- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784584133354
感想・レビュー・書評
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東電からもらったのは被害だけだ!
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福島の原発事故についてそれぞれの思うところ。
当事者と非当事者の違いがくっきり見えてうんざりする。
当事者でも県(佐藤)、市(桜井)、市井(玄侑)では見えるものや対処したい部分が異なる。
出版されたのが半年時点だから仕方ないかもしれないけれど、焦燥と罪悪感からくる何かせねばという意気込みが空回りしている。
福島はまるで死刑反対派からも賛成派からも神輿にかつぐべく狙われる犯罪被害遺族のようだ。
あえて明るいものを見よう(見せよう)とする『できることをしよう。』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4103638028とは対極にある本。
全体的に犯人探しの色が漂う中で、現状をどうにかするためにもがく桜井勝延の誠実さにほっとする。
小出裕章
原子力の専門家からの原発反対論。
福島に限った話ではなく、原子力発電(とその運用)について。
言いたいことはわかるけれど例え話が比喩にふさわしくない。
持論にひきずられて無意識にゆがめているのか単純に話が下手なのかは微妙。
突っ込む隙を与えてしまう論理の弱さが目に付く。
西尾幹二
有事に備えない日本はバカだ、という保守派の言論。
失敗を前提にして備えるべきなのは当然だがこの人が話すのは原発のことじゃない。
福島を枕に「9条やめろ、軍を強化せよ」に終始する。
あまつさえ内部被曝を獅子身中の虫的な例え話に使う。
福島なんかどうでもよくて、持論を正当化するためにフクシマを都合よく使っているだけなのが腹立たしい。
全体的になにか脳内の敵と戦っているっぽい。
佐藤栄佐久
前福島県知事が訴え続けてきた東電と国の癒着。
やっと「福島県」をメインに考える言葉。立場は「県として」視点は「政治の目で」
内容は『知事抹殺』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4582824544プラス原発事故。
桜井勝延
南相馬市長の訴える窮状。
合併によってできた南相馬市は、ひとつの基準で測るには広すぎる。
現状に合わない一括の政策が市民の苦痛を増大させる。
どうにか「する」立場の当事者意識で、現状を認識してもらうために苦難を語る姿勢が真っ当。
自分の不安をやわらげるための犯人探しとは違う、理解を得るための言葉。
ひどい状態をさらしつつ、わずかでも希望を示してみせるのは、その場所の人としても政治に携わる人としても立派な態度だ。
恩田勝亘
長年原発を取材してきたジャーナリストの語る原発城下町。
過去や政治的な状況を整理して説明してくれるので、今まで知ろうとしてこなかった身にありがたい。
しかし古いタイプのノンフィクション作家にありがちな盛り上げ方が気に食わない。
ドラマチックにしなくても十分悲劇なんだから、津波映像にBGMをつけるような真似はしないでほしい。
星亮一
仙台生まれ福島住まいの歴史作家が描く福島の過去と現在。
「棄民」の歴史に今の避難を重ねて未来を憂う。
当事者の怒りや悲しみや切迫感を持つがゆえに、他人の話にも自分の感情を乗せてしまっているように思える。
自分の感情は自分のものとして表明すべきで、どんなに共感できても他人の話を自分のストーリーに書き換えてはいけない。
小説ではないのだから。
玄侑宗久
福島県の僧侶作家のブログを抜粋。
その時のその場所の下からの声。
だから全体としてみた時の解決案になるかどうかは微妙なんだけど、その場の普通の人から見える不安や怒りがしっかり書いてある。
聞かなきゃいけない声。
「○○だそうだ」という情報をどこで参照すればいいのか書いてないものが多い。 -
小出裕章、佐藤栄佐久、桜井勝延、玄侑宗久等といったそうそうたるメンバーによって書かれたエッセイ集。
現場で戦ってきた人たちの言葉は重い。
少なくとも今の東電や国のやり方でこのまま原発を続けるわけにはいかない、その思いを強く感じさせるそんな一冊です。
3.11から一年が経過し、あの日の経過が薄れて行く中ですが、ぜひ皆さんに読んでほしい一冊です。 -
小出さんの論評が秀逸だ.専門家だから,重要な点を的確に指摘している.化学を学んだ小生だが,反応で出てくる廃棄物をいかにうまく処理するかが,プロセス全体を評価する重要な観点だと思ってきたが,原子力屋さんたちはそのような常識がない輩だ.
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小出裕章氏、佐藤栄佐久 前福島県知事、桜井勝延 南相馬市長を始めとし7名の方により、原発、東電、経産省、国の問題点等が分かりやすく述べられています。
あれだけの事故を起こし、福島の人びとの生活をめちゃくちゃにしておきながら、何の反省もないと受け止められても仕方のない東電、経産省。改めて憤りが湧き出てきました。