子どもに本を買ってあげる前に読む本

著者 :
  • ポプラ社
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本棚登録 : 209
感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591107188

感想・レビュー・書評

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  • 口語体で非常に読みやすい一冊。
    児童書の歴史や作者流の本の分類、子ども達の嗜好の変化等着眼点が面白く、2024年現在も楽しく読めた。
    特にゲド戦記VSハリポタ論には納得。
    リアル系がハマる空想系の本ーーー乱歩、ズッコケ、パスワードは物の見事に自分もハマった過去を思い出した。

    昔の本の書体や口語体、時代背景によって読めなくなるものがある、というのは身に染みてわかる…。自分自身も億劫になったことがあるからだ。
    また、冒頭で作者が述べていた通り、本は人に勧められたり読めと言われたものほど嫌煙されるものである。結局のところ、自分が興味を持って手に取らないと頭に入ってこないのだから読む意味が無い。その上で、将来子どもに本を読んで欲しいと思うなら本を読みたいと思う環境を作る他ないのだろう。

  • 親しみやすい文章ですいすい読めました。
    そっかーーー昔の本ってなんで読みにくいと感じるのかと思ったら印刷が変わったこととフォントが違うからだったのか。納得。

    大人になってからはあまり気づかなかったけれど、今の児童文学の転換期は1998年だったこと、今の小学2年は2010年以前の話は昔話なこと、今の中学生にとって「スター・ウォーズ」は古典だということ、なるほどなー。

    このまま大人頭で本をすすめるのは逆に本嫌いにさせてしまうかも。確かにこの本で今どきの子どもの感覚を知っておくほうがいいでしょうね。

    そうだ、たまには子どもたちを図書館じゃなくて本屋さんに連れて行こう。新しい本がたくさんのところから本を選ばせることもぜひさせておきたいな。

  • 今まで、こどもに本を薦める(強制する)大人がどうも好きになれなかったけど、この本で赤木さんは本当に
    子どもを第一に考えて活動しているなぁって感じた。

    子どものこと考えてたら、そんな本を押し付けたりできないもんね。
    古典(今は、あたしが小さいころ読んでた絵本とかも古典に入りかけてる)を読め読めといわれても、拒否反応をおこしちゃうっていうのがよくわかったなぁ。

    空想系の本に関しては、子どもたちの流行とか心情とかをよく感じて選ばなければならないかも。そして、子どもたちの判断で手にとるかとらないかは判断させなければ。(その判断をつけさせるのも司書の仕事。てか技?)
    そして、大人がよく選んであげるべきなのは事実を書いたリアル系の本かも。今、調べ学習とか盛んだけど、それに使うのに値する資料を、でも子どもにもわかるような資料を選んであげないと、子どもはすぐ嘘を見抜くから。

    これから児童サービス(YAサービス)を提供していく上で、考えるポイントになった。
    あと、児童書こそ新刊チェックはかかせないんだな!

  • 選書の参考にしようと読んでから、すでに半年がたってしまいました。
    この <i>とんでもない</i> 本をどうやって紹介しようか
    思いめぐらしているうちに、機会を逸してしまったのです。


      「なんで昔面白かった本が、今は面白くないんですか?」

    という問いへの答えとしてできあがった本です。

    自分の子ども時代に読んだ“いい本”をいまの子どもにおしつける
    無理解、無神経なおとなにたいする異議申し立てとして、
    現代の子どもの本の状況を読み解きつつ、子どもたちが
    しあわせに本が読めるようになるアドバイスをしてくれます。

    その大胆な指摘にはっとされられ、またすんなり納得させられ、
    刺激的な“かんこ節”にすっかりあてられてしまいました。


    たとえば、むかしの本が読めなくなるおもな理由として、

      ・内容が古くなる
      ・コトバが古くなる

    にくわえて、

      ・ビジュアルが古くなる

    をあげていて、これが最も大きな変化だといいます。

    90年代に実用化されたコンピュータによって、
    それまでの活版印刷が写植印刷にとってかわられました。

    これにより書体・デザインが一変し、イラストやサイズもふくめた
    ビジュアルの古い本が読めなくなってしまったというのです。

    たしかに、同じ古典であっても“新装版”として出版されたものと
    以前のものとをならべてみれば、組版の違いは一目瞭然です。

    書棚にねむっている若いころに読んだ本を開いたときの
    違和感の根が、ようやくはっきりとわかりました。


    ほかにも、ハリー・ポッターは年齢としては13歳に
    設定されているけれど精神的には7歳くらいで、
    成長をテーマとしないファンタジーという新しい手法を
    生み出した...とか、

    少年探偵団、ズッコケ三人組、パスワードを「あまり本の
    好きじゃない男の子たち」が一時期はまって大量に読むのは、
    情景描写なし、心理描写なし、人物描写なしだから...とか、

    なぜだろうと思っていたことの謎がどんどんとけていきます。


    ズッコケやパスワードを読むおもしろさを子どもたちに伝えたくて
    教室や校長室にずらっと本をならべてすすめてきましたが、
    こういう“軽い本”でいいのだろうかといううしろめたさも
    どこかしら感じていました。

    しかし、かん子さんは言います。

       そのテの本を非難する人の理由は、
       「人間が描けてない!」
       からだったりするわけですが、
       当たり前だよ。
       だって、はじめからそんなこと、やる気がないんだもの。
       それは全然別のジャンルのものなんですから、
       そういう非難はお門違いです。

       ただ、子どもの本の悲劇は、大人なら、好みが違うんでしょ、
       で片づけられるところを
       “こういう本を子どもが読んではいけない”にすり替えられて
       しまうことです。
       ただ単に、趣味が違うだけなのに──。


    オーナーの趣味であつめた本を、

      「ぼくはおもしろかったけど、あなたがおもしろいかどうかは
       わからない。それでもよければ貸してあげる。読んでごらん」

    といって子どもたちに本を貸し出している“ひげうさぎ文庫”の
    コンセプトに自信がつきました。

    だって、趣味が違うだけなんだから!


    ところで、選書の参考に読んだという点で最大の収穫だったのは、
    つぎの一文です。

       いま、小学校高学年の一番人気は『IQ探偵ムー』シリーズです。

    ムーがジャイブのカラフル文庫にあることは知っていましたが、
    まだ読んだことはありませんでした。

    かん子さんのすすめでためしに買って読んでみると...
    長くなりそうなので、ムーの話はまたいずれ。

  • これは!本好きならきっと楽しめる本です。
    それにしても、「ゲド戦記」好きは「ハリポタ」を受け入れられない?ってホントかな…私はどちらも興味深く読めましたがね。

  • おもしろーい。
    ますます赤木さんにあいたくなった。

著者プロフィール

松本生まれ、千葉育ち。
法政大学英文科卒。
1984年、“本の探偵”でデビュー。
現在は、子どもの本や文化の紹介、ミステリの紹介・書評に活躍中。
好きなものは、温泉と民族伝統芸能と美味しいゴハン。
著書
『こちら本の探偵です』(径書房)
『子どもの本とごちそうの話』(径書房)
『魔女のよせなべ』(径書房)
『かんこのミニミニヤング・アダルト入門1・2』(リブリオ出版)
『この本読んだ?おぼえてる?』(フェリシモ出版)
など

「1988年 『魔女のよせなべ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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