国衆: 戦国時代のもう一つの主役 (1003;1003) (平凡社新書 1003)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582860030

作品紹介・あらすじ

「国衆」概念を提唱した著者が、北条・武田・上杉らの動向を左右する真田などの事例や、徳川・毛利・長宗我部・竜造寺などのちに戦国大名となる事例から「国衆」を詳しく解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 戦国時代に誕生した、領国を独自に統治する領域国家、国衆。
    その存在の成立と戦国大名との関係、動向とその後について、
    詳細に解説する。
    はじめにー戦国を特徴付けた国衆という存在
    第一章 国衆とは何か     第二章 国衆の成立と構造
    第三章 北条家の「他国衆」  第四章 上杉謙信と国衆
    第五章 上野の横瀬・由良家  第六章 信濃・上野の真田家
    第七章 戦国大名になった国衆
    おわりにー戦国の終焉と国衆の行方
    主要参考文献有り。
    戦国大名の領域内部にいたのは、大名家の一族にあたる一門、
    家中構成員にあたる家臣。そして外様にあたる国衆の存在。
    乏しい史料からの研究と考察が主体で、
    難解な文章ではあるけれども、御家人や国人が所領を守るため、
    周囲と抗争を繰り返して所領を拡大し、領国を形成し、
    自立的な領域国家たる国衆へ成立していく過程は興味深い。
    一方、戦国大名は、領国統治や軍事・外交において、
    他者からの制約を受けない独立国家であった。
    国衆を政治的従属下におき、人質をとることもあるが、
    その主従関係は手厚く、恩賞として領国を付与したり、
    婚姻や養子縁組、偏諱の付与等を行ったりしている。
    国衆からすれば、自らの領国と家臣団の維持が大事で、
    戦国大名への従属と離反は表裏一体。
    大名の敗北や無理難題によっては、次々と離反し、
    大名が苦境に陥ることもあるからだ。
    横瀬・由良家、真田家の、状況を見極めての従属と離反を
    繰り返したり、領地を獲得したりして、戦国大名を翻弄する
    したたかさには、驚きの連続。
    どちらも明治維新まで残っているし。
    また、国衆から戦国大名化したのが四家だけというのも、意外。
    その後、羽柴政権による天下一統で、国衆の存在は
    消えてしまったが、「小名」として、大名家の重臣として、
    存在を残していったというのが、興味深かったです。
    なんといっても徳川家自体が国衆だったということのも。

  • 戦国大名領国の形成に重要な役割を果たした国衆と称される領域権力について、その定義と成立過程を示し、個別具体的な検討を通して理解を深められる内容。個人的には横瀬・由良家の事例が興味深かった。

  • 時代に関する背景知識がある程度あるので、国衆の捉え方や一円支配の実例が乗っていて理解がしっかり深まった。
    北条家を具体例にした取次との関係のあり方と、由良家と真田家を例にとった国衆として拡大していく過程が特に興味深い。


    個人のわがままで言うなら、上杉家とあったので越後の国衆に踏み込んでほしかった…けど勝手な期待なのと、資料面等で難しいんだろうとはそうぞうする。

  • 国衆というあり方について、その実情や成り立ちを実例を挙げて論じている。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  国衆とは何か
    第2章  国衆の成立と構造
    第3章  北条氏と「他国衆」
    第4章  上杉謙信と国衆
    第5章  上野の横瀬・由良家
    第6章  信濃・上野の真田家
    第7章  戦国大名になった国衆たち

    <内容>
    一般には戦国大名と位置付けられているだろう、一国までいかないが、多くに地域を直接統治し、近くの戦国大名に仕えている(軍役など課されている)存在を「国衆」と呼ぶ。その事例を第3章以降、丁寧にまとめた論文系の新書。戦国期は必ずしも文献の残りは良くなく、でも学者は地道にまとめているようだ。かつてのように、「一土豪」となっていた感じから、領主的な顔の多くを紹介されている。

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著者プロフィール

1965年、東京都に生まれる。1995年、駒沢大学大学院人文科学研究科博士後期課程満期退学。現在、駿河台大学法学部教授。著書に『中近世移行期の大名権力と村落』(校倉書房、2003年)、『戦国大名 政策・統治・戦争』(平凡社新書、2014年)、『百姓から見た戦国大名』(ちくま新書、2006年)など。

「2021年 『戦国「おんな家長」の群像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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