- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582833911
感想・レビュー・書評
-
著者を成している根底にはシャーマニズムとかアニミズムとかそういった信仰の影響がかなりあってすごく根強い。それが彼の作る音楽にも反映されているのがよくわかった。
とにかく面白い!そんな考え方もあるんだって思うことは意外と少ない日常で、この人の考え方は傑出している。語り口が滑らかですとんと心に落ちてくるからとても読みやすい。なのに読後に心の中で「この意味って…」と考えさせてくれる。
よく人の言っていることが「正論かどうか」を議論するなんてことがあるけれど、そんなの無意味だ。大事なことは人の考えを知ること。自分の考えを成熟させること。哲学を持つことである。この人の哲学は傾聴に値する。
(20110516)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ハリーファンには必見です
-
『人と人が助け合える時代だったんだね。でもそれは努力して勝ち得たものじゃないから時代とともになくなっちゃうんだよ。今はそれを個人でも勝ち得ないとダメな風になってしまった。』
細野晴臣氏と鈴木惣一朗氏が人生問答。
(こちらでも一部掲載)
頭で考えていることは自分の一部であって、ほとんどが無意識が支配しているんだろうけど、
細野さんはそれを素直に受け入れているようで
それを軸として、自分の生き方を柔らかく語っていて、
いい感じに脱力して、羨ましく読み進めることができた。
60歳になったら、細野さんみたいなジジイになりたいなぁ(笑)
何か生きにくい世の中になっているって、最近特にと感じるけれども、
こんな時だから、「ああだこうだ考えず」に、どうせ「自分の意思でしか生きられない」
のだから、素直に感じるまま、後悔しないように進むしかないのかなぁ、
なんて思う。
世間のこと、世界のこと、老いること、祈ること、よりよく生きること、
こんなことを小声で話している細野さんの言葉は
作られている音楽と同じように心にすーぅっと、押しつけではなく染みこんできて、
読んでいるときは、その文章の空気からか、時間の進み方がゆっくり感じられた。
細野さんは、嗅覚について、
レコードには場所の匂いがするけど、i-podには全然匂いがしない、と語っていたけど、
感覚的なものが失われているということなんだろうな。
細野さんの音楽が好きな人は、本書を読むと感覚的なところを共感できると思うので、
より深く音楽が聴くことができるようになるかもしれませんよ。
この本から出る空気好きだな。
以下抜粋。
・考えは変化しても、悩みそのものはあまり変わらない。
・人は未来が見えなくなると過去にこだわるようになるんだ
・二つにわかれているようで、先は一緒になっているんだ。
・悟りというのはひとつの世界じゃなくてプロセスなんだと思う。
・何をやっても厳しすぎすのはよくないなっていうのかね、楽しくないとよくないって、そういう風になってきた。
・「不二一体」って言葉が出てきて、ようするに昔の人は「頭で考えることと実際の行動を直結してきた」と書いてあるんですね。
・「不二一体」ってのは、ある修行を通してじゃないとできないことだね。
・孤独に耐えられない人間はモノはつくれない
・昔の広告宣伝っていうのは、家族に対して、ホームに対してなされていた。家庭という単位。それが崩壊したせいで個人に向けられてくる。それはとてもキツイことだなと思う。
・人と人が助け合える時代だったんだね。でもそれは努力して勝ち得たものじゃないから時代とともになくなっちゃうんだよ。今はそれを個人でも勝ち得ないとダメな風になってしまった。
・今の若者の特徴のひとつは、自分を守りすぎてコミュニケーションを遮断しちゃうってことだと思う。
・今の若い人の心って柔らかく弱いんだろうね。キレイなんだと思う。ピュアでね。だからこそ守らないと崩壊しちゃう。だから周りを固めちゃう、ヨロイカブトで。
・最近は稼げないミュージシャンと世間との格差がない。
・頭で理解することはできる。でも皮膚感覚で理解ができていないんだと思う。
・本当のことは小さな声でひそひそ語られる
・(沖縄の人は)言葉の外を感じ取る能力にたけている
・思われるより思ったほうがいい
・自尊心っていうのは嫉妬に結びついてるものでロクなものじゃない。
・仏教では欲を持つなら、大欲に目覚めろってよく言う
・(悩みとは)聞いてあげるっていう行為が一番効果がある
・起こることに関しては受け入れる。去る者は追わず、来るものは拒まず。でも、本当に大事なものはとことん追い求める
・モノづくりっていうのは何かが自分を通して過去から未来に通っていくだけで風に感じた。自分がどこにいるかっていうことを知ることは、人間にとって大事なこと
・ものごとには完全な自由ってのはなくって、やっぱり枠っていうものがある。どんなものでもそうだよ。 -
私は出版物の中でも、特に随筆やエッセイ形式のものが好きです。
筆者の日々の関心事が評論などと比べて、比較的生の形で述べられている
からです。 本書は、文章が対話形式で、話し言葉を用いて書かれています。
そのため随筆やエッセイよりも、生の感覚がさらに進み、本を開くと筆者
が直接話しかけてくるような印象さえ持ちました。
一般的に評論や論文で書かれる文章は、論理性や説得力を重視しますが、
本書から、きままな言葉が物事の本質をつく説得力を持つこともあると感
じました。 本書中に「自分が編み出したと思っていたリズムも、実は昔か
らあったもので、そのことがわかったとき、モノ作りは何かが自分を通し
て、過去から未来に通っていくだけだと感じたの。」 という一文がありま
す。この文は人間が伝統的な存在であるということを表していると感じます。
本書は、著者の経験に基づく様々な知恵がふんだんにちりばめられた良書
だと思います。 -
この本は独特のリズムを持って、読み手を次の頁へ次の頁へと進行させます。敢えて苦言を呈するなら、その服部一成による装幀が個人的に生理的に受けつけないという事でしょう。
-
お前の中で雨が降れば
僕は傘を閉じて濡れて行けるかな
というフレーズに惹かれた。
それから、はっぴいえんどというのはごく自然な流れ。 -
図書館で見つけて借りている。今、パラパラ読んでいる。拾い読み?か…60を超えられた細野さんの発言も魅力的だ。同時にいろんな本も借りて読んだりして、ごちゃごちゃになりそうだ。そんなときは、細野さんのCDでも聴こう。ハリー・ホソノ!
-
細野晴臣と鈴木惣一朗の、とりとめの無い対談録。
この人はほんとに、力が抜けて、ぽやっとしてるなあと。
かといって、だるんだるんな訳でもなく、
ついカッコつけちゃったり迎合しちゃったり、
そういう自分もよく見えてて。
そうね、自分のことをよく見ようと、すごく丁寧な注意を払っている一方、
どこまでいっても、自分と、それと関係する宇宙のことなんか、
わかりっこないんだ、っていう達観を持ち合わせていて。
どこか宗教的で、どこか動物的で。
日々の”当たり前”を全く違う角度から眺めてみる事は、
大切なことだよなーって思う一冊。
休みの日に読めばよかった・・・w -
自分のことを話しているのに
なんだか他人のことを話しているような
そんな細野さんの語り口
あきらめてそうであきらめていない
変わらなさそうでくるくる変わる
まったくつかみどころのない人です -
2008/10/25購入