ベルクソニズム (叢書・ウニベルシタス)

  • 法政大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588010637

作品紹介・あらすじ

哲学史家ドゥルーズの初期代表作。直観や持続、記憶の理論を精査し、差異と多様体の概念を創造することでその後のベルクソン解釈を完全に塗り替えるとともに、ドゥルーズ自身の哲学をも決定づけた古典。潜在性と現勢性とはいかなる関係にあり、持続の一元論とは何を意味するのか? 長く親しまれた『ベルクソンの哲学』(宇波彰氏訳)から40年以上を経て、近年の研究動向を取り入れた新訳刊行!

感想・レビュー・書評

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  • この本の構成はいたってシンプルである。「直感」という方法論にかかわる第一章のあとに、『意識に直接与えられたものについての試論』、『物質と記憶』、『持続と同時性』、『創造的進化』という、いわば編年体に従った書物の記述がなされるからである。いささか目をひくのは、通常ベルクソンの四大主著としてカウントされている『道徳と宗教の二源泉』が一つの章をなさず、『創造的進化』の議論の展開系として描かれているだけであること、そして普通は中心的著作とみなされない『持続と同時性』に、一章が割かれていることである。それは、時間の多様性をめぐるアインシュタインとの対決が、ベルクソン的な存在論をすくいとるために決定的なものと、ドゥルーズにおもえたからにほかならないだろう。他方、生命論の倫理学的・社会学的適用にもみえる『二源泉』は、一種の応用編であるがゆえに、中心テーマからはずされたともいえる。この措置が正当かどうかは意見が分かれるところであろうが、しかしながら『二源泉』はきわめて生物主義的に展開された人間社会の議論にみえ、この構成にさほどの違和感があるわけではない。

  • かつて宇波彰が1974年に訳した『ベルクソンの哲学』の新訳。新訳書名は、より原題に即した形となった。
    新訳について言えば、ドゥルーズやベルクソンの進展した研究成果をもとに、適切な訳語選択、そして文意簡明かつ明瞭な訳出がなされている。また、ベルクソンとドゥルーズ双方で著作を出している檜垣氏による「訳者解説」もよい。2人の哲学者の事情や著述を照合させながら論を進めている。この解説、単なる要約ではなく問題提起的にドゥルーズ(そしてベルクソン)の論点をすくいあげているのが特徴だろう。解釈が割れそうな点も、訳者自身の見解を注意深く、的確に添えている。既訳を持つ人も、是非購入しておくべきであろう一冊。

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