経済危機はいつまで続くか: コロナ・ショックに揺れる世界と日本 (956;956) (平凡社新書 956)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582859560

作品紹介・あらすじ

コロナ禍によって落ち込んだ景気は、どれくらいのタイミングで回復するか、いや、より悪化するのか。考えうる様々な可能性を、過去の事例やデータを踏まえて予測・検討していく。

感想・レビュー・書評

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  • 2020年10月初版。敢えてやや古い「予測本」を読んでみた。
    ウクライナ危機という想定不可能な事象の発生により、本書の予測(例:円高進行)はあたってはいない。しかし、「通貨の信任云々」といった言葉で誤魔化さず、エビデンスベースで語られる予測は説得力があり「この人の今の見立てを知りたい」と思わせてくれた。
    「日本病」という新著が出ているようなので、読んでみることにする。

  • コロナ・ショックが、世界経済を揺るがしている。落ち込んだ景気は回復するのか。あるいは、しないのか。各種データを踏まえ、世界と日本の経済の今後を予測する書籍。

    コロナ・ショックは、アメリカ経済に「戦争級の衝撃」を与えた。
    金融経済では、市場関係者の恐怖感を示すVIX指数がリーマン・ショックの時を超えた。
    実物経済では、新規失業保険申請件数がリーマン・ショック時の10倍に膨らんだ。

    中国は、都市封鎖を行って新型コロナウイルスを封じ込め、いち早く経済を回復させた。これは、社会主義市場経済の強みといえる。
    しかし、コロナ・ショック以前から抱える過剰債務問題に加え、産業構造の変化による成長の停滞、急速に進む少子高齢化など、様々な課題を抱えている。

    EUでは、2020年7月、7,500億ユーロ規模のコロナ復興基金の創設が合意された。だが、その過程で、財政余力の異なる加盟国間で意見が対立した。こうした足並みの乱れが再発すれば、加盟国の脱退、さらにEU崩壊のリスクが高まるだろう。

    コロナ・ショックを経験したことで、今後、世界と日本の経済は、収益重視から安定・安全重視の方向にシフトするだろう。
    ・リスクを避け、企業は設備投資を控え、家計もお金を使わない。よって過剰貯蓄となり、経済の効率性や生産性が下がる。
    ・財政赤字は膨らむが、民間部門の資金余剰により資金需給は逼迫せず、財政リスクが高まることはないだろう。ただ、経済の回復時に他国より財政の改善が遅れると、財政リスクが生じる可能性はある。
    ・カネ余りで低金利の状況では、マネーは株式などのリスク資産市場に向かい、バブルが起きやすい。民間部門のリスク回避が、資産市場の価格変動を大きくする結果となる。

  • 経済はヒト、モノ、カネで動く。
    リーマンショック時はカネの流れが止まり、その後実体経済に波及。財政政策で乗り切ってた。
    今回のコロナショックは実体経済に直接影響、回復に時間を要す。
    アメリカはリーマンショック後、景気回復、今後その調整局面。FRBはジャンク債購入等、直接民間非金融に資金供給開始、リスク増。
    新興国は厳しい。衛生、医療、政治面でリスク。
    富が偏在し金余りの結果、金利は上がりにくい。
    日本はインバウンド消滅、オリンピック延期、円高(危機の際はドル需要高→米ドル供給増、為替は相対的な交換価値、日米金利差がなくなる)、人口減、リモートワークの普及に従い飲食、交通、不動産等が減、社会保障費増、デフレ圧力。
    コロナが収束しても経済はすぐには回復しない。
    家計、貯蓄超過、政府の足りない金よりある。→金利は低いまま。将来不安により貯蓄。資金受給の逼迫は発生しない。
    コロナでサプライチェーンの国内回帰で生産コスト増、インフレ?需給減によりデフレ?
    金融はバブル、金融緩和により市場に金が溢れ、低金利で投資対象減、株、不動産等に向かう。

  • 結論いつまで続くかはわからない。ただ産業構造は今までと違うスピードで変化する。

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著者プロフィール

早稲田大学理工学部工業経営学科卒、 東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。
第一生命保険に入社後、 日本経済研究センターに出向。 現在、第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 内閣府経済財政諮問会議有識者、 総務省消費統計研究会委員、 景気循環学会常務理事、 跡見学園女子大学非常勤講師。 2015年に景気循環学会中原奨励賞受賞。 著書は『給料が上がらないのは、円安のせいですか?通貨で読み解く経済の仕組み』(PHP研究所)、『日本病 なぜ給料と物価は安いままなのか』(講談社現代新書)ほか多数。 趣味は車と体を鍛えること。 一男(大4)一女(大1)の父(書籍発売時)

「2023年 『エコノミストの父が、子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話 増補・改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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