- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591087329
作品紹介・あらすじ
8月6日、いつもの朝だったはずなのに今までになかった爆弾によってその未来を断たれた広島二中生徒全員のその悲惨な記録。日本にも戦争の時代があって、こんな悲しい出来事がありました。広島の悲劇を二度とくりかえすことのないよう、原水爆兵器をみんななくしたい、そして平和というものがどんなに大切なことかを、いつも考えたいのです。
感想・レビュー・書評
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壮絶なタイトルにして、これがノンフィクションという衝撃。市民に対する無差別殺戮である原爆のリアルを見せてくれる。
ただ、平易な文章、ルビ、大きな文字であるものの、リアルな記録であるゆえに小説のような読みやすい物語りではない。内容の重さもさることながら、大量の人物の各々の記録を丁寧に描写しているため、読了までには相当な体力を要する。若年者向けの体裁ではあるが、若年者に渡しても読み切れるかどうか。個人的には同じカテゴリーであれば若年者には「さがしています」(アーサー・ビナード)という写真集(絵本)がまずはお薦め。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
広島での原爆投下では、少なくとも14万人が亡くなった。そのうちの、13-14歳の子どもたち321人が、どのように亡くなっていったかの記録。
こうして記録されているだけでも、恵まれている方だと言うしかない大惨事だった。
人間が人間に対して、このような行いができるなら、一体どうやって人間が生きていくことへの価値を信じたらいいだろう。 -
一瞬のうちに子どもたちの命が奪われ、その多くは遺体や遺品すら見つからないという惨事。日本に戦争のない今が、どれだけありがたいかと改めて思う。後世にこの平和を繋ぐ気持ちもきっと大切。
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今朝も裏山でセミが競うように鳴いています。
でも、あの日の8時15分まで鳴いていたセミも
突然の惨事で一瞬にして、その姿を消したのではないでしょうか?
ここに一冊の本があります。
「いしぶみ 広島ニ中一年生 全滅の記録」(広島テレビ放送 編)
この本は昭和44年広島テレビが制作した「碑(いしぶみ)」
という番組をもとにして書かれたものです。
このテレビ番組は企画・薄田純一郎、構成・松山善三、演出・杉原萠、撮影・竹村峰信、
そして広島出身の文学座の女優杉村春子の語りという構成で日本全国に放送されました。
芸術祭優秀賞など国内外から数多くの賞をいただきました。
私が広島テレビに入社して間もない頃、この16ミリのフィルムの上映会に臨みました。
40年以上も前のことです。記憶が不確かですが、
杉村春子さんが朗読なさっている姿に
何枚もの写真が舞い降りてきたシーンだけが何故か記憶にあります。
そして、気の弱い私は、全編しっかりと目を凝らして観るという気には
とうていなれませんでした。
この本には60分というテレビ番組では紹介しきれなかった
広島ニ中一年生321人の消息が調べられる限り調べ、それが記されています。
しかしながら、321人のうち調べることができたのは、226名だったそうです。
つまり、95人の生徒とその家族は全員犠牲になったのではないかと
薄田氏は想像されています。
広島ニ中は現在の観音高校にあたり、
当時空襲の少なかった広島ニ中へは全国からも優秀な生徒が来ていたようです。
そして、この日は清掃作業のため、8時10分に今の平和公園にある
元広島市公会堂があった辺りに、1年生321人と4人の先生が集合しました。
その本の中を抜粋させていただきます。
【 三学級のMくんのように、原子爆弾が落ちてくるのを、はっきりと見たものもいました。「先頭のB29から、まっ黒なドラムかんのおうなものが落ちてすぐに、ほかの飛行機からパラシュートがついたものが、三つ落ちてきた」…
一瞬、直径が百メートル、表面温度が九千度もある太陽のような火の玉ができ、そこからオレンジ色の閃光と熱線、そのあとを強い爆風が追いかけました。わずか五百メートルの間近にいた広島ニ中の一年生は、閃光に目を焼かれ、服は燃えだし、そして小さなからだは地面にたたきつけられ、十メートルも吹き飛ばされたのでした。…
広島ニ中の一年生、321人のうち、この一瞬を生きのびたものが何人だったのか、知るすべはありませんが、ご遺族からいただいた手紙を拝見しますと、三分の一の生徒が、原子爆弾が爆発した一瞬に亡くなったと思われます。…
二学級のWくんはお父さんが、新大橋の東づめについたのは、午前一時半、夜半ちかい時刻でした。「名前を呼ぶと『お父ちゃん』と、わが子とは思えないやけどにくずれた顔で返事しました。お父ちゃんはきっときてくれると信じていた、といいました。
自転車の荷台に乗せて、十六キロの夜道を安佐郡可部町まで帰りました。そして、翌日の午後12時半死んだのです。」…
Fくんのように、遺品もないばあいがおおいのです。Fくんのお母さんは、いまも毎月6日には、本川土手の慰霊碑におまいりして、冥福を祈っておられます。 】
以上、私が勝手に本の中から抜粋させていただきました。
ご氏名も私が勝手にアルファベットにかえさせていただきました。
皆様にはぜひ一度でもいいから、手にして読んでいただきたいと思っております。
本のタイトルの碑(いしぶみ)とはあの硬い石に刻んでまでも、
後世に伝えたいことを書きしるされた石碑のことです。
実はこの本、これまで2,3度読んでいるのですが、
一気に読みおおせた試しがありません。
やさしい言葉で書かれ、これぐらいの文量なら、普通の本ではさっと読み終えるのですが、
どうしても途中でつかえ、気持ちをあらたにして読み続けなくてはなりません。
たまらないのです
最近良く使われる言葉に、「言葉にならないー」という文言がありますが、
この生徒たちの多くは言葉にしょうと思う一瞬(とき)すらないまま亡くなっていったのです。
この著者の薄田純一郎氏も広島ニ中の出身で、
この時大竹の軍需工場で働いておられたようです。
そして、広島テレビの報道部長をされていた頃、私がそこに配属されたという次第です。
私の父と先輩のお父上が同じ郷土史を研究し、友人だったということもあって、
特に私には何かと厳しく指導されたという思い出があります。 -
決して忘れてはいけない8月6日
広島放送の番組が元になってつくられた本です
広島二中一年生のあの日が
知りうる限り淡々と綴られています
あの日で断ち切られた生を
語り継いでいくことが
生きている私たちができること
つづられて -
泣かされました。涙を流す、というよりはもはや号泣。嗚咽をかみ殺す感じです。
副題が全滅の記録です。全滅、です。
それでもおかあちゃん、天皇陛下万歳、軍歌を歌って亡くなられた彼らの事を思うと胸が、息が苦しいです。
戦争なんて二度と起こしちゃあいけない。
戦争を美化することなんて決してしてはいけない。
私は自分も自分にかかわる人、そして全ての人、この世界に生きる全ての人が戦争なんて体験をしなければ良いと思って、願います。
この本が読書感想文指定図書なのは良いことだと思います。是非。
痛いけど読んで欲しい。 -
原爆と知らずに死にゆきて
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嗚呼、