- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591147979
作品紹介・あらすじ
「人間は何かを抱きしめていないと生きていけない。マミさん、そういうことですね --スタジオジブリ 鈴木敏夫」
ある偶然が引き起こした痛ましい死亡事故。
突然の悲劇に翻弄される人間模様を、映画『エンディングノート』『夢と狂気の王国』でその才能を高く評価された著者が、独自の視点から描きだした五篇の連作短編集。生の不確かさ、苦しみ、それ故の煌きを、日常の平穏から深く抉りだす驚きの筆力。映画だけにとどまらない才能を、ぜひその目でお確かめください。
感想・レビュー・書評
-
交通事故で3歳の男の子が亡くなった。
その子の親、加害者、加害者の夫、加害者の夫の不倫相手…など、直接的にも間接的にも影響のあった人たちが綴る、連作小説でした。
初めて読む作家さんでしたが、読みやすい文体と、重たい内容ながら読者に詰め寄りすぎない距離感がここちよくて、確固たる現実感があるのにどこか清々しい風が吹き抜けるような1冊でした。
この距離の取り方、すごく好きかもしれない。
下手にこちらの心をかき乱すことなく、でも淡々とリアルを書き綴っていて。
夏の章、秋の章と、語る人物を変えながら時間は確かに流れていて、辛いことがあっても少しずつ前に進める人間の強さと、人間同士が互いに与える影響力の大きさがひしひしと感じられました。
まるで人生の落とし穴のように、注意していても人生の危機というのは不意に訪れるものかもしれません。
そんな時、時間の流れはもちろん、ほんの些細なことが救いになって、前に進む力をくれるんですね。
偶然図書館で見つけた1冊ですが、もう一作出ているという「音のない花火」もぜひ読んでみたい。
著者は、映画監督として数々の賞を受賞されている方のよう。作風がすごく好きなので、映画も見てみたいなぁと思わせてくれた、読めてよかった1冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
意図せず大切な命を奪ったモノと奪われたモノの間には何故だか同じ様な感情が去来する様に思われた。助けを呼ぶ少年の笛の音が青い空に響き渡る。
-
交通事故で息子を亡くした母親、交通事故をおこした母親。最後は意味わからなかった。
-
物語の世界に入り込んでしまうことはよくあるけれど、
この本は、読んでいる間ずっと
登場人物にすぐ隣で大切な打ち明け話をされているような
不思議な感覚を味わっていました。
不倫をしたり、交通事故で人を殺してしまったり、息子を事故で亡くしたり・・・
幸せな風景を、傍観者として外から見つめなければいけないその切なさや
もう元いた場所には戻れない悲しみが
頭からだけでなく肌からもシンシンと伝わってきて、
自分の心と物語の境目をあやふやにさせてしまったのだと思います。
大好きな作家さんがまた一人増えました。
幸せ・・・^^♪ -
初めましての作家さん。
砂田さんは映画監督なのですね!
連作短編集。
じわじわと心にしみる良い本でした。 -
「人間は何かを抱きしめていないと生きていけない。マミさん、そういうことですね --スタジオジブリ 鈴木敏夫」
ある偶然が引き起こした痛ましい死亡事故。
突然の悲劇に翻弄される人間模様を、映画『エンディングノート』『夢と狂気の王国』でその才能を高く評価された著者が、独自の視点から描きだした五篇の連作短編集。生の不確かさ、苦しみ、それ故の煌きを、日常の平穏から深く抉りだす驚きの筆力。映画だけにとどまらない才能を、ぜひその目でお確かめください。 -
一つの交通事故に浅からず関わる人々の、様々な視点で語られる連作短編。
とは言え、事故の事ばかりに終始する訳ではない。
何度も何気ない一文に目と頭を奪われる。
感情の内側、想いの少し横を、サッとなでる様な一文。一行も気が抜けない。
こんなに豊かな読書、本当に久しぶりだ。
すごい。 -
交通死亡事故の加害者、加害者の夫、その愛人、被害者の母、事故の目撃者の視点での連作短編。
運転する身としては加害者になりうることもあり、母としては被害者遺族になることもあり得るため、そのどちらの立場も辛く悲しい気持ちで読みました。
吉乃の気持ちを思うと、胸が苦しくなります。
罪を刑を受けることで償う機会を得なかった美里は、今後もそれを背負って生きていくのでしょう。
健二のダメっぷりは、このストーリーの中では必要悪だったように思いました。女としては許せませんが。
決してすっきりすることのないストーリーばかりではありましたが、最後の目撃者の手紙で、吉乃が救われることを祈ります。
-
角田浩一誰?Nもっと誰??