(P[ふ]2-4)船に乗れ! III (ポプラ文庫ピュアフル)

著者 :
  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591124017

感想・レビュー・書評

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  • 高校1、2年のころまでは自分の可能性に疑いを持たず自由に生きていけるけど
    高校3年、大学生につれてとだんだんと自分の器や可能性などが見えてくる
    そして、社会人になって学生の頃に思っていた自分と現実との違いにどうしたらいいのかと戸惑ってくるけれど
    ちょうどそれが書かれている感じがした。
    自分が全力をささげてきたことに対して、自分の器が見合わないことに気づいていく
    読んでいくうちに「これって現実だな」と思うことが最後に向けてたくさんあった。
    挫折をしていくこと、取り返しがつかないこと、今でも許せないこと、たくさんあるけれど、それを持ったまま進まなきゃいけないこと。
    Ⅰのときはすごく読んでいて楽しかったけれど、Ⅱ、Ⅲと読むにつれて、あまりの現実っぽさにちょっと暗くなった。
    フィクションだからこそ、「よかったね」と思えるような、明るい未来を書いて欲しかった気もすれけど、この現実っぽさがよかったのかと思う。
    自分はともかく、学生に是非読んで、少しでも後悔しない未来を進めるようこの本から学んでほしいなと感じた

  • 読んで良かった。結末が気になって読み進めたが、面白くはなかった。
    「赤朽葉家の伝説」の語り部に対する不快感を主人公に対して抱く。
    天稟が無いのだから、仕様がないとは思うのだけど。
    この巻でもヒロインが気持ち悪い。
    哲学の先生はいろいろなものを救っている。そういうところが良い。

  • 2010年本屋大賞7位

    中高大一貫の音楽学校創始者の孫が祖父の高校に入学し、熱中したチェロ、恋、苦い過ちを中年になって振り返ったお話。

    全3巻とかなりの量。殆どがクラッシク、音楽用語そして哲学について「サルでもわかる」レベルで記載されている分かと。
    ど素人の自分にはありがたく、非常に面白く読むことができたw

    終始"上から目線"の語り口(この本でいうと"審判を下すもう一人の自分"が中年になっても"高校生の自分")なので、世代の近いおっさんにとってはその部分がちょっと「鼻につく」感じかなぁ。
    おっさんとして痛いほど理解はできるが、余ほど自尊心が強い人なんだなぁと思う。

    南ちゃん幸せになっていてほしいと思う。

    解説は最悪。

  • 音楽と共に歩んだ青春の中で
    音楽の道を諦めて
    大学生になり社会人になり
    また趣味で音楽を始める

    妊娠、出産、結婚した元恋人がまた出てきたり、辞めさせた先生に謝罪に行ったり、後悔の念に駆られていたものを最後に掛けて一枚ずつ剥がしてくれた

  • 読み返すのに勇気がいる。
    自分がまだ音楽をやっていて恋愛にうつつを抜かして周りの人間を無邪気に傷つけていたときにタイムリーに読んだので、当時の感情や情景がよみがえってきてつらい。
    でもたまに読み返す。
    南の身勝手な行動にはまったく共感しないけれども。
    向こうに先を行かれると悔しい、憎い、自分のほうが絶対上手いのに!と思ってしまう醜い感情には覚えがある。
    チェロのせいでチェロのせいでとイライラしたこともありました。でも、チェロがなければサトルも私も相手に出会ってすらいなかったわけで。
    いろいろあったけど真面目にチェロに向き合おうとこの本を読むたびに思える。

  • サトルが音楽を辞めてしまうことは、一巻からうすうす分かっていましたが、もっと他につきあい方がなかったのかなと思ってしまいました。私自身、音楽ができる環境を失ったので重なる部分があったからかもしれません。でも最後に何十年ぶりにチェロを弾き出す姿は、とても温かくどこかしっくりきました。大人になっていくにつれて、周りが見えてきて手放す決断をする、自然と離れていってしまう、そうゆうことものが増えるかもしれませんが、がむしゃらにしがみつくのではなく自分のペースで付き合える時が来るのを待つことも選択の一つですよね。

    音楽小説としても、読んでいて演奏したいと思わせてくれる小説でした。とくにオケでの合奏部分とか良かったです。

    にしても、二巻のインパクト強すぎる(笑)

  • サトルの恋愛はいまいちだけど、他のラストはよかったかな。伊藤君との友情は素敵。大人になって昔の自分をきちんと見れた、そんな大人になれたのはよかったと思う。

  • 第1巻が読後清涼感のある音楽を志す高校生の物語だったので、2巻3巻と読んできたけど、なかなかイタイ物語で…、最終章でサトル自身が語るように、「すべての人の人生が、その人の力や意思や努力では、どうにもならないことで満ちている」が、それでも「のろのろと、しかし絶え間なく、波に揺られながら、航行は今も続いている」のだと思う。

  • うーん、金窪先生とのラストは
    良かったけどなあ。
    南がどうも勝手に思えて仕方ない。それほどまでに音楽を愛し、求めていて全てだったのだろうけど。

  • 音楽の周りにいる人たちの人生の物語だった。サトルが勉強頑張って 一流大学に入って ハッピーエンドに終わるのかな。と思ってたら 普通よりも大変そうな人生を歩んでいたのが寂しい感じに思えた。
    クラッシックを聴きたくなった。

著者プロフィール

1963年、東京都生まれ。2003年、『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』(小学館)でデビュー。2014年、『世界でいちばん美しい』(小学館)で織田作之助賞を受賞。主な作品に『おがたQ、という女』(小学館)、『下北沢』(リトルモア/ポプラ文庫)、『いつか棺桶はやってくる』(小学館)、『船に乗れ!』(ジャイブ/ポプラ文庫)、『我が異邦』(新潮社)、『燃えよ、あんず』(小学館)など多数。エッセイ集に『小説は君のためにある』(ちくまプリマ―新書)など。

「2021年 『睦家四姉妹図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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