新書704神社の起源と古代朝鮮 (平凡社新書 704)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582857047

感想・レビュー・書評

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  • 岡谷公二『神社の起源と古代朝鮮』平凡社新書、読了。神社は果たして日本固有の存在か? 本書は神社信仰の成立に古代朝鮮(新羅)の影響があるとして、日本各地から韓国まで歩いてその起源を探る試み。渡来人の神社は珍しくない。しかし日本文化の影響から神社化されたのではなくその逆だと著者は見る。

    神社信仰の原型を自然に対する畏敬と捉えれば、その原初的な姿は、三輪神社をはじめ済州島やかつての新羅(韓国慶州)に見い出すことができる。著者の探求の旅はその消息を明らかにする。神社信仰の形式は新羅系渡来人によって伝えられたと読み解く。

    著者の考察の真偽論よりも「起源」をめぐる「神話」創造が極めてアクチュアルなものとして立ち上がる。百済間新羅の政治性と発祥独自論は容易にねつ造へと傾くであろう。仏教正伝以前の新羅系弥勒信仰の原初的渡来など、本書の考察はスリリング。



    岡谷公二さん「神社の起源と古代朝鮮」:読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20140106-OYT8T00662.htm?from=tw 「社殿を造るといった『人工的なさかしらさ』を嫌い、清らかな森で神を迎えたり、森そのものを神体としたりする信仰が朝鮮半島に存在し、それが新羅系渡来人によって日本に広く伝えられた」のでは。

  • 『神社の起源と古代朝鮮』(岡谷公二)



    【版元の内容紹介】
    シリーズ・巻次 平凡社新書 704
    出版年月 2013/11
    ISBN 9784582857047
    Cコード・NDCコード 0239 NDC 382.2
    判型・ページ数 新書 248ページ
    在庫 品切れ・重版未定

     神社信仰の成り立ちには、渡来人の痕跡が拭いがたく刻まれている。近江から敦賀、出雲、三輪、韓国の慶州までを歩きながら、古代朝鮮半島に日本の原始神道の起源をたずねる。 日本固有のものとされてきた神社信仰だが、その起源においては、新羅・伽耶を出自とする渡来人の痕跡が拭い難く刻まれている。好評の前著『原始の神社をもとめて』に続き、日本海沿岸から韓国の慶州へと至る旅路のなかで、原始神道における始まりの謎に迫る。
     日本と古代朝鮮をつなぐ信仰の知られざる系譜。
    http://www.heibonsha.co.jp/book/b163652.html



    【目次】
    目次 [003-006]

    第一章 近江への旅 007
    白鬚神社へ/豪族三尾氏と継体天皇/鉄と渡来人/余呉の羽衣伝説/新羅の影/豪族息長氏の地にて/園城寺と新羅善神堂/天日槍の痕跡/神社信仰の成り立ち

    第二章 天日槍の問題 043
    渡来をめぐる問い/天日槍とは誰か/神宝から分かること/熊神籬の意味/出石神社/出石と鉄/韓国神社から気比神社まで

    第三章 敦賀という場所 077
    伊奢沙和気=天日槍説/常宮神社と産小屋/白木の村で/敦賀の重要性/信露貴彦神社と久豆彌神社/振媛の出自をめぐって/大湊神社と豪族三尾氏

    第四章 出雲と新羅 105
    出雲の特殊性/消された新羅の痕跡/韓国伊太 神社の問題/出雲の深層/刻まれたルーツ──古墳、出土品、地名/神社信仰の原点/巨大神殿建立の謎

    第五章 三輪信仰の謎 143
    祭神の問題/出雲と大和の関係/近年の仮説/なぜ異族の神が祀られたか/渡来人の足跡/鉄をもとめて/出雲人の東漸/穴師たちの巡行

    第六章 新羅から来た神──宇佐八幡をめぐって 177
    香春再訪/古宮八幡に導かれて/宇佐八幡の起源/辛嶋波豆米の記憶

    第七章 慶州の堂 201
    堂信仰の歴史/済州島にみる原初の面影/離島の条件が可能にしたもの/新羅に眠る神の森/慶州へ/堂山木を探して/古代の聖林/樹齢千年の欅/聖なる森の系譜──日本と朝鮮をつなぐもの

    あとがき(平成二十五年十月十日 岡谷公二) [233-234]
    参考文献 [235-245]

  • 滋賀・福井方面を訪ねていると、どうしても渡来人のことが気になります。謎の多い継体天皇や応神天皇のゆかりが深い地です。本書は、現地に足を運びながら書かれていて、「街道をゆく」風で、読みやすいものです。古代史の全容を知るためにも、避けず掘り下げて欲しいテーマです。

  •  日本の神社や韓国の歴史,地名(場所)などの〈前提となる知識〉がない私には,辞典やネット検索をしながらの読書となりました。
     そもそも,こういう本を手に取る人は,そういう前提知識があると思われているのでしょうが,そうじゃない人もいるので,もう少し丁寧に解説してほしかったです。
     ふりがながもっとたくさんほしいしね。
     それでも,日本独自と言われている(一般的に,思われている)神社が,元をたどれば新羅や伽耶ではないか,という指摘は,とても刺激的でした。
     記紀や風土記の記述も…難解ですが…十分,論拠を示してくれているようで,おもしろかったです。

  • たくさんの神社をめぐり、古代朝鮮との関係を探る本。

    この本にある通り、古代の朝鮮半島から渡来人を通していろいろな技術や文化も伝わってきたのは事実でしょう。ただし、伝わってきた神もあるでしょうし、もともと日本にあったものが元になった神もあると思います。それらの神を日本に合う形にして、これまで現在の神道として残してきたのは日本人です。

    もともと、バラバラの地域地域にあった氏神を統一していったのが今の形でしょうし、全部が全部朝鮮ゆかりというのは納得出来ないなあと思いました。

    (以上、ブログ全文です。)

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4601391.html

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著者プロフィール

岡谷公二(おかや・こうじ) 1929年生。東京大学文学部美学美術史学科卒業。跡見学園女子大学名誉教授。著書に『ピエル・ロティの館』(作品社)、『貴族院書記官長柳田国男』、『柳田国男の青春』(筑摩書房)、『島の精神誌』(思索社)、『神の森 森の神』(東京書籍)、『島』(白水社)、『南海漂泊』(河出書房新社)、『殺された詩人』、『南の精神誌』(新潮社)、『絵画のなかの熱帯』『柳田国男の恋』(平凡社)、『南海漂蕩』(冨山房インターナショナル、和辻哲郎文化賞)、『原始の神社を求めて』『神社の起源と古代朝鮮』(平凡社新書)訳書に、レリス、ドランジュ『黒人アフリカの美術』(新潮社)、レリス『幻のアフリカ』(平凡社ライブラリー)、ルーセル『アフリカの印象』、同『ロクス・ソルス』(平凡社ライブラリー)など多数。

「2016年 『島/南の精神誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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