シティズンシップ教育論: 政治哲学と市民 (サピエンティア)

  • 法政大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588603204

作品紹介・あらすじ

2002年以降、イギリスの学校では「シティズンシップ教育」が必修となった。政治に参加し政府を監視する、能動的で責任ある市民の育成を目的としている。本書の著者クリックは、ブレア政権が設置した諮問委員会の委員長を務め、この政策に多大な影響を与えた政治哲学者である。政治家や官僚に任せきりにせず、いまこそ民主主義を取り戻すために必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • イギリスでシティズンシップ教育を作り上げた政治学者による本。普段はアメリカの研究者の本を読むことが多いが、アメリカとは違う、イギリスの価値観と空気を感じられて楽しい。他国を意識しながらアイデンティティを構築してきた古くからのグローバル国家、宗教迄も自らに取り込む強い王権の気配がある。教育は社会の価値観と密接に関係しているから、海外の研究を学ぶ上ではその国そのものを把握している必要があると思う。日本はアメリカやフランスに比べればイギリスにより近い要素を持っているので、イギリスでの取り組みは参考になる。
    実践に関する内容ではなく、どのような教育が必要かという理念が説明されている。
    書かれている内容はとても素晴らしい。問題は、これを理解できる大人がどれほどいるか、理解できたとして、実際に行動できる大人がどれほどいるか、行動できた大人がいたとして、それが実効的な教育になるのはどれほど困難かということにある。理念と実践の間には長い距離がある。現在日本でも科目「市民科」を設置する自治体があるが、実態がどのようなものなのかについて思いを馳せる。
    市民の政治的無関心化、ワンフレーズポリティクスなど基本的な政治参加の課題についてもすっきりとまとめられており、理解しやすい。

  • 論文集で、案外読みにくくて使いにくい印象。

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著者プロフィール

英国の政治学者:シェフィールド大学教授を経て,ロンドン大学名誉教授。ブレア政権時に,シティズンシップ教育に関する諮問委員会の委員長を務めた。この諮問委員会の報告書「シティズンシップのための教育と学校で民主主義を学ぶために」は,通称クリック・レポートと呼ばれている。邦訳に,『現代政治学の系譜-アメリカの政治科学』(時潮社),『デモクラシー』(岩波書店),『ジョージ・オーウェル-ひとつの生き方』(岩波書店)などがある。

「2012年 『社会を変える教育 Citizenship Education』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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