昆虫食入門 (平凡社新書)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582856354

感想・レビュー・書評

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  • 2010年刊。

     英国ではデビルフィッシュと呼ばれるタコを食する日本人。ならば、カタツムリは勿論、昆虫すらこれを食する文化に対して嫌悪感を持つのはお門違い。まして1950年代までは日本でもこれを食する地域があり、あるいは戦時中は救荒食として珍重されたものならば猶更だ。
     本書は、この昆虫について、食する(世界各地の食用昆虫の種のみならず、その調理法も)ものとして解説しつつ、さらに漢方的な薬として利用されている様も説明を加える。
     また、昆虫食に忌避感がもたらされる心理的・文化的障壁にも言及する野心的な書である。


     なぜ忌避されるのか?。一番腑に落ちたのは、カニやエビと比べて昆虫表面の油分が多いこと(家庭内でのGが典型)、昆虫の食性が例えば腐葉土(カブトムシの幼虫)や木の樹液などおよそ人間が食さないものを対象にしているからかと思える。流石にGを生では食べれんだろうなぁと感じる所以。

     むしろ牛や豚等の如く育種・品種改良を施してこなかった昆虫であれば、人間の味覚に耐え、いや、より美味しくかつ健康食として改変を加えられたらどうなるか、に興味を覚える。
     この点、著者は将来像として指摘するが、具体的には未だ手付かずのよう。
     さらに驚くのは、火星や月面での長期滞在に昆虫食、特にカイコやハエ(廃棄物処理に有益。オムシスか)を検討している点だ。なるほどと思うが、なかなか偏見から逃れるのは難しい。

  • 新書文庫

  • 著者は幼少より昆虫食に親しみ,十年以上昆虫料理を研究してきたエキスパート。昆虫食の本来の意味を忘れないように,夜中に単身雑木林に入って虫を食べるという自己研鑽までしてるというから凄い。
    単なるゲテモノ食の紹介というのではなく,昆虫食の人類史,世界各地の昆虫食文化,昆虫の栄養学,食糧資源としての昆虫,昆虫食と食育など幅広く扱っていて,入門に最適。ひとまずイナゴの佃煮から始めてみようかな…という気にさせてくれる。将来食糧危機が来て,虫食いのスキルが生死を分けるようなことになるかもしれないし。

  • 冗談みたいな扉の昆虫料理の写真に興味津々。
    「うげー、こんな料理もあるの?!」
    というノリの話を予想していたのだが、中身はかなり真面目な話でちょっとびっくり。

    個人的には、あまり構えずに、「うげー」のノリで紹介していく方が世間は受け入れると思うんだけど、どうかなあ。
    ま、いろんな情報が詰まった良書でした。

  • 入門するつもりなかったのに、扉写真の迫力に圧倒されて、気がつけば借りてきて読み終わってしまった作品。
    扉写真の、虫寿司は圧巻です。特に蚕。

    人はなぜ昆虫を食べるのか、という根本的なところから、食育に役立つ昆虫食まで、この一冊を読めば昆虫食について大事なことが分かります。
    しかし、昆虫を食べる気がない人にとっては気持ち悪いだけの本ですw

    イナゴやザザ虫は知ってましたが、まさかカミキリムシとか蚕とか、あとカマキリの幼虫まで食べるとは思ってなかった。ガリガリガリクソンが蝉はピーナツバターの味と言っていましたが、やはりナッツの味がするそうです。
    しかし、このへんまでは食料危機に陥ったときなんとか食べられる部類ですが、やっぱりゴキブリはさ・・・チャバネじゃないにしても、クロゴキブリとかマダガスカルオオゴキブリは無理ですよ・・・。海老と同じムチン質だとしても。
    「普通の虫の味」というキーワードが頻繁に出てくるだけでも、自分の中の常識が色々おかしくなってしまう本です。

    一番衝撃だったのは、カマキリに寄生してる(カマキリのお尻を水につけるとうにゅーんと出てくるやつ)ハリガネムシを生でバリバリ食べちゃう人のくだりでしょうか。もうここまでくると意味が分からない。

    でも全体的に、「こんな世界もあるのか・・・」という新鮮な気持ちで読むことができました。カブトムシの幼虫は腐葉土の味でまずいらしいよ!

    この本を読んでいる最中、ポンデライオンの頭を持つムカデが出てくる夢にうなされました。

  • 私は「食べたい」側の人間です。

  • 狩猟採集として,グルメとして,エンターテイメントとして,科学として,人が昆虫食に惹かれる理由は大きく4つに分けられる.私はどこに当てはまるのだろうか.興味を持って,知識として本書に手を出したが
    ,正直に言えば,この本を読む前に一度昆虫食をきちんと経験すべきだった,知識によってハードルが少し高まってしまったように感じる.

  • 2013年6月18購入

  • 昆虫食界の本としては最近のもの。
    著者の内山さんは毎日昆虫食を実践して毎月試食会イベントも行なっている先駆者。
    味の体験談も実感がこもっていて面白い。

    この本は入門と銘打たれてるだけあって、昆虫食の歴史から現代の昆虫食分布まで丁寧に教えてくれる。
    ゴキブリが実は虫の中でもナチュラルにうまいというのは目からうろこ。
    実際に私が食べられるか想像してみたが何となく無理そうな気がする。

  •  スーパーの店頭に美味しいコウロギが売られていたら買うのかもしれないのだけど、そのように風味付けられたものを食べるの本当の意味での食の多様性だろうかと考えた。

     たとえばだけど現代人は牛・豚・鷄・魚などから動物性のタンパク質をとるのだけどほとんど同じ味付けのものが多い。

     これはわれわれが味覚というものに縛られている結果だと思う。

     本当の意味での食育とか、食の多様性とかいうものはまずくても食べるぐらいの気概がないとだめなのではないかしらと思う。

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著者プロフィール

1950年長野県生まれ。東京都日野市在住。昆虫料理研究家
昆虫料理研究家、昆虫料理研究会代表、NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長、NPO法人食用昆虫科学研究会理事。幼少から昆虫食に親しみ、1999年より本格的に研究活動に入る。どうすれば昆虫をよりおいしく食べられるか、味や食感、栄養をはじめ、あらゆる角度から食材としての可能性を追究する。2013年5月、国連食糧農業機関(FAO)昆虫食を推奨する報告書を発表して以降、世界中で昆虫食に注目が集まるなか、普及活動の輪を大きく広げている。
主な著書に、『楽しい昆虫料理』(ビジネス社)、『昆虫食入門』(平凡社新書)、共著に『人生が変わる! 特選 昆虫料理50』(山と渓谷社)、監修に『食べられる虫ハンドブック』(自由国民社)等がある。

「2022年 『めちゃうま!? 昆虫食事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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