(045)地 (百年文庫)

  • ポプラ社
3.14
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (149ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591119273

感想・レビュー・書評

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  • ヴェルガ 『羊飼イエーリ』
    キロガ 『流されて』
    武田泰淳 『動物』

    どれも唐突に終わってしまった気がする三篇。
    短編から興味を持って他の本も読みたい!となる機会の多い素晴らしい
    百年文庫。
    今回は自分と相性が悪かったのかな?
    あまり心に響く話がなかったので評価低めです。

    『羊飼イエーリ』 イタリアのシチリアが舞台。
    おそらく地元あるあるネタが豊富に含まれていて、シチリアーノから見たら
    大絶賛ヒュー!なのかもしれない。
    しかし日本から出たことがない人間が読むと、とにかく景色の描写が長いのです。
    話の8割方は大自然・田舎町・そこで暮らす人々の服装などの細やかな説明でした。
    しかも四季折々に触れて丁寧に変化を教えてくれます。
    一方、人間関係や出来事は断片的なので、頭の中でつなぎ合わせて
    ストーリーを推測する感じ。
    本の半分以上はこの話でしたが、どうにも小説というよりは、絵画的な作品でした。


    『流されて』
    エッ!?Σ(゜Д゜)という速さで終わります。
    思わず顔文字を使ってしまうほどです。
    「主人公、どうしてもっと奥さんに助けを求めなかったの……」
    全てはこれに尽きると思います。


    『動物』
    右翼・左翼の活動やそれに関わる政党への考え方……
    そうしたことが説明されないまま話が書かれています。
    (当時の人にとってはいちいち書いて説明することではなかったのでしょうね)
    なので、現代の我々が読んで理解するのは少し難しい内容が多いです。
    短編ではなく、長編でじっくりこの登場人物たちの今後が見たくなる作品。


    人間の傲慢さをくだく衝撃の三篇、がこの本の後ろに書かれたテーマ。
    それぞれの話でこの傲慢の罪を犯したのは、おそらく羊飼いでは妻であり、
    流されては主人公であり(何故奥さんを頼らなかった)、そして動物では
    すべての登場人物なのだと私は解釈しました。

  • ヴェルガ「羊飼いイエーリ」、貧しい羊飼いのなかに渦巻く心。キロガ「流されて」、あっという間に読了、トラブルから自らを救うため船に乗り込んだ男の記憶。竹田泰淳「動物」、感情を表面に出さない地方大学の教授の心の中。三編を通じた書題の「地」は、いくらとりつくろっても人間のこころに潜む地の部分を示している。

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