- Amazon.co.jp ・本 (149ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591119211
感想・レビュー・書評
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川端康成の「白い満月」、ヴァージニア・ウルフの「壁の染み」、尾崎翠の「途上にて」。
「幻」という一文字で集められた3つの物語。百年文庫の魅力を知った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
装画 / 安井 寿磨子
装幀・題字 / 緒方 修一
底本 / 『川端康成全集』第2巻(新潮社)、『ヴァージニア・ウルフ短篇集』(ちくま文庫)、『底本尾崎翠全集』上巻(筑摩書房) -
川端康成『白い満月』
「私」と「お夏」の関係が、とても美しく羨ましい。恋でも愛でも恋愛でもない。お夏だって、決して見目麗しいわけではないのに。これは、なんなのだろう。ラスト数行で見事に惹きこまれてしまったわ。 -
川端は珍しく途中まではよかったんだけど、書き過ぎ。ヴァージニア・ウルフは既読。尾崎翠、初めて読んだけど、文体が独特でなかなかおもしろいかも。
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川端康成 『白い満月』
ヴァージニア・ウルフ 『壁の染み』
尾崎翠 『途上にて』
『白い満月』
架空の話を書いた小説でも、なかなか言葉にしにくい台詞はある。
この作品はそのあたりをためらわず、繰り返し言わせることで読者の胸に刺さる印象を
残していく話だと感じました。
登場人物同士が互いをどう思っているのか、どんな意図を含んでの行動なのかが、
まだ読む力が足りないようで完全に読み取ることは出来ませんでした。
また時を重ねた上で読み返したい作品です。
それが川端康成の魅力なのかなと思います。 -
川端康成『白い満月』
ヴァージニア・ウルフ『壁の染み』
尾崎翠『途上にて』 -
今も昔も男女の関係はあまり変わりないような?
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肺を病む「私」が療養する別荘に女中として雇われたお夏。ある日筏に乗っているお夏の父が彼女の方に歩み出し死ぬ幻を見る。現実に父は死に、再びこの別荘にやってきた私にお夏は自分が死ぬ夢を見たと言う。死の気配に触れる川端康成『白い満月』、マントルピースの上に出来た壁の染みを見つめているうちに次々湧き出る想念。それらを一つ一つ思索していくウルフ『壁の染み』、パラダイスロストの横町で市電を降りた私が自宅の屋根裏部屋まで帰り着く道すがら図書館で読んだ物語を回想し、知り合いの中世紀氏に逢った話、尾崎翠『途上にて』を収録。
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バージニア・ウルフと尾崎翠が読みたくて借りてきた。
川端康成はやっぱりあの強烈な台詞が耳に残る。
自分を蔑ろにした前方に光を灯せない人の諦めと哀しみの交じったお夏のことば。心臓がいたいってこういうことだろう。誰もが言えない台詞を言ってしまえるのが、この小説の強さだと思う。
ウルフはさすがというか、よくわからなくて知りたいと思わせるのがうまい。すとんと心に入らないのに馴染んでしまう。何がそうさせるのかわからなくて気になって仕方がなくなる。
尾崎翠も何でか本当に好き。とても茫漠としてる。何度も読みたいタイプの話だ。
百年文庫、実は3冊目なのだけれど、今まで読んだやつの記憶が曖昧だ。
(20111114) -
新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、2階文庫本コーナー 請求記号908.3/H99/39