- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582834840
感想・レビュー・書評
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もちろんキモとなる著者が逮捕される事件も読み応えがある。だが、私が惹かれるのは「それ以外」の名もなき人たちの肖像だった。彼らは紛れもなくこのエッセイにして痛切な自伝が描く「60年代」を生きていた。沢木耕太郎のスケッチや、村上春樹や中上健次、村上龍が描く青春を連想してしまう(おかしな話だ。龍は「遅れてきた」世代のはずなのに)。ということはこの書物は著者が一皮剥けて一流のエッセイストになる、その「一皮剥ける」ために何物かを葬らなければならなかった鎮魂の書物であり、同時に哀切な文学を綴った1冊どいうことになろう
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記憶のかなたに消えていた60年代がセピアからフル・カラーになって甦ってくるような一冊。
あとがきに綴られた <あの時代に青春を生きた人間が好きなのだ> という川本氏の真情は、あの時代をさまざまに生きた人たちへのオマージュでもあるのだろう。 -
記者としてのあり方,モラル,そして時代の空気.
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一雑誌記者の60年代末~70年代の思い出。
取材する側にどれだけコミットしていいものか、悩みに悩んだ様子が端々から読み取れる。
活動家たちに心情的に寄り添う部分がありながら、取材記者としての立場で彼らを見て、記事を書く。
自分自身の立場に、何かしら消化しきれないものを抱えながら、やがて記者生活の終わりを迎えるきっかけとなる「ある事件」にかかわっていくことになる。 -
生まれる何年も前の話。
眉間に皺が寄りっぱなし。何だか鼻の奥がツンとする。
不思議な読後感。
悲しい、のとはちゃうな。なんやろ。
映画も観たいが、止めた方がええやろか。むう。 -
2013/1/5購入
2013/1/9読了 -
激動の60年代末から70年代をジャーナリストとして、駆け抜けた著者の回顧録の本著。
映画を観てから、原作を読みました。
近年60~70年代を総括する本が多々出版されていると思うが、これはジャーナリストとしてどうあるべきかという葛藤を含めて、どう全共闘と向き合ったのかと赤裸裸に綴られている。
その他にも、カルチャーに強い著者だけにあって。映画、音楽などについても触れられているため、その時代の空気感が感じられ易くなっていた。