トレマリスの歌術師 3

  • ポプラ社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591107591

作品紹介・あらすじ

三つの月に司られる世界・トレマリス。そこでは、かつて「歌による魔法」が広く行われ信じられていたが、今は忘れられようとしていた。"歌術"の力を失い、失意のうちにアンタリスへ戻ったカルウィンは、変わり果てた故郷の姿を見る。氷壁に並べられた巫女たちの死体、歌術師だけがかかる雪病の蔓延…。目を覚ました長老マーナは、「一の巫女の位を継ぐべきはカルウィンだ」と言い、息絶える直前に、女神の秘儀を伝える。カルウィンは、自分が歌術の才をなくしたことを言えないまま、マーナの話に耳を傾けた。「"環"を見つけよ、"環"が答えを握っている。だが秘密を解き明かすには"第十の力"が必要だ」「第十の力」の秘密とは?カルウィンは万歌の歌い手となり、悪の皇子・サミスを倒すことができるのだろうか?「歌術」というユニークなモチーフを使った、ファンタジー小説三部作、待望の完結篇。

感想・レビュー・書評

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  • 三つの月に司られる世界・トレマリスで繰り広げられる、歌による魔法<歌術>を巡る物語の完結編です。歌術の才能を持つカルウィンは、前巻で、荒廃したメルスロツの地に再び生気を取り戻すことに成功します。しかし、その代償として、カルウィンは持っていた全ての歌術の力を失ってしまいました。追い打ちをかけるように、苦心の末に倒したサミスがなんとまだ生きているとの噂を耳にします。

    サミスは、九つの歌術すべてを修めトレマリス全土を支配しよう企む人物。これまでのカルウィン達の旅の目的も、トレマリスを危機から救うため、邪悪な野望を抱くサミスを倒すことだったのです。

    急ぎ、仲間と共に、サミスの姿があったという故郷アンタリスへと帰還するカルウィンたち。しかし、そこで彼女が目にしたのは、氷壁に並べられた巫女たちの亡骸、そして歌術師だけがかかる雪病の蔓延という、悲惨な光景でした。悲しみに浸る間もなく、カルウィンは死の間際にあった巫女の長老マーナから「第十の力」の秘密を聞かされます。サミスを倒すために必要な「第十の力」の秘密を探るべく、カルウィン達は再びサミスの足取りを追うのですが・・・。

    私にとって本書のテーマは、自分の運命に立ち向かうカルウィンの選択じゃないか思いました。カルウィンは、自分の力を失ったことで自信をなくしていましたが、仲間たちの助けや自分の意志で、困難に立ち向かっていきます。また、カルウィンは、自分が一の巫女の位を継ぐべきだということを知りますが、それは自分の望むものではありませんでした。それでも彼女は、自分の選択と責任について悩みますが、最終的には自分の道を決めます。

    私は特に、カルウィンが歌術の力を失ったことで、自分のアイデンティティや存在意義に悩む場面に胸が熱くなりました。また、カルウィンたちが旅をする中で出会う、トレマリスのさまざまな国や民族、風景や生き物、そしてトレマリスの創生神話なども、非常に魅力的でした。

    そんなカルウィンの成長と決断を、彼女が万歌の歌い手になれるかどうかも含めて、本書は最後までしっかり描き切っています。

    歌による魔法というユニークなモチーフを使って、トレマリスという壮大な世界を創造した作者の力量には、改めて敬服するばかりです。この本は、ファンタジーや冒険が好きな人はもちろん、自分の運命に悩む人、まだ自分の力を信じられずにいる人にもおすすめです。

  • 主人公が成長しつつみる冒険譚は楽しい。力に支配されてく中で大切なものを守れるってえらいことだ。途中から主人公は銀色の髪だとなぜか思い込んでたw最後のほうで黒髪の描写が出てきてキョトンとしちゃったww

  • イラスト:萩尾望都

  • 近所の図書館は、これを児童書の棚に置いているのですがいいのかしらん^^; ダロウのデレぶりがいいようなやりすぎなような(笑)
    サミスの復活はいいとして、カルウィンとの関係は正直いまいちピンとこなかったり。闇を受け入れたって意味なのかなぁ。
    ネタばれになりますが、**が死んだのもなぜ?? という感じ。 全体的には大団円ですが、歌術って歌詞はないのかな? あったらもっと面白かったんじゃないかと思ったりでした。デビュー作とは思えないくらい、3部作を一気に読んでしまいました♪

  • ふうっ、カルウィンも大人になりました。二十年後を描いた“The Taste of Lightning”があるとか。

  • スケールの大きなファンタジーだと思います。20年後を描くという続編の翻訳が待たれます。

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