- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784589037886
作品紹介・あらすじ
賛否が分かれる15の論争的な問いを検討しつつ,法哲学の基礎的な概念や考え方がどのように役立つかを知る「いきなり実戦」型の入門書。自由/平等/法と国家の3部構成で,どの問いからでも読み始めることができる。
◎ 2016年10月16日の朝日新聞「文化の扉」欄で本書が紹介されました。また,2018年5月6日にも同じく朝日新聞で関連記事が掲載されました(「女性専用車両は男性差別か?」)。
◎ 大学入試対策用教材としても数多く活用されています。
◎ 法学部のみにとどまらず,広く文系一般の大学1~2年次生の基礎ゼミ用教材として最適です。
【目 次】
はじめに
[第Ⅰ部 自 由]
01 ドーピングは禁止すべきか? 〔米村幸太郎〕
02 自分の臓器を売ることは許されるべきか? 〔鈴木慎太郎〕
03 犯罪者を薬物で改善してよいか? 〔若松良樹〕
04 ダフ屋を規制すべきか? 〔登尾章〕
05 チンパンジーは監禁されない権利を持つか? 〔野崎亜紀子〕
[第Ⅱ部 平 等]
06 女性専用車両は男性差別か? 〔松尾陽〕
07 同性間の婚姻を法的に認めるべきか? 〔土井崇弘〕
08 相続制度は廃止すべきか? 〔森村進〕
09 児童手当は独身者差別か? 〔瀧川裕英〕
10 年金は世代間の助け合いであるべきか? 〔吉良貴之〕
[第Ⅲ部 法と国家]
11 裁判員制度は廃止すべきか? 〔関良徳〕
12 女性議席を設けるべきか? 〔石山文彦〕
13 悪法に従う義務はあるか? 〔横濱竜也〕
14 国家は廃止すべきか? 〔住吉雅美〕
15 国際社会に法は存在するか? 〔郭舜〕
索 引
感想・レビュー・書評
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世の中には様々な法(法律)があります。
それらの成立の背景にある事象や問いを適切に捉え、それらを丁寧に扱い、応えて(答えて)いくことで法が成立しているかどうかを考える行為(学問)が「法哲学」なのだと理解しました。
恥ずかしながら、これまで、法哲学という学問を知りませんでしたし、法というものは、理性的で合理的、合目的的な成り立ちをもつもの、と勝手に思っていましたが、案外そうではないようです。
現行の法は、まだまだ進化の途中であることを理解できたこと、また、進化のために押えるべきこと、問うべきこと、考えるべきことを、法哲学に触れることで知ることができたのは、大きな収穫だと思います。
ただ、この本に関して言えば、章ごとに著者が異なることもあり、クセの強い著者や、論理が強引と思われる著者もいるので、章によって内容の質にバラツキがあるように思いました。
が、扱われている題材としては、どの章も興味深いものであると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
法哲学へのとっかかりとして非常に良い本。
身近な問題をもとに、基本的な考え方を示しながら、あなたはどう考えますか?と問いかけてくれる。
頭を酷使できる。 -
法哲学入門にちょうどいい。身近な例から法哲学的な議論に発展させている。
例えば「ドーピングは禁止すべき」という規制。当たり前のことだと思っていたが、いざ説明してみると結構難しい。論理的に説明するとき、法哲学の知識があると物事を整理して説明することができる。
日常的なレベルから、政治や社会問題のような込み入ったマターまで役に立つので、こういった考え方は大切にしたい。 -
いただきもの。これは良書。現在は世界精神が法哲学に宿っていることをよく示している。倫理学を研究する者もこの本と『法哲学』(2014)は目を通しておくべきだろう。しかし、Philosophers of Law Ask Youという英語のタイトルは何か変な気がする…
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瀧川裕英編 『問いかける法哲学』
【版元の紹介文】
判型 A5判
頁数 288頁
発行年月 2016年9月
定価 本体2,500円+税
ISBN 978-4-589-03788-6
ジャンル 法哲学・法社会学・法制史
賛否が分かれる15の論争的な問いを検討しつつ、法哲学の基礎的な概念や考え方がどのように役立つかを知る「いきなり実戦」型の入門書。自由/平等/法と国家の3部構成で、どの問いからでも読み始めることができる。
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【簡易目次】
第1部 自由
ドーピングは禁止すべきか?
自分の臓器を売ることは許されるべきか?
犯罪者を薬物で改善してよいか?
ダフ屋を規制すべきか?
チンパンジーは監禁されない権利を持つか?
第2部 平等
女性専用車両は男性差別か?
同性間の婚姻を法的に認めるべきか?
相続制度は廃止すべきか?
児童手当は独身者差別か?
年金は世代間の助け合いであるべきか?
第3部 法と国家
裁判員制度は廃止すべきか?
女性議席を設けるべきか?
悪法に従う義務はあるか?
国家は廃止すべきか?
国際社会に法は存在するか?
【目次】(執筆者の横濱竜也氏のブログから<http://risinguptothesurface.hatenablog.com/entry/2016/09/22/124224>から転載。)
はじめに
第Ⅰ部 自由
01 ドーピングは禁止すべきか?――米村幸太郎(横浜国立大学)
1 ドーピングをめぐる現状
2 パターナリズムとフェアプレイ
3 スポーツの目的からの議論、そして国家の役割についての問題
4 私はこう考える
02 自分の臓器を売ることは許されるべきか?――鈴木慎太郎(愛知学院大学)
1 はじめに:そして魔神現る
2 なぜ移植患者のために臓器を提供しなくてよいのか
3 所有権があることの意義
4 自己所有権は正当化できるか
5 臓器売買を考える
6 自己所有権の限界を考える
7 むすびに:魔神からの問いかけ
03 犯罪者を薬物で改善してよいか?――若松良樹(学習院大学)
1 はじめに
2 刑罰の条件
3 自由刑
4 化学的去勢
5 おわりに
04 ダフ屋を規制すべきか?――登尾章(國學院大學兼任講師)
1 「ダフ屋を規制する」とはどういうことか?
2 なぜダフ屋を規制すべきなのか?
3 なぜダフ屋を規制すべきではないのか?
4 可謬主義的市場論とは何か?
05 チンパンジーは監禁されない権利を持つか?――野崎亜紀子(京都薬科大学)
1 はじめに
2 2つの視角:認識能力と法的権利の付与
3 動物の権利と動物の福祉
4 動物保護の法制度
5 再びチンパンジーへの法的権利の付与問題を考える
6 おわりに:チンパンジーは監禁されない権利を持つか?
第Ⅱ部 平等
06 女性専用車両は男性差別か?――松尾陽(名古屋大学)
1 はじめに
2 法律家の語り方:差別を語る前に
3 差別はなぜ許されるのか/許されないのか?
4 女性専用車両(男性排除車両)は男性差別か?
5 結びに代えて
07 同性間の婚姻を法的に認めるべきか?――土井崇弘(中京大学)
1 はじめに
2 単純な対立図式とその限界
3 婚姻とは何か?
4 国家が婚姻について法的に制度化するのはなぜか?
5 国家による婚姻の法的制度化はそもそも必要か?
6 「婚姻の私事化」の主張は魅力的・説得的か?
7 おわりに
08 相続制度は廃止すべきか?――森村進(一橋大学)
1 はじめに
2 相続制度の存在理由
3 平等主義による相続制度廃止論
4 権利の性質による相続制度廃止論
09 児童手当は独身者差別か?――瀧川裕英(立教大学)
1 2つの子ども問題
2 児童手当
3 善に対する正義の優位
4 児童手当は中立的か?
5 発展的問題
10 年金は世代間の助け合いであるべきか?――吉良貴之(宇都宮共和大学)
1 はじめに
2 世代間正義のための公的年金
3 福利の時間的範囲
4 まとめ
第Ⅲ部 法と国家
11 裁判員制度は廃止すべきか?――関良徳(信州大学)
1 裁判員制度をめぐる問題状況
2 裁判員制度を考えるために:法哲学からの視点
3 裁判員制度を廃止すべきか
4 裁判員制度を廃止すべきではない
5 裁判員制度は改革されなければならない
12 女性議席を設けるべきか?――石山文彦(中央大学)
1 はじめに
2 日本における女性の過小代表と諸外国の多様なクォータ制
3 女性の過小代表と議会の正統性
4 女性の過小代表と議会の判断の歪み
5 ポジティブ・アクションとしてのクォータ制
6 おわりに
13 悪法に従う義務はあるか?――横濱竜也(静岡大学)
1 はじめに
2 悪法は法ではない:自然法論の「悪法」論
3 悪法も法だが、従うべきではない:法実証主義の悪法論
4 悪法にも従うべきである:遵法義務の根拠
5 悪法への不服従をどう考えるべきか?
14 国家は廃止すべきか?――住吉雅美(青山学院大学)
1 「国家は要らない」と言いたくなるとき
2 国家不要論に関連する法哲学上の諸論点
3 自由は秩序を生み出すのか?
4 国家は要るのか、要らないのか?
15 国際社会に法は存在するか?――郭舜(北海道大学)
1 なぜこの問いか
2 問いの意味
3 制裁への着目
4 内的視点
5 国内法は法の典型例か
6 価値負荷性
7 結論
索引
執筆者紹介