車のいろは空のいろ 白いぼうし

  • ポプラ社
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本棚登録 : 637
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591064429

感想・レビュー・書評

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  • 学期初めの掲載で、本の紹介まで依頼されることがなかったのだが、4年光村「白いぼうし」並行読書に加え依頼あり、再読。ひさしぶりに読むと、話によっては読書感想画にも向いているなぁと感じた。
    以下ネタバレあり

    ◆小さなお客さん
    パンク修理している松井さん、うまくいかないのに、なぜか小さな男の子二人きて、無事終了。お礼に乗せてあげると(すごく喜ぶ二人)、次のお客さんにシート汚れてるといわれ、金色のキツネの毛を発見。
    ◆うんのいい話
    金いろのすじが一本ついたピカピカひかる魚を釣った客を乗せた松井さん、車が闇に包まれてくると沢山の魚に囲まれ、かえせかえせ…。あたりが収まったあと、客と二人震える手で火をつけ、タバコを吸うのでした。タバコを吸う場面がとても多いのに、時代を感じたのと、杉みき子の「月夜のバス」を思い出した。
    ◆白いぼうし
    これは、レモンのにおいですか?
    いいえ、夏みかんですよ。
    関係のなさそうな夏みかんが帽子の中に入って帽子の持ち主の男の子をビックリさせ、モンシロチョウが客として乗ってくる(と思わせる)話はやはり画的にも春の国語に相応しく、面白かった。
    ◆すずかけ通り三丁目
    戦争中大空襲の中、3歳のむすこを抱っことおんぶで逃げたけど最後死んでいることを知った母がタクシーにのり、よく知っている白菊会館のそばの、すずかけ通りに行く(ないはずの通り)。二十二年まえのきょうなのです。おかげでかえることができました。たくさんの人にまぎれて見えなくなったおばあさんを千円にお釣りを返したくて、なにか言いたくて追いかける松井さん。
    ◆山ねこ、おことわり
    客の案内でグルグル回って林を走るとお客さんは山ねこになっていました。松井さんはおりてくださいよ、と言いますが山ねこおことわりとは書いてなかったでしょう?と降りません。しかも、医者で病気の母を診に来たというのです。送ることにした松井さん、しばらく待って大学病院に戻りました。代金と一緒に山ねこおことわりと書いてある読めない紙をもらいましたが、松井さんはまた、いつでもどうぞと言いました。
    ◆シャボン玉の森
    道路でシャボン玉を吹いていた女の子を抱いて退かしたとき、シャボン水のコップが落ちました。泣いた女の子に困っていると松井さんはどんどん小さくなってしまいます。笑い声したのでふりむくと、シャボン水の消えたところに小指位の男の子がぷくっと立っています。ナンバープレートも恐ろしく大きくなってしまい、今度は松井さんが泣きました。そしたら大きくなれました。女の子は泣いている松井さんを見て泣き虫ねぇと笑いました。そして、地面からシャボン玉がたくさんでてきました。一番上の金いろの玉に男の子が見えました。慌てて車に飛び乗り曲がる前にふりむくと、まるで七色のシャボン玉の森がうきあがっていくようです。
    ◆くましんし
    忘れ物のバックを届けに熊野熊吉さんのお家に行くと、わざと忘れたと言われる。なぜなら、松井さんがバックミラーでクマに気づいたから。くましんしはこたたん山から下りてきたのです。372匹になって、滅びるばかりだと。人の姿になり、汽車に乗り、子どもも大きくなりました(上は大学、下は高校)。ウイスキーを飲みながらの打ち明け話に松井さんがぼんやり考えていると、また、ドアの前で財布を持って立っていました。
    ◆ほん日は雪天(ゆきてん)なり
    雪の中お客さんを乗せていると、お客は公園でお金を払わずに降りてすたすたと行ってしまいます。松井さんが追いかけて行くとなんと何十というキツネが輪を作って歌っていました。さあさあしっぽをだしなさい♪キツネコンクールが始まります。みんな一部キツネです。おじちゃんのばんよ、しっかりといわれいつのまにやらステージの上に。わたしはばけておりません、わたしはにんげんのまついです。
    優勝した松井さんは商品の油揚げを断り、料金を回収し、雪でお客のない日に、公園の周りをみんなに本物のお金で1425回乗ってもらいました。

  • 「これは、レモンのにおいですか?」
    「いいえ、夏みかんですよ。」

    教科書にのっていた、こんな会話から始まる物語。図書館で見つけて、懐かしくて、手にとってしまいました。

    あの頃は、この物語を読んでもふ〜ん…って感想しか持てなかったような記憶があります。
    今読むと、こんなに温かくて素敵な物語だったのか…とびっくり。

    空いろのタクシーに乗ってくる色々なお客さん。
    楽しい物語、ちょっぴりドキッとする物語、戦争の傷あとを描いた切ない物語など、色々な味わいのある一冊でした。

    「よかったね。」
    「よかったよ。」
    「よかったね。」
    「よかったよ。」

  • 運転手の松井五郎さんが出逢った、不思議なお客さんとのストーリー。続きが気になる終わり方に少しの怖さと気味の悪さを残しながら、こんな出逢いあったら楽しいだろうなと思わせてくれる一冊です。

  • 松井さんは…。続きが読みたい。

  • 子どもの頃に教科書で読んだ「白い帽子」は、夏みかんを見ると、今でも思い出すお話。
    レモンじゃなくて夏みかんなのがいい。
    水色とオレンジ色と白の爽やかな色彩が頭の中に広がる。

  • あまんきみこさんの作品は、いつも心が温まる。
    タクシー運転手の松井さんは、職業柄いろんな人や動物と出会います。
    それぞれのエピソードに、松井さんの人柄が出ていて、安心できる童話です。

  • 日常の溶け込んだかわいらしい童話がつまっています。

  • ふと、「いいえ、夏みかんですよ。」と答える、松井さんのタクシーを思い出し、図書館から借りて読み直しました。
    こんな話だったんだなあと思い直して読んでみて、古い時代を感じさせるけど、全く色あせない作品だなあと感じました。
    初めて、他の短編作品も読んでみたのですが、どれも、大人になったら見えないモノが描かれていて、ちょっと不思議でほのぼのとした気分になれる、そんな作品集でした。もちろん子供向けだけど、大人になってから、ぱらぱらとめくっても良い作品だと思います。

  • しゅ人公は空いろのタクシーのうんてん手の松井さんです。いろんな動物のおきゃくさんが人間にばけてのってきます。ちょっとふしぎで、でもおもしろい本です。

  • 2008/4/5

著者プロフィール

1931年生まれ。児童文学作家。1968年にデビュー作品集『車のいろは空のいろ』が日本児童文学者協会新人賞および野間児童文芸推奨作品賞を受賞。以降、いくつもの文学賞を受け、多くの作品が小学国語の教科書に掲載されている。2001年に紫綬褒章受章。京都在住。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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