本アプリなどの情報に依存しないでください。観測や予報には技術的な限界があり、気象庁・自治体・メディア、そして本アプリの情報がいつでも正しいという保証はありません。自らの命は自分で守るという主体性と自主性をもって情報を活用してください。
    災害が起きたときには、情報が届くのを待つのではなく、周囲の状況をよく見て自ら行動してください。この特記事項を踏まえたうえで、本アプリの情報を皆さんが有効に活用し、ひとりでも多くの命が守られることを願ってやみません。

    情報だけでは、命を救えない。情報には限界がある。それを認め『自分で行動して』と伝えることこそ、防災に携わるものたちの責務である。

  • 私はコンピュータプログラムとか、全くわからない。

    ツイッターやインスタは、見る専門としてすら登録していない。
    (登録しないと見ることすら、昨今ではできなくなったから、若干不便に感じてはいる)

    エヴァンゲリオンて何?
    その名称だけは知っているけれど…。

    そんなおばちゃんには全く無縁のはずの本書だが、ブクログ内で知り興味を持ち、図書館に有ったので読んでみた。

    後半は少し飛ばし読みしたところもある。

    本書は石森氏が書いたのではなく、プロのライターが書いたものなので、(内容は難しかったけれど)まあまあ理解できたと思う。
    ただ、アプリ開発のところ(第7章)で2018年や2019年の出来事が所々前後して書かれていた箇所は少しわかりにくかった。
    (エヴァンゲリオンの版権を持っている会社からアプリでの使用許可ももらえた件、新しいスタッフが加わった件、社長の石森氏が心折れて姿を消してしまった件、ツイッター社から凍結されてしまった件のあたり)
    どうも私は、小説はさて置き、こういう書籍では時系列に沿って書かれていた方が理解しやすいようだ。
    (巻末に年表あり)

    何の特殊能力も持っていない私からしたら、コンピューター・物理・数学(本書とは関係ないが、生物・医学・身体能力などなど)の天才的才能を持った方々が、その能力を悪の道ではなく、本書のように正しいことに使ってくれることに対して感謝もし尊敬もする。
    (石森氏があとがきで「専門的な技術と高い倫理観を持ち合わせた職員」と表現している。
    そう、それだ、私が言いたかったことは。)

    石森氏達だけでなく、気象庁や、石森氏が高校生の頃に参加したセキュリティキャンプを主催した省庁にも、そういう、各分野で優秀な人達がちゃんと居てくれるものなのだなということも知ることができた。

    「あっ、地震!」と微かな揺れに気付いた瞬間、「直後に大きいのが来る、その始まりなのかもしれない」と毎度思って怯える。
    そしてすぐにテレビを付けたり、スマホで気象庁の地震速報に自分からアクセスしたりするのだが、今の揺れの震源地も自分の所の震度もなかなか判明しない。
    一方、何かのアプリを闇雲にダウンロードすることもなく、結構そこは慎重だ。
    「怪しい」ものには近づかない。
    そんな私にとって、本書は「信頼のおけるクチコミ」のようなものとなった。

    第9章に書かれている、怒涛の開発に次ぐ開発の様子は特に凄かった。
    元々石森氏が色覚異常当事者なので、色覚異常当事者に配慮した発色やコントラストだけでなく、言語や音声や受け取る側の機種の多さなど、考えられる障壁に次々と挑んでいっている。

    本書を読んでいる途中で「エヴァンゲリオンとは」で少しだけ調べたので「使徒」という言葉を使った第9章の気象庁のコメントが随分と粋であったことも理解した。
    エヴァンゲリオンの版権元の懐の深さも素晴らしい。
    とは言っても実際のイラストも何も見ていないので、いまいちよくわからないのだが、ウルトラ警備隊のようなものと解釈させてもらった。
    年齢に免じて許して欲しい。

    読了後、アプリを入れた。
    大音量の警告が鳴らない日々が続くことを望みながら。

  • 新世紀エヴァンゲリオンに登場する特務機関NERVのロゴを使用したTwitterの防災アカウントの運用秘話及び防災アプリの開発記録を取材したもので、災害情報の正確さと迅速さが好評な特務機関NERVの「中の人」に迫った書籍である。

    特務機関NERVに対して「災害情報は正確かつ迅速だけど、どんな運営体制なのか不明だからいまいち信用できない」という人もいるかもしれない。しかし、本書を読めば、運営の徹底した防災意識とそれを実現するための高い技術力、そして、行政(気象庁等)と連携した信頼性の高いデータを用いて運営されていることがわかる。さらに、NERVの提供する情報は災害が発生した際に「自分で対処する」ための判断の補助としてのスタンスで行っているので、誠実でもある。(誠実である理由は「災害が発生したときは情報を待つ前に、想像力を働かせ、自ら行動しなければならない」ため「自分で行動して」と伝えることこそ防災アプリの責任であると運営者は考えているから。)
    こういった数々の努力によって特務機関NERVは信用を勝ち取った。ただのアニメパロディbotなどでは断じてないと知ることができた。

  • 自分も情報発信に携わる身として、災害大国日本における「いまなすべき最優先のことは何か?」を見極めることのむずかしさは日々感じています。伝え方なのか、伝える技術なのか、どこで伝えるのか…Twitterからアプリへとプラットフォームを変えた経緯も読んで納得です。140文字の裏にある途方も無い努力と、出会いを引き寄せて巻き込む力、石森さんの飽くなき探究心、そしてそんな石森さんの少年期に自由を与え、あたたかく見守ったご両親の教育方針、いろんな要素が結実したのが現在の姿だと思います。
    そして、最後の伯母さんのお写真には涙してしまいました。
    これからのご活躍も楽しみです。

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  • #防災アプリ特務機関NERV
    こと地震についてはそれまで信用していたNHKをぶっちぎってNERVしか勝たん
    揺れを感じると真っ先にTwitterをあけて、先頭のNERVさんのツイートを確認するのが定番。
    それだけ信用していたけど、詳しいことは全然知らなかった。
    知れてよかった。「何が言いたいんだ?」がなく真面目で中の人石森さんの人となりが伝わる、最終的にアプリに集約される筋立てがぶれない良書。おススメです

  • NERV の背景や特徴について、読みやすい文体・構成ながら詳細に語られており、面白かった。他の人にも読んで欲しい一冊。

  • 図書館にて。
    Twitterか何かで紹介されていて、借りてみた。
    こういう崇高な志を持って、実際に実現させてしまう天才もいるのだなと思った。
    こういう人が、私も大好きなエヴァの中の称号を名乗って動いてくれているのは、何だか誇らしい。
    私もこのアプリもちろん使っているが、アプリを開くときネルフのマークが浮かぶところがすごく嬉しい。
    エヴァの制作陣も公式に応援しているのも粋だと思う。
    こういう人に国を動かしてほしい。

  • 熱い!!熱すぎる男たちの物語。
    ゲヒルン 石森大貴、是非お会いしてみたいなぁ。何か一緒に取り組めることが無いか。

    ・自分の地域の情報だけを見たい
    ・ローカルで計算して少しでもその人にあった情報を!

    ・英語版 → 日本語が喋れる外国人でも理解するまでにわずかな間があくとその間に命の危険が迫る。少しでも判断できるように英語で配信

    ・色覚異常が逆に強みに!デザインに関わる人が増えてほしい

    ・さくらインターネットの田中社長に自分の会社を買って欲しいと訴え → よりやりたいことのための決断素晴らしい

  • 天才が情熱を持ってやるとこんなに凄い仕事ができるのか。細部まで突き詰める。こんな仕事がしたい。

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著者プロフィール

ジャーナリスト、編集者。1987年、北海道生まれ。2012年に山と溪谷社に入社し、登山雑誌の編集にたずさわる。18年に退社後は週刊誌『AERA』などで取材・執筆。宮城県石巻市の無料情報紙『石巻復興きずな新聞』副編集長も務める。編集・執筆を担当した書籍に『ヤマケイ登山学校 ロープワーク』(水野隆信監修、山と溪谷社)など。

「2020年 『下山の哲学 登るために下る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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